JDAディベート大会 運営ルール
第1条 (目的)
本ルールは、JDAディベート大会の運営方法および、ディベーター、ジャッジ、 大会運営者等の権利・義務を明確にすることにより、公正かつ円滑な大会運営に資することを目的とする。
第2条 (論題)
- 論題は、大会運営者が定める。
- 試合中のいかなる議論によっても、論題の文言そのものを変更することはできない。
- 論題中の文言の定義および論題の解釈は、ディベーターの議論に委ねられる。
第3条 (側)
- ディベートにおいて、二つのチームは、肯定側、否定側に分かれる。
- 肯定側は、論題を肯定することをその役割とする。
- 否定側は、論題の肯定を妨げることをその役割とする。
- 論題の肯定、およびそれを妨げる方法は、ディベーターの議論に委ねられる。
第4条 (チーム構成)
- チームには、二名以上、四名までディベーターを登録することができる。
- 一人のディベーターは、一試合中で、立論・反駁・質疑(以下「スピーチ等」とする)をそれぞれ一回まで行うことができる。
- 上記条件を満たすかぎりにおいて、スピーチ等の担当の組み合わせは自由とする。
- ある試合においてスピーチ等を担当しないディベーターがいても構わない。
- 試合において必ずしも登録メンバー全員が揃っている必要はない。
第5条 (ジャッジ)
- 大会運営者は、一つの試合につき、少なくとも一名のジャッジを配置する。
- ジャッジは、試合中の立論および反駁の内容に基づき、試合の判定を行う。
- 複数のジャッジが同一の試合を判定する場合、各々のジャッジは独立して判定を行う。判定にあたり、他のジャッジとの相談、談合は行ってはならない。
ただし、判定結果を提出した後にコメント等を検討する際、もしくはベストディベーター選定を行う際等には、他のジャッジと相談しても良い。
- ジャッジは、引き分けの判定を下すことはできない。
- ジャッジが一度下した判定は、明らかなミスである場合を除いて、覆すことはできない。
- ジャッジは、予選においては、別途定めるガイドラインに従い、 ディベーターのスピーチ等の内容を評価し、ポイントを決定する。
- ジャッジは、議論の俎上に載らなかった個人的信条・知識や、 ディベーターの議論内容と異なる内容に基づいた判断をする場合は、何らかの正当な理由を必要とする。
- ジャッジは、試合前にディベーターから求められた場合、大会運営に支障の無い範囲で、 自身のジャッジとしての信条(フィロソフィー)を説明する義務を負う。
また、自身のフィロソフィーに特徴的な部分があると認める場合は、 ディベーターから求められない場合においても、積極的にその内容を開示することができる。
- ジャッジは、試合後大会期間中にディベーターから求められた場合、 大会運営に支障の無い範囲で、試合の判定理由について、ディベーターに説明する責任を負う。
ただし、本項は、ジャッジが大会会場にいる間のみ有効とする。
第6条 (フォーマット)
- 二つのチームは、以下のフォーマットに従い、スピーチ等を行う。
肯定側第一立論 6分
否定側質疑 3分
否定側第一立論 6分
肯定側質疑 3分
肯定側第二立論 6分
否定側質疑 3分
否定側第二立論 6分
肯定側質疑 3分
否定側第一反駁 4分
肯定側第一反駁 4分
否定側第二反駁 4分
肯定側第二反駁 4分
準備時間:各チーム8分(自チームのスピーチ等の前に自由に使用できる)
- フォーマットは、ディベーターの議論によって変更することはできない。
- いわゆるロードマップ(スピーチ等の前に、スピーチ等の内容、順序を知らせること)は、 スピーチ等の時間または準備時間に繰り入れるものとする。
- スピーチ等の時間が余った場合、ディベーターが終了を宣言した時点で、 そのスピーチ等を終了する。
- スピーチ等で余った時間を他のスピーチ等に回すことはできない。
第7条 (スピーチ等の時間の誤計測)
- 誤って、スピーチ等の時間を通常より長く計測してしまったことがその試合中に判明した場合、 超過分のスピーチ等は、なかったものとみなす。
- 誤って、スピーチ等の時間を通常より短く計測してしまったことがその試合中に判明した場合、 以降のスピーチ等に、不足分の時間を加算するか、相手チームのスピーチ等から、 同量の時間を差し引くか、いずれかを、ジャッジが選択する。
- スピーチ等の時間を計測し忘れたため、スピーチ等の時間が不明となった場合、 ジャッジの判断により、スピーチ等のやり直し、以降のスピーチ等の時間での調整、 議論の削除等を行うことができる。
- 準備時間を計測し忘れたために、残り準備時間が不明となった場合は、 ジャッジの判断により、適当な時間を準備時間に加算または減算することで調整を行うことができる。
- これら誤計測が試合後に判明した場合は、スピーチ等のやり直し等は行わず、そのまま試合の判定を行う。
第8条 (証拠資料)
- ディベーターは、立論および反駁中に自らの議論の信憑性を高めるために、 証拠資料を提示することができる。
- 証拠資料としては、書籍、新聞、雑誌、カタログ、パンフレット等、紙媒体に記録されたもの、 またはインターネット上で流布している情報で、日本国内において広くアクセス可能なものを使用することができる。
- 口頭でのインタビュー、ラジオの録音、テレビの録画等、後日信憑性を調査することが困難なもの、 有料の会員制のインターネットサイト、極めて配布地域が限定されたビラ等、一般のアクセスが制限されたものは、 証拠資料として使用することはできない。
ただし、同内容が広く一般にアクセス可能な別媒体に記録されていることが保障される場合はこの限りではない。
- 外国語の証拠資料を自ら訳出して使用する場合は、その旨明示しなければならない。
- 証拠資料は、紙面または電子データとして電子機器上に記録されたもの等を試合中に読み上げることで提示される。 出典の詳細等は、立論及び反駁内で読み上げる必要は無いが、後に相手チーム、ジャッジ、および大会運営者が、 出典を調査するために十分な情報を記載し、求められれば提示できるよう、準備しておかなければならない。
- 相手チームの証拠資料は、相手チームの準備・スピーチ等を著しく妨害しない限りにおいて、 試合中いかなる時点においても、その提示、借用を求める事ができる。
借用した証拠資料は、試合終了時、または相手チームから証拠資料内容を確認するのに十分な時間をおいた後に請求された場合は、 返却しなければならない。
- 試合中または試合終了後、ジャッジによる判定が出る以前に、上記出典情報が不十分と認められた場合、 その証拠資料は、証拠としての効力を失う。
- 試合中または試合終了後、ジャッジによる判定が出る以前に、証拠資料の歪曲・捏造が発覚した場合、 その証拠資料は証拠としての効力を失う。また、歪曲・捏造が極めて悪質と認められる場合、 ジャッジは、証拠資料の歪曲・捏造の事実を大会運営者に報告し、 その証拠資料を提出したチームの処分を委ねることができる。
大会運営者は、ジャッジからの報告があった場合、試合終了後、大会終了前に、その証拠資料を提出したチームの処分を決定する。
- 上記処分には、そのチームの失格または無得点敗北を含めることができる。
第9条 (集合時刻、試合開始・終了時刻の遵守)
- ディベーターは、定められた集合時刻までに所定の会場に集合し、受付を済ませなけれ ばならない。
- 集合時刻までに、チームメンバーのうち、最低二名が受付を終了できなかった場合、そのチームは失格とする。
- 公共交通機関の事故等、やむを得ない事情があったと大会運営者が判断した場合は、別途対応を協議する。
- ディベーターおよびジャッジは、試合開始時刻、終了時刻を守らなければならない。
- 終了が著しく遅い試合、及び終了時刻が著しく遅くなることがあらかじめ予想される試合については、 大会運営者の判断により、公平性を失わない範囲でのフォーマット短縮、ジャッジによる判定・コメントスピーチの中断・中止等を行うことができる。
第10条 (対戦組み合わせ)
- 対戦内容は、大会当日に大会運営者により発表される。
- 対戦組み合わせの際、同一団体からの参加が2チーム以内の場合、やむを得ない場合を除き、 その団体のチーム同士が予選において対戦することが無い様、対戦組み合わせを決定しなければならない。
同一団体からの出場が三チーム以上である場合も、同一団体同士の対戦が極力少なくなるよう努力しなければならない。
- 予選において、各チームの肯定側・否定側担当回数は、極力等しくなるように配分されなければならない。
ただし、決勝トーナメントにおける側は、それまでの肯定側・否定側担当回数とは無関係に、くじ等によって決定される。
- 予選においては、やむを得ない場合を除き、ジャッジは、同一チームを複数回見ることが無い様、配置されなければならない。
ただし、決勝トーナメントにおいては、ジャッジは、それまでのジャッジ回数とは無関係に、ランダムに配置される。
第11条 (試合の放棄)
- 大会開始前後の欠員の発生や、不慮の事故等、 何らかの理由で、試合を行うことができない状態に陥ったチームは、試合を放棄することができる。
- 大会運営者は、試合を放棄するチームが発生した場合、対戦表の組み換え、 補欠チームの導入等の措置をとることで、極力不戦勝が発生しないよう努力しなければならない。
- 放棄された試合の勝敗については、試合を放棄した側が不戦敗、試合を放棄された側が不戦勝として扱われるものとする。
- 不戦勝チームの、その試合における第5条の6に規定するポイントとしては、 残りの試合のポイントの平均値をあてる。万一、全試合不戦勝だった場合、そのチームの得点はゼロとする。 不戦敗チームの、放棄した試合における得点はゼロとする。
- 放棄された試合のディベーターが、大会における他の試合を観戦することは、これを妨げない。
第12条 (予選順位の決定)
- 予選順位は、予選における勝ち数によって決定される。勝ち数が多いチームが上位とな る。
- 勝ち数が同数の場合は、投票したジャッジの数が多いチームが上位となる。
- 勝ち数、投票したジャッジ数とも同数の場合は、第五条の6.によって決定されたポイントにより、順位付けを行う。予選合計ポイントが多いチームが上位となる。
- 勝ち数、投票したジャッジ数、ポイントが全て同じであった場合は、予選合計ポイントから、最もポイントの高かった試合のポイントを除いて比較を行う。それでもポイントが同 じであ る場合は、さらに予選合計ポイントから、最もポイントの低かった試合のポイントを除いて比較する。
- 4.の手続きを経てもさらにポイントが同じ場合は、対戦チームのポイントを合計し、その値が大きいチームを上位とする。
- 1.から5.の手続を経てもさらにポイントが同じであり、順位を決する必要がある場合は、くじにより順位を決定する。
第13条 (大会運営の妨げとなる行為)
- 聴衆は、ヤジ、不必要な拍手、ディベーターへのアドバイス等、試合の妨げとなる行為を行うことはできない。
- 上記行為が悪質と認められる場合、ジャッジはこれを注意しなければならない。
- ジャッジの注意によっても上記行為が続く場合、ジャッジは大会運営者にこれを報告し、対応を協議しなければならない。