日本ディベート協会通信 第十一巻第2号 
JDA Newsletter Vol.XI No.2, 1997

(1)巻頭言 

 

会長 井上奈良彦

 

 日本ディベート協議会は今、「日本ディベート協会」へと名称変更の手続きを取っている。これは、すでに変更済みの英語名Japan Debate Associationと併せて、本会がより積極的にディベートの普及・研究活動を推進しようという意志の現われだと理解していただきたい。「協議会」から連想される諸団体の連絡・調整役という役割を脱して、独自に企画を立て活動していこうというということである。

 出版物やインターネットを通じて本会の存在がより広く知られるようになるとともに、いろいろな人から、「ディベートを始めようと思うのですが、指導していただけませんか」というような問い合わせが増加している。こういった要望にこたえるため、また新たにディベートに興味を持つ人を増やしていくため、本会が初心者向けのディベート講習会等を開催していきたい。

 ESSを通じての英語ディベートの発展にもさらに貢献すべきである。先日、山口大学主催のディベート大会で数年ぶりに審査員を務めたら、鹿児島大学のチームが何年ぶりかで参加していた。10年以上前に鹿児島で開かれたESSの合宿に招かれたことを懐かしく思い出した。ただ、彼らが今、ESSのディベートの大会に出場するのは大変である。指導者もいなければ、近くに練習試合をする学校もない。遠くの大会に来て勝つことを目指すのが彼らにとって望ましい目標なのかどうか考えてしまった。われわれは彼らのディベート活動が発展するように手を差し伸べられないものだろうか。

 学術研究も今後の大切な活動の一部である。ディベートや議論(argumentation)を専門とする研究者が少しずつ大学などに職を得られるようになった。こういった会員を中心に研究大会の開催、学術誌の発行を実現したい。手始めに、議論研究をテーマとする国際学術集会の開催を目指して日本学術振興会へ補助金の申請をしている。

 何をするにも人材が必要である。役員もできるだけ実際に働いてもらえる人をと、特に関東の役員の交代を図った。ノースウェスタン大学で博士号を取得した鈴木氏には副会長として今後本会を発展させる指導性を発揮してもらいたいと思っている。NAFAなどで精力的に仕事をしてきた安井氏には、ニューズレターの編集を始めJDAに大いに貢献してもらえると期待している。これを読んでおられる会員の皆様には、今まで以上にJDAに、ひいては日本におけるディベート活動の発展のために、お力を貸していただきたい。

(いのうえ ならひこ 九州大学助教授)

 

 

(2)1997年度JDA人事(案)及び活動方針(案)

 1997年度のJDAの理事及び各委員会の構成、今年度の活動予定について掲載しています。

(3)1996年度ディベート大会結果  

1996年度、前期、後期に開催されたディベート大会の結果をほぼ全て網羅しています。大学の英語アカデミック・ディベートに限らず、パーラメンタリーディベート、日本語ディベート大会、高校生の英語ディベート大会、中学・高校生の全国ディベート甲子園など、日本で開催されているディベート大会の結果を全て網羅しています。

(4)JDA-mlダイジェスト

 JDA-mlでなされた議論のうち、今回は「反論されなかった議論をどのように取り扱うべきか」というテーマで、criticとは、tabla lasaとは、prima facieとは、等ジャッジングの基本的スタンスについてJDAで活発に議論された内容をダイジェストで掲載しました。
 非常にたくさんのメールから、主要な論点を述べているもの、わかりやすいものを抽出してあります。プライバシー保護のため、名前はすべてイニシャルに変換し、個人の所属等の情報もすべて削除してあります。
 幅広く意見を網羅しており、採るべきジャッジングスタンスについて理解を深めることが出来ます。


と、A4判2段組16ページの充実した内容です。 JDANewsletterは、年3〜4回発行予定です。次号は9月ごろ発行予定ですが、内容は (1)巻頭言(2)1997年度前期ディベート大会結果(3)第2回JDA日本語ディベート大会決勝戦トランスクリプト(4)1997年度JDA-SCA日米交歓ディベート報告 等を予定しております。

 


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