2001年度後期推薦論題の会員投票のお知らせ




JDA会員 各位:

日本ディベート協会(JDA)論題検討委員会は,数回に渡り公聴会を開催し、加盟各団体、その他の有志参加者の協力を得て、2001年後期の推薦論題の候補として,次の三つの論題案を作成致しました。

1. Resolved: That the chief executive of Japan should be electedthrough citizens' direct vote.
日本の行政府の首長は、国民の直接投票によって選ばれるべきである。


2. Resolved: That Japan should adopt a trial system that substantiallyinvolves laypeople in court decisions.
日本国は、一般国民が裁判内容の決定に実質的に関与できるように裁判制度を変
えるべきである。


3. Resolved: That the Japanese government should make a law thatsubstantially increases a patient's participation in making informeddecisions concerning his or her medical treatment.
日本政府は、患者の意志が自己の治療方針に十分に反映されるように、法律を制
定すべきである。


会員の皆様は,同封の投票用紙にお答えの上,瀬能 和彦宛に7月18日(水)必着でお送り下さい。最終的な推薦論題は,これら三つの案の中から下記の方法に従い7月19日(木)に決定・発表することになります。(文言の変更はありえます。)

なお、2001年度の会費を未納の会員の方は,必ず会費をお払い込みになったうえで投票して下さいますようお願いいたします。また、日本語推薦論題は,英語推薦論題の翻訳ではなく,おおむね同じ論題エリアを取り扱う別の論題です。ご注意下さい。

投票用紙の郵送先
<略>


投票に関する質問

投票方法等に関する御質問等ございましたら,委員長の瀬能まで電子メールをお送りください。DZQ00047@nifty.ne.jp(なお投票自体は,電子メールでは受け付けておりませんので御注意ください。)

投票方法

1. 3つの候補のうち,後期の論題としてふさわしいものを選んでマルをつけてください。マルをつける候補を複数,選んでも構いません。

2. なお複数票 (N 票)を持っている団体会員は,マルを付けた候補それぞれに,N票を投じたものと同じ勘定になります。 二つの候補にマルを付けたからといって,それぞれに N/2 票づつ投じることになるわけではありません。

3. 投票の結果,最も多くの投票のあった論題案を推薦論題とします。

集計方法の詳細

JDA論題検討委員会は,推薦論題の最終決定を会員投票の形で行っております。その際の採否は,団体会員,特に大会を主催する団体会員の意見をより重視する形で決定します。これは,例年推薦論題が大学ディベート・サークルを中心として用いられるためです。(ただし集計は全て論題検討委員の方で行いますので,会員の皆様は複雑な手順を辿る必要はありません。)

採決は,以下の規則に従って決定します。

1. 7月2日までに会員としての申込みの手続きを済ませている個人会員ならびに団体会員は,投票権を持つ。
2. 団体会員は,基本票として 5票持つ。ただし団体会員のうち,春期に大会を主催し,この推薦論題をその大会で使用する予定がある場合は,次のように大会規模に応じて上乗せした票を持つ。(大会規模に関しては自己申告に従います)

その大会の昨年度の参加校数が
25校以上 計20票
10校以上25校未満 計15票
10校未満 計10票
不明、または今年度新設 計10票
3. 個人会員は,団体会員の票数の総計(棄権票も含む)を,投票権を持つ総個人会員数(棄権者も含む)で割った票数を持つ。(小数点2位以下切り捨て)参考:一例として,ある投票時における団体会員の分類が

昨年度の秋期大会の参加校数
   25校以上 1団体
   10校以上25校未満 1団体
   10校未満 2団体
   不明、または今年度新設 4団体
秋期に大会を持たない団体 9団体

であり、個人会員の会員数が100人だった場合を考える。個人会員の票の割り当ては、 (20 x 1 + 15 x 1 + 10 x 2+ 10 x 4 + 5 x 9) / 100 = 1.55 よって一人あたり 1.5票となる。

4. 各会員の票が確定後,最も多く得票した論題案を推薦論題とする。


各論題の背景


第一案 国民投票による行政府の首長の選出

小泉内閣の発足と共に首相公選制が話題を集めています。その背景には、現行の議院内閣制では与党の派閥内の調整で首相が決定される傾向があり、国民が主体的に政治に関わり、国の長を選ぶ制度が必要なのではないか、という問題意識があります。

この論題案は行政府の長の選出方法を議論するものです。首相公選制のみではなく、アメリカのような大統領制やフランスの半大統領制など様々な選出方法が考えられます。肯定側は、政治不信の解消や国民/政治家の政治に対する意識の向上などの利点を挙げることが可能でしょう。また否定側は、カリスマ的指導者の台頭による弊害や、国会(立法)と行政の対立による政治的デッドロックなどを挙げることができるでしょう。また、憲法改正に伴う弊害や、天皇制との関連を議論することもできるでしょう。

第二案 司法への一般国民の参加


日本の司法制度は現在、職業裁判官による判断を中心に運用されています。しかし、近年特に国家に対する賠償請求や悪質な刑事犯罪等に関わる裁判において、職業裁判官の示す判断がいわゆる一般社会の基準から外れているのではないかという指摘が多くなされるようになってきています。地方自治などで行政における国民の直接参加が盛んになりつつあることとも関連し、司法においてもより国民の意思を裁判に反映させる司法制度を実現する、ということは、国家制度改善の大きな手段の一つであると言えるでしょう。

この論題案は、一般国民の司法参加の是非という、古く、また新しい問題を問うものです。現在の一般的な議論の中では、陪審制、参審制というニ制度が代表的なものとされています。肯定側が主張できる命題採択の利益としては、民意が裁判に反映されるという意味での民主主義の促進、裁判の迅速化、職業裁判官による官僚的裁判の弊害の除去などがあるでしょう。これに対し否定側は、一般国民の事実認定能力に疑問を呈することが可能であり、ここから公正な審理が失われる可能性や、法的安定性が失われることによる社会への悪影響などを不利益として論じることが可能でしょう。

第三案 医者と患者の関係


医者と患者の関係は,古くて新しい問題です。現状において,患者が医者から十分な説明を聞き,納得した上で治療を受けているケースはそれほど多くないでしょう。患者が,医者の専門性を信頼して,治療方針の選択を委ねていることが大半です。しかし,このような医者/患者関係が,医療過誤や不必要な治療の温床となっている面も否定できません。医療サービスを受ける側にも,より積極的な関与が求められているといえます。

この論題案は,これらの問題に対して立法的な解決を行うことの是非を問うものです。予想される肯定側の論点は,ニーズに沿ったよりよい医療サービスの提供,不必要な治療の低減,患者の側の意識向上などがあげられるでしょう。また,また,立法による解決の利点として,確実な実行性,医事裁判に与える影響などがあげられるでしょう。否定側の論点としては,医者に今まで以上の責任を負わせることで,医者が必要な治療においても消極的になる可能性,患者の反対による必要な治療プロセスの阻害,コストの増大などがあげられるでしょう。また,素人である患者がはたして医者と同等の立場で医学上の決断に加わることが現実的かどうか,また医者側が実際にどこまで協力的になるか,ということも論点になるでしょう。



最後になりましたが、論題候補案を作成するにあたってご協力頂いた個人、団体の皆様に心より感謝致します。推薦論題の最終決定を会員投票に委ねることによって,より多くの声を論題に反映させるという,この制度の趣旨が生かされるよう,是非とも御協力お願いします。

JDA論題検討委員会


投票用紙省略
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