2001年度前期推薦プロポジションの会員投票のお知らせ
 

JDA 会員各位:

日本ディベート協会プロポジション委員会委員長の小野 剛です。 推薦プロポジションの候補案が出そろいましたので、まずはご報告します。 投票権を持つ会員の方には追って郵送により投票用紙が届きます。 電子メールによる投票は認めておりませんので、注意してください。

来たるシーズンが実り多いものになることを願って         小野 剛


 

日本ディベート協会

プロポジション委員会委員長

小野 剛

 

 

日本ディベート協会(JDA)プロポジション委員会は,2001年前期の推薦プロポジションの候補として,次の三つのプロポジション案を選びました。

 

1. Resolved: That the Japanese government should further restrict press coverage so as to protect privacy of individuals.

日本政府は、個人のプライバシー保護のために、さらなる報道規制をすべきである。


2. Resolved: That the Japanese government should make a law that substantially increases a patient's participation in making informed decisions concerning his
or her medical treatment.

日本政府は、患者の意志が自己の治療方針に十分に反映されるように、法律を制定すべきである。

3. Resolved: That Japan should amend its Constitution so as to allow the threat or use of force for settling international disputes.

日本は、国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇または武力の行使を認めるように憲法を変えるべきである。


会員の皆様は,同封の投票用紙にお答えの上,小野宛に2月11日(日)必着でお送り下さい。最終的な推薦プロポジションは,これら三つの案の中から下記の方法に従い2月12日に決定・発表することになります。(若干の用語上の変更はありえます。)

なお、2000年度の会費を未納の会員(住所ラベルの下に2001-3と書いてある方はすでに納入済みです)は,投票前に必ずお払い込みになったうえで投票してください。

また、日本語推薦論題(プロポジション)は, 英語推薦プロポジションの翻訳ではなく,おおむね同じエリアを持つ別のプロポジションです。ご注意下さい。

 

投票用紙の郵送先

 

<略>

投票に関する質問

 

投票方法等に関する御質問等ございましたら,JDA-ML まで御願いします。(なお投票自体は,電子メールでは受け付けておりませんので御注意ください。)

 

 


投票方法

 

1.3つの候補のうち,後期のプロポジションとしてふさわしいものを選んでマルをつけてください。マルをつける候補を複数,選んでも構いません。

2. なお複数票 (N 票)を持っている団体会員は,マルを付けた候補それぞれに,N 票を投じたものと同じ勘定になります。 二つの候補にマルを付けたか
らといって,それぞれに N/2 票づつ投じることになるわけではありません。

3. 投票の結果,最も多くの投票のあったプロポジション案を推薦プロポジションとします。




集計方法の詳細

JDAプロポジション委員会は,推薦プロポジションの最終決定を会員投票の形で行っております。その際の採否は,団体会員,特に大会を主催する団体会員
の意見をより重視する形で決定します。これは,例年推薦プロポジションが大学英語サークルを中心として用いられるためです。(ただし集計は全てプロポ
ジション委員の方で行いますので,会員の皆様は複雑な手順を辿る必要はありません。)

採決は,以下の規則に従って決定します。

1. 7月24日に会員として承認されている,個人会員ならびに団体会員は,投票権を持つ。

2. 団体会員は,基本票として 5票持つ。ただし団体会員のうち,春期に大会を主催し,この推薦プロポジションをその大会で使用する予定がある場合は,次のように大会規模に応じて上乗せした票を持つ。(大会規模に関しては自己申告に従います)

その大会の昨年度の参加校数が
25校以上 計20票
10校以上25校未満 計15票
10校未満 計10票
不明、または今年度新設 計10票

3. 個人会員は,団体会員の票数の総計(棄権票も含む)を,投票権を持つ総個人会員数(棄権者も含む)で割った票数を持つ。(小数点2位以下切り捨て)

参考:一例として,ある投票時における団体会員の分類が
昨年度の春季大会の参加校数
   25校以上 1団体
   10校以上25校未満 1団体
   10校未満 2団体
   不明、または今年度新設 4団体
春季に大会を持たない団体 9団体であり、個人会員の会員数が100人だった場合を考える。個人会員の票の割り当ては、
(20 x 1 + 15 x 1 + 10 x 2+ 10 x 4 + 5 x 9) / 100 = 1.55
よって一人あたり 1.5票となる。

4. 各会員の票が確定後,最も多く得票したプロポジション案を推薦プロポジションとする。

 

各プロポジション案の背景

 

第一案 犯罪報道とプライバシー

 

マスコミをにぎわせた砒素入りカレー事件、また14歳の少年が小学生を殺害し犯行声明を出した酒鬼薔薇事件などは、犯罪報道と個人のプライバシーの問題を改めて浮き彫りにしました。また、事件そのものではなく被害者のプライバシーがTVのワイドショーで商品化されることも、プライバシーと言論の自由の兼ね合いの上で問題があるでしょう。

 本命題は、このような風潮を背景にして、政府がマスコミの犯罪報道に対して規制を行うことの是非を問うものです。肯定側は、個人のプライバシー保護を利益として主張できるでしょう。また否定側は、マスコミに対する威嚇効果による言論の自由の侵害などを弊害として指摘することができるでしょう。また、プライバシーそのものの線引きをどこで行うか、ということも議論になるでしょう。

 

第二案 医者と患者の関係

 

現在、患者がは医者の専門性を信頼して,治療方針の選択を委ねていることがほとんどです。しかし,このような医者/患者関係が,医療過誤や不必要な治療の温床となっている面も否定できません。医療サービスを受ける側にも,より積極的な関与が求められているといえます。

 このプロポ案は,これらの問題に対して立法的な解決を行うことの是非を問うものです。予想される肯定側の論点は,ニーズに沿ったよりよい医療サービスの提供,不必要な治療の低減,患者の側の意識向上などがあげられるでしょう。否定側の論点としては,医者に今まで以上の責任を負わせることで,医者が必要な治療においても消極的になる可能性,患者の反対による必要な治療プロセスの阻害,コストの増大などがあげられるでしょう。

 

第三案 憲法改正


日本国憲法のうちで最も有名かつ議論にあげられた条項をあげるとすれば、戦争の放棄をうたった第九条にとどめを刺すでしょう。自衛隊の違憲論議や、PKO 活動への参加の是非など、国論を二分する防衛・外交問題がこの憲法の条文との関連のなかで議論されてきました。

この命題案は、単に個別の防衛戦略や条文解釈の変更にとどまらず、憲法改正により日本国としての態度変更を行うことの是非を問うものです。肯定側は、PKFなど金銭面にとどまらない有形の国際貢献活動が可能になること、国連の常任理事国入りの可能性、米国との関係改善、などを利点としてあげることができるでしょう。また海賊の被害への効果的な対応、なども議論できるかも知れません。一方の否定側は、日本の軍国主義化、中国との関係悪化を筆頭とするアジア地域の不安定化などを弊害としてあげることができるでしょう。また、類をみない「平和憲法」が改正されたことによる他国への政治的・思想的な影響も議論することが可能でしょう。

さいごに

 

プロポジション候補案を作成するにあたってご協力頂いた個人、団体の皆様に感謝します。推薦プロポジションの最終決定を会員投票に委ねることによって,より多くの声をプロポジションに反映させるという,この制度の趣旨が生かされるよう,是非とも御協力お願いします。

 

JDAプロポジション委員会

小野 剛(委員長) 鈴木 健 瀬能 和彦 青沼 智 臼井 直人

矢野 善郎 飯田 浩隆 安井 省侍郎

 



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