2004年度後期推薦論題会員投票のお知らせ



会員各位

日本ディベート協会(J.D.A.)論題検討委員会は,2004年後期の推薦論題の候補として,関係各位のご協力の下,次の三つの論題案を選びましたことを取り急ぎご報告させて頂きます。

会員の皆さまには後日事務局から投票用紙が届きますので,締切である7/27火までにファックス・郵便で指定された宛先に投票をお願いします。


A) 日本政府は,男性の正規労働者に,その子どもが一歳に達するまでに最低8週間の育児休業の取得を義務付けるべきである。

(英文試訳 Resolved: That the Japanese government should obligate male regular employees to take a child-care leave for at least 8 weeks before their children become 1 year old. )


出生率の「1.29ショック」など,少子化問題は近年大きな関心を集めております。問題の一因とされるのは,女性のみにかかっている過重な育児負担です。例えば日本では1992年に育児・介護休業法が制定され男女とも育児休業が取得可能となったものの,育児休業取得率は女性56.0%に対し男性はわずか0.33%です。北欧諸国等では,男性の育児休業取得を強く促進する政策を導入し,少子化に歯止めをかけることに成功しています。本論題案は,そうした男性の育児参加促進策をとることに関し,少子化問題,ひいては育児意識やライフスタイル変革について議論するものです。予想される肯定議論としては,女性の育児不安の解消にともなう少子化への歯止め,男女平等社会の実現,男親の育児参加にともなう子供の成長への影響などがあるでしょう。対して否定側としては,労働パターンの変革にともなう経済的損失や,少子化対策の代替案や,また「男性に対する逆差別ではないか」,「そもそも少子化対策は必要なのか」という原則論などをぶつけることも考えられるでしょう。JDA推薦論題において,労働問題,男女平等問題をとりあげるのは珍しいですが,誰もが当事者になる可能性のある育児の問題ですし,実生活にも役に立つ議論が行いうると思います。

B) 日本政府は,原則全ての高速道路料金を無料にするべきである

(英文試訳 Resolved: That the Japanese government should make all or most expressways toll-free.)


高速道路をめぐり,近年国会などで激しい政争が繰り広げられたのは記憶に新しいです。この論題案では,こうした現実の道路行政の問題を背景に置きつつも,特定の政治利害にとらわれず,高速道路料金の問題を議論しようとするものです。
予想される肯定議論としては,高速道路の活用が図られ,物流の改善,地方の過疎化や都市圏への過密化の解消などがあります。逆に否定側は,交通量の過度の増大にともなう渋滞や,市場メカニズムの喪失にともなうサービスの低下などを論じ得るでしょう。他にも,高速道路料金は本来特別措置であり負債を償還し終えたあとは無料にするべき,あるいは一律で税金からメンテナンス費用をとるのは利用者負担原則に反するなど,より原則論的にディベートを進めるのも面白いでしょう。民営化の問題や,高速道路の新規建設などについても広がりをもった,「高速道路のありかたはどうあるべきか,国家はそれにどう関わるべきか」といった深いレベルまで議論が可能な論題だと思われます。


C) 日本政府は,原則全ての職種で外国人労働者の雇用を認めるべきである

(英文試訳 Resolved: That the Japanese government should allow the employment of foreign workers in all or most occupations.)


現在日本政府は,就労を目的とした外国人の入国・滞在を,原則として,技能・専門職種以外では認めておりません。本論題案では,外国人労働者が,いわゆる「単純労働」を含む原則全ての職種についても就労できるよう,労働市場の門戸を開くことの是非を議論するものです。予想される肯定側議論としては,今後急速に進む少子高齢化社会における労働力不足の解消や,社会保障費用の軽減などを論じることができるでしょう。他方,否定側としては,外国人労働者受け入れに伴う行政的・社会的コストの増大,治安の悪化の危険性,日本人雇用に対する悪影響などを論じうるでしょう。また,現在25万人を超えるといわれる「不法就労外国人(超過滞在外国人労働者)」の処遇や,外国人労働者の具体的な受け入れ方法(目標数値など)も議論の射程に入ることでしょう。いずれにせよ,世界的なグローバル化の潮流の下,日本社会の行く末を考える一つのきっかけとなる論題になることでしょう。


論題についてのご意見募集・英文試訳について
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開票・発表は,7月28日(水)午後6時30分より上智大学(東京・四谷)SJハウス(4号会議室)にて行います。その際,推薦論題に文言上の微修正を加える可能性があることを予めご了承下さい。

論題は,多くの人が関わる公共財であり,なるべく多くの会員の方々の投票や,関係者の皆さまの知恵を結集して,良い論題を発表できればと考えております。是非ご協力お願い申し上げます。


注意:なお電子メールでの投票は受け付けておりません!
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時たまサークルの方から,投票用紙が届かないというお問い合わせがありますが,
JDAの団体会員でない限り投票権はありませんので,今一度ご確認の上お問い
合わせ下さい(ちなみに個々のサークルも団体会員になれます。今回の投票には
間に合わないですが,是非ご検討下さい)


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