2004年度前期推薦論題会員投票のお知らせ



会員各位



日本ディベート協会(J.D.A.)論題検討委員会は,2004年前期の推薦論題の候補として,次の三つの論題案を選びました。

A) 日本・中国・韓国およびASEAN諸国は,自国通貨を廃止し,共通通貨を採用すべきである。


「ボーダーレス」という言葉に象徴される現代社会では,人々の国境を越えた交流がますます活発になっています。こうした流れをさらに押し進める政策として注目を集めているのが,共通通貨の採用です。ヨーロッパにおけるユーロの導入が成功と言えるのか,現時点では結論は出せませんが,この壮大な実験に刺激され,ASEANをはじめとする東南アジア諸国の会議でも,いよいよ共通通貨の設立が現実的にも検討される段階に入っています。経済交流は進展するかもしれないが,逆に途上国の産業を破壊することにはつながらないか。また,通貨危機とは無縁の安定した通貨を手に入れるかわりに,国別の通貨政策を放棄して本当に大丈夫なのか。この論題案では,あえて日本という主語をはずし,経済面での交流・協調・発展などのメリットや,先進国・途上国間での統一通貨制度への適応の差から生じる経済混乱・破壊,世界経済のブロック化などのデメリットなどを,より大域的な視点に立って議論をすることになります。

B) 日本政府は,診療報酬が全面自由化されるように健康保険制度を変更すべきである。


日本におけるほとんどの診療報酬は,主としてその健康保険制度のおかげで,ほぼ全国均一になっています。それは病院間の競争を減らし,均等な医療の提供には役に立ちますが,逆に言うと,各病院は画一的なサービスしか提供できません。これはアメリカなどの医療制度とは対照的です。この論題では,診療報酬を自由に決定できるようにすることで,多種多様なサービス・診療・治療を実現することの功罪を論じていくことになります。メリットとしては,例えば,病院・患者の双方にコスト意識を持たせ,競争原理により,質の高い医療を提供できるなどと論じられるでしょう。他方デメリットとしては,営利追求の結果,低所得層が医療サービスを受けられない等の弊害も考えられます。高齢化社会にともない,医療費負担は,国家・地方公共団体,あるいは各健康保険団体の財政を圧迫しております。そうしたマクロな側面も含め,医療問題を考える良いきっかけになるのではないでしょうか。

C) 日本国は,国会議員の選挙にあたり,比例代表制を全ての議席に適用すべきである。

日本の現行選挙制度では選挙区制と比例代表制を並立で採用していますが,選挙区制で当選者以外に投じられた死票が非常に多いことから,選挙の結果が民意を正確に反映していないという批判もあります。一方,先日の衆院選に見られるように,小選挙区制によって英米型の二大政党制に近づきつつあり望ましいという考え方もあります。この論題案では,日本における完全比例代表制の導入の是非を問い,各選挙制度のメリット・デメリットについて考えることになります。想定される肯定側の議論としては,死票を減らして民意をより政治に反映させられること,それによって小党が増えることで多様な価値観を汲み取れることなどがあります。否定側は,少党連立によって政治が不安定になりやすいことや,政権政党の責任追及が曖昧になりやすいことなどを挙げることが予想できます。



注意
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JDA会員の皆様には近日中に,投票用紙が送付されますので,必要事項にご記入の上,矢野宛に 1月31日(土)必着でお送り下さい。

推薦論題の開票・発表は,2月1日(日)午後6時30分より上智大学SJハウスにて行います(その際,論題に文言上の微修正を加える可能性はありえます)。また日本語推薦論題に基づき,おおむね同じエリアを持つ英語推薦論題の文言も決定・発表します。ご関心のある方は,参加自由ですので,是非お立ち会い下さい。

注意!!
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電子メールでの投票は受け付けません。投票は,必ず郵送された正規の投票用紙の郵送もしくはファックスでよろしくお願いします。


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