2006年度後期推薦論題
会員投票のお知らせ


<投票用紙は、JDA会員あて別途郵送されます。>

JDA-MLにご参加の皆様

後期、JDA論題作成委員担当者の久保@JDA理事です。

JDA後期論題候補案について、JDA会員の皆様には、後日以下のような文章がお手元に届くことになります。皆様ご検討のうえ、ご投票ください。

なお、今回は英語ワーディング等の体制変更等が重なり、投票期間がかなり短くなってしまいました。大変、申し訳ありませんが、何卒ご理解のほどをよろしくお願いいたします。

なお、文言は日本語も英語も開票の際に変更する可能性があります。皆様におかれましては、引き続きご協力のほどをよろしくお願いいたします。

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2006年後期推薦論題の会員投票のお知らせ

会員各位
日本ディベート協会(J.D.A.)論題検討委員会は,2006年後期の推薦論題の候補として,次の三つの論題案を選びました。
A
) 日本銀行は、インフレ目標政策を導入すべきである。

(英語試訳:Resolved: That the Bank of Japan should[adopt/implement] [an inflation targeting policy/inflation targeting].


インフレ目標政策とは、 @数値化された目標インフレ率(範囲)を明示し、A先行きのインフレ率を予見し、B目標と先行き見通しの差を埋め、目標を達成するように金融政策を行うというものです。

インフレ目標政策は、日本と米国を除くほとんどの先進国の中央銀行によって採用されているものの、日本においては未だ本格的な導入には至っていません。本論題案は、日本における中央銀行である日本銀行(政府からは独立した機関になっております。)によるインフレ目標政策導入の是非について議論を行うものです。

肯定側は、日銀が目標インフレ率を公表し、企業や国民のインフレ期待を高めることによる投資の活発化や、金融政策の信頼性・透明性向上による経済の安定化、そしてデフレからの脱却や物価安定などをメリットとして論じる事になるでしょう。一方否定側は、金融政策の自由度の低下や、現状のほとんど物価上昇のない状況から無理にインフレを起こす事によるハイパーインフレの発生、財政への悪影響などをデメリットとして提出することになるでしょう。

現在、日本経済はデフレから脱却しつつあると言われる中、先日は日銀によるゼロ金利解除がなされました。こうした中にあって、デフレ脱却を主眼に活発に議論されたインフレ目標政策導入論はやや弱まりつつあります。また、経済の細かい議論を扱うため、かなり専門的な知識が必要になる可能性もあります。その上、論題の性質上「インフレ目標政策」の内容が肯定側によってコントロールされない状態で議論を進める際の不具合の可能性(プラン主体によるプランの実行阻止など)についても、論題委員会において指摘されています

しかしながら、金融政策が正常化しつつある今だからこそ、これからの日銀の金融政策の方向性を考えるために、インフレ目標政策の是非を議論すべき、という考え方もありますし、我々の生活と密接に結びつく経済・物価について、深く理解し、議論する価値は十分あると考えます。

また「インフレ目標政策」 の内容自体も、ディベーターが詳細に検討する余地はあり、肯定側・否定側とも、論題を研究すればするほど深い分析の議論や、バリエーションに富んだプランを提出する事が可能です。新しい分析も多く出続けているので、シーズンが進んでも議論が固定化することなく、有意義なシーズンとすることができると考えます。
以上を踏まえて、本案を論題候補として採択いたしました。



B)論題案:日本政府は、核燃料の再処理を禁止すべきである。

(英語試訳The Japanese government should abandon the policy of reprocessing nuclear fuel.)



核燃料の再処理とは、原子炉から出た使用済み燃料から、未反応のウランや、ウランから生成されたプルトニウムなどを抽出する処理のことをいいます。現在、日本は核燃料のリサイクルを政策として推進していて、その中の重要な要素の一つです。現在、青森県の六ヶ所村に施設がほぼ完成し、本格稼動に向けたテストを行なっています。再処理には、燃料を効率的に利用できることや使用済み燃料の量を減らせるといった利点があります。その一方で、事故や放射能漏れなどの危険性や、抽出したプルトニウムによる核武装の可能性なども指摘されています。また、高速増殖炉を用いた本格的な核燃料リサイクルについて実用化の目処が立っていないため、それを前提にした再処理は不要であるという意見もあります。

 核燃料の再処理やリサイクルについては、賛成・反対ともに文献資料が多数あるとともに、原子力発電や核武装などとも密接な関係があり、多面的なディベートが可能です。また、2006年になってから六ヶ所村でのテストが本格化したため、非常にホットな話題でもあります。そこで、論題候補として推薦しま
す。
予想されるAD:
・事故を未然に防ぐ
・核武装の可能性をなくす(DA にもなり得る)

予想されるDA:
・使用済み燃料が処分できなくなるため、原発を停止しなければならなくなる。
・核燃料リサイクルの崩壊に由来する弊害(ウランが枯渇した場合のエネルギー 不足など)。
懸念事項:
AD と DA とを見比べて、否定側に若干不利ではないかという指摘が出ています。というのも、日本政府は核燃料リサイクルについて方針を変更しており、「核燃料リサイクルの崩壊」はDA としてユニークになりにくい可能性があるからです。かつて日本政府は、抽出したプルトニウムを高速増殖炉で燃やす計画を推進していましたが、「もんじゅ」の事故などにより、高速増殖炉の実用化の予定は2050年以降と大きく後退してしまいました。そこで、当面の間は、プルトニウムを通常の軽水炉で燃やす(プルサーマル)ように計画を変更したという経緯があります。

[2006年前期よりの継続]
C) 日本政府は弾道ミサイル防衛システムの導入及び開発を一切放棄すべきである。
(英語試訳 Resolved: That the Japanese government should abandon any and all attempts to develop and/or acquire a ballistic missile defense system.)


日本政府は,弾道ミサイル防衛システムの整備を2003年12月に閣議決定し, 早ければ2006年末の配備を目指しています。現在, システム導入の準備が着々と進められていますが, 弾道ミサイル防衛計画には, 国内外で多くの懸念や反対意見が出されています。肯定側は, 弾道ミサイル防衛システムの実用性に疑問を呈したり,システムの導入が周辺諸国に及ぼす軍事的悪影響を論じうるでしょう。

また, 集団的自衛権の行使などの憲法上の問題や弾道ミサイル防衛計画に費やされる膨大な国防費も争点にできるでしょう。一方, 否定側は, 弾道ミサイル防衛システムの放棄による日本の防衛力の低下や他国からの先制攻撃の誘発, アジア地域におけるミサイル軍拡の危険性の増大, そして弾道ミサイル攻撃による被害の深刻性などを論じることができるでしょう。また,弾道ミサイル防衛の共同開発研究を進める米国との深刻な関係悪化も引き起こしかねません。

本論題は, 重大な局面を迎えている弾道ミサイル防衛計画の是非を議論すると同時に, 対米追従の外交政策や周辺諸国の軍事的脅威, そして戦後60年を迎えた「平和国家」日本の今後を考える格好な論題であると言えます。



会員の皆様は,同封の投票用紙に必要事項をご記入の上,推薦論題としてふさわしいもの全てに○をつけ,下記,久保宛に7月29日(土)必着でお送り下さい。最終的な推薦論題は,下記の票計算方法に従い決定します。

ファックス 久保健治(後日送付される書類にて公開)

郵送  久保健治(後日送付される書類にて公開)
投票の時点で会費を未納の会員は,投票権がありませんので,投票前に必ずお払い込みになったうえで投票してください。なお電子メールでの投票は受け付けません。投票は,必ず郵送かファックスでよろしくお願いします。(注意:送付先はJDA事務局ではありません!)


投票方法

1. 3つの候補のうち,後期の推薦論題としてふさわしいものにマルをつけてください。マルは複数つけて頂いて構いません。

2. 複数票 (N 票)を持っている団体会員は,マルを付けた候補それぞれに,N 票を投じたものと同じ勘定になります(例えば二つの候補にマルを付けたからといって,それぞれに N/2 票ずつ投じることになるわけではありません)。

3.投票の結果,最も多くの投票のあった案を推薦論題とします。


集計方法の詳細

JDA論題検討委員会は,推薦論題の最終決定を会員投票の形で行っております。その際,推薦論題使用の現況に鑑み,団体会員,特に大会を主催する団体会員の意見をより重視する形で決定します(ただし集計は全て論題検討委員の方で行いますので,会員の皆様は,複雑な手順を辿る必要はありません)。採決は,以下の規則に従って決定します。

1. 7月20日までに会員としての申込みの手続きを済ませている個人会員ならびに団体会員は,投票権を持つ。

2. 団体会員は,基本票として 5票持つ。ただし団体会員のうち,後期に大会を主催し,JDA推薦論題をその大会で使用する予定がある場合は,次のように大会規模に応じて上乗せした票を持つ。(大会規模に関しては自己申告に従います)

その大会の昨年度の参加校数が
25校以上 計20票
10校以上25校未満 計15票
10校未満 計10票
不明,または今年度新設 計10票

3. 個人会員は,団体会員の票数の総計(棄権票も含む)を,投票権を持つ総個人会員数(棄権者も含む)で割った票数を持つ。(小数点2位以下切り捨て)


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