2009年度後期推薦論題
会員投票のお知らせ


<投票用紙は、JDA会員あて別途郵送されます。>

会員各位
日本ディベート協会(JDA)論題検討委員会は,2009年後期の推薦論題の候補として,次の四つの論題案を選びました。

A) 日本国は日米安全保障条約を破棄すべきである

近年、在日米軍による犯罪や思いやり予算による財政の圧迫など、在日米軍の負の影響がクローズアップされる機会が増えています。しかし一方で、北朝鮮の核開発や中国の台頭など、アジア地域における安全保障も問題になっています。日米安全保障条約の破棄の是非を問う本論題では、在日米軍の問題にとどまらず、日本の防衛政策の在り方、日本と米国の関係、アジアの安全保障の問題など、様々な観点から議論することが可能となるでしょう。
肯定側は、在日米軍による犯罪の減少、思いやり予算削減による財政負担の改善、日本の軍縮によるアジア全体の軍縮などを論じることができます。また否定側は、日米関係の悪化による経済制裁、自衛隊増強による財政負担の増加、米軍撤退を機としたアジアの軍拡などを議論できます。どの分野の議論も肯否双方から論じることが可能で、バランスが良い論題であると考えられます。
懸念事項として、過去に採用された論題であることからその時の資料が使える可能性があります。しかし、過去に論題として採用されてから10年以上も年月が経過していることで、過去の資料の有用性は限られており、また近年の傾向をリサーチし直すことで過去の資料に対して優位性を示すことは十分に可能であると考えられます。それ以上に、現在大きな社会問題となっているアジア地域の安全保障に関してディベートすることは十分意義があると考えられ、論題候補として妥当であると言えます。



B) 日本政府は保険診療と保険外診療の併用を原則認めるべきである。

この論題は「混合診療」を表したものです。現在、日本の公的医療保険制度では保険が適用される診療を限定しており、保険適用外の診療(自由診療)と保険内の診療を同時に受ける混合診療は、原則として認められていません。このため、保険内の診療に自由診療が加わった場合は保険内の診療も保険適用外とされ、本来であれば保険適用内の診療も全医療費を患者が負担しなくてはなりません。混合診療の解禁により、この全額負担が軽減される一方、保険外診療の選択肢が増えることにより結局負担は増加するとの主張もあります。また、国内外から診療、薬剤、医療機器、サービスや個人保険に至るまで営利的な参入が促進されることから、様々な利点や弊害がもたらされると考えられています。
現在全面解禁を強く求める規制改革会議と抵抗する厚生労働省が争議していること、また裁判で混合診療の法的根拠が争われていることなどから、旬な話題と言うことができます。現状の日本は高齢化社会への変化に伴う医療費の増大が不可避の状態であり、保険制度の見直しを含む医療制度の変革は不可欠となっています。そのため、世界一の高齢化社会日本の将来を医療面から問う格好の論題であると言えます。


C) 日本国政府は道州制を導入すべきである。

現在、人口減少や高齢化、確立しつつあるグローバル市場を背景に広域な行政課題が増えてきています。複数の都道府県での環境規制や交通基盤整備、観光振興等の課題への取り組みが必要とされ、また都市への人口集中と地方の過疎化が同時に進行しており、今後も広帯域な行政課題は増加していくと考えられています。その中で、現状の中央集権的な役割分担では地方ごとに原因の異なる広範な行政的課題に対して必要な対策を十分に行えないだけでなく、重複的で無駄の多い行政になり、そのために必要な費用を負担できないなど急速に変化する地域の問題に現状の都道府県や中央政府は対応することが出来ていない側面があります。このため、道州制により明治以来の都道府県の区割りを再編し、さらに地方自治体に権限を与えることで、国と地方の役割分担を見直そうという動きがあります。
この論題により、肯定側は、二重行政によるコスト削減、地域の特色を生かした行政サービス、行政の役割の明確化による政策立案能力の向上、東京一極集中の解消などを論じることができます。否定側は、地域の文化やアイデンティティの消失、道州間の財政力格差の調整の困難化、政策決定主体が離れることによる行政サービスの低下などを論じることができます。本論題は、21世紀の日本のあるべき姿や、行政と市民との関係性について考える格好の論題と言えます。


[2008年後期よりの継続]
D) 日本政府は原則全ての企業に対してワークシェアリングもしくは同一労働同一賃金の導入を推進すべきである。

現在、日本は世界的な経済危機の中、様々な業界・企業が大幅な減産を迫られ、人件費削減の対象は非正規労働者から正社員にまで波及しています。特に大きな影響を受ける非正規社員(有期限契約社員、派遣社員、パート労働者など)は1700万人を越え、被雇用者数の1/3以上を占めていることからも、問題の深刻さが伺えます。しかし一方で、正規社員のサービス残業等による過労死や心の病も増加しているというジレンマもあります。こうした労働環境の中、ワークシェアリングや同一労働同一賃金制と言った労使協調による解決策の必要性を叫ぶ声が高まっております。
 ワークシェアリングとは、労働時間の短縮により新たな雇用を創出する「労働の分かち合い」であり、同一労働同一賃金制とは、正規・非正規雇用者間の賃金などの格差を是正する「労働者の均等待遇」を促進する政策です。これらの政策は所得格差への影響だけではなく、労働形態の変化による育児・介護面への影響や、医療・教育・ハイテク産業等の特定の業界の進捗や衰退による効果など影響が多岐にわたり、幅広い議論が予想されます。
懸念事項として、目下日本政府、日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会においてワークシェアリングの導入が検討されており、現状が情勢により大きく変化する可能性があります。従って本事項に関しては使用する各団体においてどう論題を用いるかやそのバランスに関して相応の注意が必要となります。しかし、これは対処可能な問題でもありますし、それを踏まえても現在大きな社会問題となっている労使環境に関してディベートする意義は十分にあることから論題候補として相応しいものであると言えます。(前期論題推薦文より転載)

注意


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JDA会員の皆様には投票一週間前に,投票用紙が送付されますので,必要事項にご記入の上,郵送及びファックスを7月31日(土)必着でお送り下さい。

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電子メールでの投票は受け付けておりません。投票は,必ず郵送された正規の投票用紙の郵送もしくはファックスでよろしくお願いします。


論題についてのご意見募集・投票に関する質問について

開票・発表は,8月1日(土)午後2時00分より行なう予定です。その際,推薦論題に文言上の微修正を加える可能性があることを予めご了承ください。

なお会員の皆様には,ご投票だけでなく,論題文案についてのアドバイスや問題提起なども頂ければ幸いです。投票用紙の備考欄にご記入頂くか,JDA-ML までメールでご意見をお寄せ頂ければ幸いです(投票方法等に関するご質問も,そちらでよろしくお願いします)。

昨年度同様、今年度もJDAは日本語論題のみを作成し、英語論題に関しては概ね同じエリアを持つ試訳を作成いたします。今回は「試訳」として一ページ目に英文を掲載しましたが,こちらの方はあくまで参考のための試訳であり、英語の文言は英語論題を使用する各団体に一任致します。ただし開票日に英語論題作成のための場所として議論の場をご提供しますので、ぜひご参加ください。試訳の文法・用語上の問題などがありましたら,是非上記メーリング・リストまでアドバイスを頂ければと思います。

論題は,多くの人が関わる公共財であり,なるべく多くの会員の方々の投票や知恵を結集して,良い論題を発表できればと考えております。是非ご協力お願い申し上げます。


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