1999年度後期推薦プロポジション


 

99年度後期の、推薦命題が決まりました。

決定された命題案は、以下の命題です。

 

Resolved: that Japanshould increase direct political participation of the people throughthe introduction of a direct election of the Prime Minister and/or acomprehensive system of national referendum.

 

日本は,首相公選制度又は国民投票制度の導入により,国民の国政への直接的な参加を可能にすべきである。

 

ワーディングの変更がありましたのでご注意下さい。なお、一般的に推薦命題の日本語案は、英語案の直訳ではなく、だいたい同じ範囲を持つ別のディベート命題です。ご注意ください。

 


<命題の背景>

 

現代の日本政府は,代議制に基づく間接的民主主義によって運営されています。しかし原発の是非,沖縄の基地問題など,国民的な関心の集中する事例では,間接的な参加方法だけではなく,国民の意見を政策に直接反映させる制度を導入したほうがよい,という議論がでてきました。

このプロポ案は,重要な議題に関して国民投票を行う制度の導入(レファレンダム制)と,日本の首相を国民の投票によって選ぶ首相公選制の二つを具体的な政策オプションとして用意し,直接民主制度と間接民主制度のどちらが望ましいかという,政治思想史でも重要な問題を取り上げます。

予想される肯定側の論点は,より良い政策決定,国民の政治意識の向上などが柱となるでしょう。首相公選制に関しては,政治的リーダーシップの発揮,任期を区切ることによる政権の安定化なども主張できるでしょう。否定側の論点としては,一貫性のない意思決定,代議制の崩壊などがあげられます。首相公選制は単なる人気投票に終わる,という議論も可能でしょう。また,直接投票による国民的熱狂は,ファシズムの契機となるなど負の側面を持つという議論もできるでしょう。

 


採決は,以下の規則に従って決定しました。

 

1.会員として承認されている,個人会員ならびに団体会員は,投票権を持つ。

 

2. 団体会員は,基本票として5票持つ。ただし団体会員のうち,秋期に大会

を主催し,この推薦プロポジションをその大会で使用する予定がある場合は,

次のように大会規模に応じて上乗せした票を持つ。

 

(大会規模に関しては自己申告に従います)

 

その大会の昨年度の参加校数が

25校以上 計20票

10校以上25校未満 計15票

10校未満 計10票

不明、または今年度新設 計10票

 

3.個人会員は,団体会員の票数の総計(棄権票も含む)を,投票権を持つ総

個人会員数(棄権者も含む)で割った票数を持つ。(小数点2位以下切り捨て)

 

4.各会員の票が確定後,最も多く得票したプロポジション案を推薦プロポジ

ションとする。

 

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投票結果です。

 

 秋季大会の規模による団体会員の分類

第一区 25校以上 3団体

第二区 10校以上25校未満 3団体

第三区 10校未満、校数不明、新設 3団体

第四区 秋季大会なし、または棄権    4団体

棄権    12団体

 

個人会員 130

 

個人票は、

(20x3 + 15x3 + 10x3 + 5x(4+12)) / 130 = 1.653.. = 1.6票

一人あたり 1.6 票となる。

 

+-------+-------+-------+

|第一案 |第二案 | 第三案|

------------+-------+-------+-------|

個人 (1.2票)|11 17.6|20 32.0| 8 12.8|

------------+-------+-------+-------|

第一区(20票)| 1 20 | 1 20 | 1 20 |

第二区(15票)| | 1 15 | 2 30 |

第三区(10票)| | 2 20 | 1 10 |

第四区( 5票)| 1 5 | 2 10 | 1 5 |

------------+-------+-------|-------+

計 42.6| 97.0| 77.8|

------------+-----------------------+

 

各マス目の数字のうち、左側は素票、右側が換算票

(複数投票がありえることに注意)

 

第一案 マスメディア

第二案 民主主義

第三案 医療

 

投票された JDA 会員の皆様、本当にありがとうございました。

 

またリサーチに協力頂いた各団体の代表者の方々、どうもありがとうございました。この場を借りてお礼を申し上げます。

 

今期のプロポ委員会では、大学 ESSのディベートに限らず、社会人の団体や日本語ディベート団体での使用にも耐え得る論題を目指して、多角的に検討を進めてまいりました。プロポ委員一同、この推薦命題が多くのディベート大会で活用されることを願っています。

 

JDA プロポ委員

小野 剛(委員長)

鈴木 健 瀬能 和彦 青沼 智 臼井 直人 矢野 善郎 飯田 浩隆 安井省侍郎

 



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