2000年第6回JDA春季ディベート大会A部門決勝 速記録 「日本政府は、エネルギー供給のための原子力施設をすべて廃止すべきである」 編集:安藤温敏 |
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はじめに 本トランスクリプトは2000年の第六回春季大会A部門決勝戦の記録である。 論題は、「日本政府は、エネルギー供給のための原子力施設をすべて廃止すべきである。」であった。 この年のA部門は2試合の予選が行われ、4チームが2勝したが、そのうち得点の高い2チーム、即席とんこつ(JBDF、稲田誠氏、桜井功男氏)と創価大学Debate Network Cチーム(創価大学DN、梅山英一氏、藤本洋介氏)が決勝に進出した。 決勝戦では5人の審判の投票により、3-2で、肯定側の創価大学DNが優勝した。また、この試合のベストディベーターとして、藤本洋介氏が選出された。 以下のトランスクリプトにおいては、ディベーターの話した内容を、明らかな間違いを除き、できるだけ忠実に再現している。 また、試合において使用された証拠資料の検証は行っていないので、転用する際には、再度出典等調査の上、使用していただきたい。 |
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肯定側第一立論 | ||
肯定側第1立論:梅山英一 創価大学Debate Network
C 創価大学2年生になる梅山と申します。よろしくお願い致します。始めにこのようなすばらしいトーナメントを開催してくださったJDAの皆さん、ありがとうございました。幸運にもこのような場に立つことが出来、大変うれしく思います。私はディベートを始めて1年にも満たないのですが、運にも恵まれ、決勝にくることが出来ました。ここまで連れて来てくれたパートナーの藤本君にも感謝を申し上げます。ありがとうございました。決勝では僕の足を引っ張らないように頑張って下さい。[不明]の皆さんもありがとうございました。2時間後には勝者としてこの場に立っていることを確信しつつ、肯定側第一立論を始めます。 これから肯定側第一立論を始めます。 プランを3点述べます。 1 原子力発電所を2001年から2010年にかけて段階的に徐々に廃止する 2 代替エネルギーは波を利用した波力発電とし建設を随時行ないます。 3 原子力施設の解体に伴う廃棄物の処分方法は地層処分とする 我々の提案するブランを導入すると次のようなメリットが得られます。それは、『原発震災の回避』です。 原発震災の回避です。現状においては、原発震災が起こりえます。なぜなら日本列島は現在の地球上で最も地殻変動が活発な変動帯であり、事実、世界の地震の10%は日本列島とその周辺海城で起こっています。そして、原発の立地に関して神戸大学都市安全センターの石橋克彦教授は『科学』97年10月号の中で次のように述べています。(引用開始)『通産省は、『活断層がなければ直下のM7級大地震は起こらない』という考えにもとづいて原発を立地しているが、地震科学的に完全に間違っている』(引用終了)日本の原子力発電所は現在52基稼動しており、そのうちの26基は国の地震予知連絡会の指定する特定観測地域・観測強化地域にあり、若狭湾沿岸の14基もその至近にあります。つまり日本の原発のなんと77%がそういった危険なところに位置しているのです。よって原発震災はいつ起こってもおかしくない状況にあるのです。 そして、原発震災は非常に大きな危険性をはらんでいます。それを以下の4点に分けて説明します。 1点目は、『地震による直接的な破壊』です。地震による直接的な破壊です。原発が地震に襲われたとき、もし、建物や機器が倒れたり壊れたりしたらどうなるでしょうか。その(衝撃)による影響というものは原発の外部、内部からともに発生するので最悪、放射能放出と言う事態になりかねません。 2点目は、『津波による被害』です。津波による被害です。原発は地震により津波が引き起こされた場合、津波が発生する前の引潮により冷却材喪失事故を起こす危険性があります。証拠資料を引用します。出典は慶応大学教授の藤岡佑幸著の『脱原発のエネルギー計画』からです。引用開始「津波が押し寄せる前には、海水が沖合まで引いてしまうことはよく知られている。この引潮で冷却水の取水口が空中に露呈してしまうと、冷却水ポンプが空回りをして原子炉の冷却ができなくなり、炉心融解事故に発展する可能性が高い。」引用終了。 3点目は、『緊急停止の不可時における被害』です。緊急停止の不可時における被害です。原発は、その震度計が一定の揺れを感知すると原子炉が自動に停止する仕組みになっています。そしてこの自動停止というのは、原子炉内に設置された制御棒が燃料棒に差し込まれて行なわれます。この時、もし地震の影響で制御棒が燃料棒に正しく差し込まれなかったらどうなるでしょうか。このことについて、先ほどの藤岡佑幸教授は同著書の中で次のように述べています。引用開始。「振動により制御棒が途中で引っかかってしまったらどうなるのだろう。制御棒は細い管の中を上あるいは下から急速に差し込まれて原子炉の反応を止める。この際、この管が折れたり曲がったりすれば、そこで引っかかって止まってしまう。そうなれば、原子炉を制御することは不可能になり、核暴走事故に発展し、チェルノブイリ級の被害が発生することは避けられない」引用終了。 4点目は、『崩壊熱による被害』です。崩壊熱による被害』です。原子炉の燃料は、崩壊熱のため停止後も大量に発熱しつづけます。崩壊熱の発生量は、原子炉停止直後では定格出力の10%に相当し、30分〜120分後には原子炉の鋼鉄をも溶かしてしまいます。そのため原発は、冷却のためのパイプや配管が地震の揺れによって破損し、冷却水が大量に失われた場合、「冷却材喪失事故」を起こす危険牲があります。この事故は、水蒸気爆発、または炉心融解(メルトダウン)といった更なる危険事故を引き起こす原因とされており、大変大きな危険性をはらんでいるのです。 以上の4点から原発震災には炉心融解(メルトダウン)や放射能放出という原発における最悪の事故の発生が常につきまとうと言うことがいえます。 しかしながら、地震が起きれば必ずこういった事故に至るとは限りません。そもそも、地震の大変恐ろしいところは、局地的に一箇所に集中して立地している原発を同時にその危険に陥れることにあります。参考資料を引用します。出典は「枢の列島」広瀬隆著です。引用開始。『東北の福島で兵庫県南部地震クラスの末期的大地震があれば、原子炉が10基まとめて爆発する恐れがある。北陸の福井ではまとめて15基である。』引用終了。つまり、原発が15基ある地域に地震が起こった場合、15基あるうちの1基だけでも安全装置が正常に作動しなかったら、先に述べた炉心融解または放射能放出事故という大事故に至ってしまうのです。よって、地震による大事故の発生確率というものは他のものに比べて大変高いと言うことがいえるのです。以上のことから、原発震災は大変大きな危険性をはらんでいるのです。 そこで我々のプランを導入すると、原発そのものがなくなるわけですから、こうした原発震災による諸問題やそれによって引き起こされ得る被害を回避することができるのです。 次に重要性を述べます。重要性を2点挙げます。 1点目は、『国民の生命が守られる』、国民の生命が守られるです。日本政府が行なった原発事故災害評価によると『原子炉中の放射能の50分の1が放出された場合、最大で死者720人、傷害5000人、要観察400万人』になるとしています。ただし、これらは急性傷害によるものだけなので、晩発性傷害や遺伝傷害は除外され過小評価であることが明記されており、さらなる被害が予想されます。我々のプランを導入すると、これら大変多くの命が救われることになるのです。よってこのことは大変重要です。 2点目は、『風評被害がなくなる』、風評被害がなくなるです。原発事故はたとえ大事故に至らなくてもイメージの悪化により地域産業に打撃を与える風評被害という形で国民を苦しめます。参考資料を引用します。出典は日本大学講師の野口邦和著、『徹底解明・東海村臨界事故』からです。引用開始。『風評などの被害は、地元東海村はいうにおよばず茨城県全域で起こった。中略。茨城県産の野菜などを買い控えたり観光客が例年に比べて大きく減ったりと、茨城県内の業者は大きな打撃を受けた。』引用終了。事実、風評被害により倒産した会社などもあることから大変これは大きな問題だといえます。 |
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質疑応答 | ||
否定側質疑:桜井→梅山 否定側:それでは質問させてください。 肯定側:はい。 否定側:まずですね、プランの3つ目、廃止した原発の処分に関してどうされるとおっしゃいました? 肯定側:地層処分です。 否定側:え? 肯定側:地層処分。 否定側:しそう? 肯定側:ちそう。 否定側:地層処分、穴に埋めるということですか? 肯定側:そうですね。 否定側:その安全性というのは証明されました? 肯定側:これは今考えうる中で一番安全と思われているものです。 否定側:そうですか。あと、特定地域ということで52基中、26基が特定地域にあるということですけども、この特定地域というのはマグニチュード7.9以上の地震が起こる地区ということですか? 肯定側:危険視されている地域ということです。 否定側:地震が起こる地域ということですか? 肯定側:そうですね。 否定側:日本は地震国なので、震度4ぐらい別に日常茶飯事なのですけども。 肯定側:そうですね、どこでも起きるのですが特に重要視されているということで。 否定側:活断層の上にあってマグニチュード7.9以上のものが起こるということですか? 肯定側:マグニチュード7級ですね。 否定側:マグニチュード7クラスということですね。 肯定側:そうです。 否定側:それが起こるということはおっしゃっておられますか? 肯定側:観測地域で7級大地震が起こるということですよね。 否定側:はい。 肯定側:いえ、それは… 否定側:そうですよね。あと、広瀬隆さんってどなたですか? 肯定側:ノンフィクション作家。 否定側:ノンフィクション作家。だいぶ、思想的に傾いているように思われますが。 肯定側:まあそうなのですが、私たちの資料を見て欲しいのですが、私たちがこの資料で引用しているのは、15基まとめてとか、10基まとめて爆発する可能性があると、即ち、これは原発が一ヵ所に集中して立地しているということを証明しただけなのです。これは事実なので、誰が言っていようとも関係ないと。そう認識していただきたいですけども。 否定側:それでは次に行きます。風評被害に関して。 肯定側:はい。 否定側:風評被害、東海村のときありましたけども、例えば、日本の経済がこの[不明]に傾くというと円安になったり、そういうのも風評被害と言っても良いのでしょうか? 肯定側:円安になったり? 否定側:ええ。 肯定側:よく分からないのですが。 否定側:ああ、そうですか。後で説明させていただきます。そうしますと、リスクに関してなのですけども、例えば、今日電車でこちらに来られたと思うのですが、日比谷線の事故もあるように、電車の事故って多いですよね? 肯定側:はい。 否定側:多いというか、ありますよね。 肯定側:まあ、たまには。 否定側:それなのに、今日来られたというのはどうしてですか? 肯定側:でも、電車と原子力は違うでしょう。 否定側:やはり、必要なものは必要ですよね? 肯定側:でも、これはすごい危険性をはらんでます。特に日本では地震が多いので、大変こういう事故は起きやすいんですよね。 否定側:確率的に起きやすいということで? 肯定側:はい。 否定側:それは証明されてますか?[時間切れ] 肯定側:ありがとうございました。 否定側:ありがとうございます。 |
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否定側第一立論 | ||
否定側第1立論:稲田誠 即席とんこつ 簡単に自己紹介をします。即席豚骨という面白いチーム名で出たのですが、我々は本当に即席チームで、2、3週間前に結成したばかりです。私のパートナーが某即席麺で有名な食品メーカーに勤めていて、私が九州出身で豚骨ラーメンが好きということでこのチーム名に決めました。では、すみませんけども、いきなりデメリットのほうに入らせてもらいます。 否定側のデメリットを申し上げます。否定側第一立論、3つのデメリット。 肯定側のプランは、なんのメリットも生じません。そればかりか、3つの深刻なデメリットをもたらします。すなわち、失業者の増加と電力不足、更には環境破壊という困った問題を引き起こすのであります。肯定側のプランを容認するわけにはいきません。3つのデメリットについて詳しく述べます。 デメリット1:失業者の増加。 1) 原発産業には5-6万人もの従事者がいます。 原発産業は、すでに一大産業の地位を築いています。電力会社の職員・研究者はもとより、発電機器の製造業者、原料の取り扱い業者、安全施設の管理者等々、多岐にわたる関連産業が存在します。その多くが原子力の専門知識を活かした専門家であり、スキルワーカーであります。西尾漠、96年引用。「全国の原発では、年間に5-6万人くらいの人が働いていますが、そのうち電力会社の社員は5000人ほど。原子炉や部品のメーカーの社員も何人かいますが、大多数は、下請けの人たちです。」引用終了。 2) 原発廃止は、原発従事者の職を奪います。 原発の全廃は、文字どおり原発従事者の職を奪います。その道のエキスパートである彼らは、原子力分野でしか、その専門性を活かせません。したがって肯定側のプランは失業者 の増大を招くのです。 3) インパクト:自殺者の増加 失業は、収入を途絶えさせるばかりか、生き甲斐、自尊心まで奪ってしまうのです。それ故に、失業が自殺という不幸な結果すらもたらします。朝日キーナンバーでは97年にこのように言っております。引用。「失業率が0.1%上がると男子自殺者が351人増える」「男子の自殺者数と完全失業率と非常に高い相関をもっていることが分かる」引用終了。このように、原発の廃止は、原子力産業従事者の完全失業を引き起こします。原発廃止は、彼らに多大なる心理的・経済的苦痛を与え、自殺という不幸さえもたらすのです。 次にデメリット2について申し上げます。経済悪化であります。 1) 原発への依存度がさらに高まるトレンドにあります。 電力需要はさらに伸びる見通しです。今後ますます高まる電力需要を満たすためには、原発の重要度がさらに増すことになります。 a) 増える電力需要 総合エネルギー調査会が、98年にこのように言っております。 「電気エネルギーの利便性、安全性を、快適性を考えますと、電力需要は今後、省エネルギーの努力の進展によりその伸びは鈍化する可能性があるものの、なお当分の間、エネルギー需要の伸びを上回って増加すると見込まれています。〔引用終了〕」 b) 4割を越そうとする日本の原子力依存率 『日本の電源別発電電力量の実績及び見通し』の表より引用しております。98年です。 「98年の総電力は9079億キロワットアワーで、その内、原発が推定36.3%。2010年の総電力は1兆560億キロワットアワーで、その内、原発が45%を占める見込。[引用終了]」 2010年までの10年強で、電力需要は16%の増加が見込まれています。増加する電力需要を満たすため、原発依存度は更に増すのです。2010年には1兆560億キロワットアワーの45%、すなわち4752億キロワットアワーの電力が原発によるものと計算されます。肯定側は、代替エネルギーの補完性について計量的証明をしておりません。 2) 代替エネルギーの可能性はありません。 新エネルギーは、経済性・安定性・供給量・安全性において実用レベルにはるか遠く及びません。従って代替エネルギーの域に達しておらず、原発廃止による電力不足をカバーすることは不可能です。 リンクa) 代替エネルギーは、容量的に不可能。 リードハウス教授98年を引用します。 「エネルギー技術に関する議論で必ず登場する質問が、風力、太陽熱、地熱等との再生可能エネルギー源の役割に関するものである。OECD全体で見ると第一次石油危機後20年を経過したにもかかわらず総発電量の0.5%しか再生可能エネルギーが占めていないことを指摘することは有益であろう。」 次に、リンクb) です。 リンクb) では、代替エネルギーは、経済効率上に不可能であるということを述べております。 新田博士が次のように述べております。97年の資料です。 「反原発の人達が10人中9人まで21世紀のエネルギーとして頼りにしているのは、自然エネルギーだ。米国でウインドファームが有名になり、風力発電は発電コストが1キロワットアワーあたり6セントと主張している。しかし、天然ガス・火力発電は同3.5セントであり、風力発電の経済性は劣っている。だからメー力一の関係者も、ぱったり風車の注文が途絶え、今後15年聞は米国で風力発電機の新規需要がほとんどないだろうと話している。ちなみに太陽熱発電、太陽光発電も同9セント、同10セントで経済性は劣る。〔引用終了〕。」 このように代替エネルギーでの補完は、容量的にも経済効率的にも、非現実的なのです。 次に、3)です。電力不足およびコストアップは深刻な経済悪化を引き起こします。 原発廃止の経済的影響については、スウェーデンにおいて計量的に行われております。 ノードハウス教授が、98年に次のように述べております。 「電力価格が上昇するために急激な相対コストの上昇に見舞われる産業は、国内市場だけでなく、国際市場においても競争力の低下が予想される。〔引用終了〕。」 ノードハウス教授は、さらに次のように続けております。 「原子力フェイズアウトとC02排出抑制の双方を行なったケースでは、基準ケースと比較して、実質所得を530億ドル喪失したことになる。この最も厳しいケースの影響を評価するならば、経済厚生に与える影響は26億ドルの喪失と大きく、これは、現在のGDPの1%をやや上回る規模に相当する。〔引用終了〕。」 スウェーデン同様に原発依存率の高い日本でも、同様の経済損失、すなわちGDP1%を越える喪失が推定されます。 4) 経済悪化は失業、ひいては自殺者をもたらします。 不況を引き起こし、税収減少・失業率アップは免れません。これはデメリット1のインパクトで証明した通り、自殺者の増加にもつながっています。 次に、デメリット3について述べます。地球温暖化の、地球環境の崩壊です。 火力発電の増加により、CO2の排出により、地球温暖化をもたらします。また、亜硫酸ガスの排出は、酸性雨、大気汚染も引き起こします。 ノードハウス教授は、98年に次のように言っております。 「原子力発電分の電源が火力によって代替されてしまった場合、昔からの汚染物質である硫黄酸化物や…[時間切れ]」すいません、以上です。 |
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質疑応答 | ||
肯定側質疑:梅山→稲田 肯定側:では、これから質疑応答を始めます。よろしくお願いします。 否定側:はい。 肯定側:えーとですね、まずその、デメリットは3点ですね。失業者の増加、経済悪化、環境破壊。以上ですか? 否定側:はい、そうです。 肯定側:わかりました。それで、聞きたいんですけれども、私たちはその代替エネルギー、先ほど否定側は代替エネルギーがその電力不足、などの(引き金となる)といわれて、その太陽光とか風力とかおっしゃられていましたけれども、私たちが言っているのは波力なんですけれども、その辺はどうですか? 否定側:すいません、何力ですか? 肯定側:波力です。 否定側:ハリョク?波の力?わかりました。 あ、それもニューエネルギーの一種と捉えて、我々は、デメリットを提出しております。 肯定側:じゃ、次に聞きたいんですけれども、先ほどその、失業者の増加のデメリットの深刻性、ですかね、及び自殺者の増加ってありましたけれども、そこをもう一回説明してはもらえませんか? 否定側:では、失業率が上昇すると、自殺者が増える、と。 肯定側:はい、あ、0.1%のところからいいですか? 否定側:失業率0.1%上がると、男子自殺者が351名。で、自殺者数と失業率は相関関係を持っている。 肯定側:わかりました。次に、デメリットの2の、経済悪化のとこで、スウェーデンの例をあげられてましたけれども、ここの意味がちょっとわからなかったんですけれども、もう一回。 否定側:はい。スウェーデンにおいては、日本と同様に原子力発電の重要度が高いですから、そのスウェーデンにおいて、計量的な実証というか、計算がされたものを、我々はデメリットのシナリオとして引用しております。 肯定側:スウェーデンでは悪化するから、悪化してるから、日本でも悪化するって、それでいいんですか? 否定側:まぁ、そういうことです。 肯定側:わかりました。でも、日本の制度は違いますよね? 否定側:そりゃ、国違いますからね。 肯定側:あ、わかりました。次にですね、電力需要が増加する、という点で、その36.3%とあげられてたんですけれども、これは何年ですか?ちょっと、聞きとれなかったんですけれども。 否定側:えーと、電力需要が増加するのではなくて、電力需要の供給が間に合わなくなるということですけれども。 肯定側:電力需要が増加するんではないんですか? 否定側:増加するんじゃなくて、供給が間に合わなくなるんです。 肯定側:でも、それは簡単に言えば、電力需要が増加するんですよね?需要が増加するんだけれども、供給が間に合わなくなると。 否定側:あ、すいません。増加もしますし、不足もするということですね。 肯定側:この、36.3%というのは何ですかね? 否定側:原発の依存率ですね。 肯定側:依存率が36.3%。 否定側:はい。現在のですね。 肯定側:でも、この36.3%っていうのは今その、原子力っていうのは、強さを弱強が、強さをボリュームが出来ないんで、そういう意味で36.3%ってだと思うんですけれどもね、これは。 否定側:はい。 肯定側:だから、火力っていうのは…、あ、じゃいいです。 えーとですね、あとは、…[時間切れ]ありがとうございました。 |
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肯定側第二立論 | ||
肯定側第2立論:藤本洋介 創価大学Debate Network
C はい、それではこれから、肯定側の第2立論をはじめていきたいと思います。まず、デメリットの失業者の増加ということに関して。これに関して、オプションで2点反駁したいと思います。 まず1点目。失業者の増加という問題は、現状の不況を見てもわかるように、現状でまず起こっている問題です。現状でこのリンクが正しいのかどうか、これに関してはちょっとわかりませんが、これが正しいのであるとすれば、現状の不況による失業者のほうがはるかに多いわけですから、現状でもたくさん自殺者が出ていることになります。よって、このデメリットに関しては固有性がありません。 2点目。雇用がなくなるという問題に関してですが、我々のプランにもあるように、我々は、新しい新エネルギーの提案をしています。つまり、この新エネルギーの導入によって、そちらで新しい雇用が創出されるわけです。先ほど、専門分野でないから、という話が出ましたが、専門分野でなかったとしても、雇用創出という点では、たとえ専門分野でないということで給料が下がったということがあったとしても、全く職がないという状態にはならないわけで、結局その否定側が見ているような、自殺、といったところまでつながるといったことは起こり得ません。 それから、デメリット2点目の経済の方について反駁したいと思いますが、これに関してですが、まず、電力が不足してしまうのではないかという問題が挙げられていました。これに関して、現在でも電力は十分に足りているんだという反駁をしたいと思います。 引用します。出典は、『原子力を問う』の中で、藤田ゆう子、慶応大学教授は次のように述べています。「昨年の夏、8月23日の午後3時ごろ、日本の電力の消費はピークになりまして、一億二千万キロワット程度になりました。この時、日本の発電設備の全体の容量は一億6千万キロワット以上ありました。原発はそのうち2500万キロワット程度でしたので、原発をすべて止めてもなお1100万キロワット程度の余裕があります。原子力はなくても、電力は足りているということになるわけです。(引用終了)」 このように、現状で仮に原子力を直ちに止めたとしても足りるわけです。しかし、それでは今後の需要に困るということで、我々は波力を代替エネルギーとして挙げているわけです。それでは、その波力に関してですが、波力で十分にエネルギーを足りるということを述べたいと思います。建設省のホームページより引用を開始します。 「わが国全体に寄せる波エネルギーは、わが国の発電量の三分の一にも相当する量(約3600万キロワット)に達します。例えば日本海側は、冬になると海岸線1メートルあたり平均17キロワットの波エネルギーが来ると計算され、これは一般家庭約50件分の消費電力にも相当する量です。このように海洋に、大量かつ無尽蔵に存在する波のエネルギーを電気エネルギーに変換しようとするのが波力発電です。(引用終了)」 このように、日本に来ている波のエネルギーは、合計して三分の一にも相当します。つまり、日本の沿岸に波力発電の防波堤を、防波装置を設置することによって、そのエネルギーをまかなうことができるわけです。 それから、次にコストの問題について述べられていましたが、コストで、損失が大きいのではないかということが挙げられていました。しかしこれは、現状のまま原発を維持したとしても、コストは大きくなります。なぜかというと、原発、我々が肯定側立論で述べたような事故がおこった場合、事故がおこった場合には、日本国は多額の損害賠償を支払わなければならないからです。事実、チェルノブイリでは実際に、被害総額が50兆円となっています。証拠資料を引用します。出典は、『地球環境問題と原子力』日本科学者会議編の中で次のように述べられています。 「チェルノブイリ原発事故を例に考えると、ソ連原子力発電産業省エネルギー研究所のコリャキン教授の試算によれば、期間を2000年までとして限定したとしても、被害総額は50兆円、ソ連国家予算の4割にあたるものであったという。(引用終了)」 仮にチェルノブイリ級の事故がおこったとすれば50兆円、またそれに足りなかったとしても何十兆といった莫大な負担を国が背負わなければならないということになります。よって、最終的にかかるコストとしては、原発に関しても十分高いということがいえるわけです。 えーと、それではですね、もう一度デメリットの方に戻りたいと思います。よろしいですか?まず、雇用は失われない、と。そして、給料が多少下がることがあるとしても、まず雇用は失われない。そのうえで、深刻性の自殺ということに関してですが、この0.1%増加した、それに対して351人増加した、ということの相関関係に関してですが、これに関しても同様に、現状でも起こっているのであれば、これに固有の問題であるということはいえません。それから、デメリット2点目のスゥェーデンの、デメリット2点目の中の3点目のところで、スゥェ−デンのことが挙げられていましたが、これに関してですが、これに関しても先ほどの原発のかかるコストというものが大きくなるわけです。そのコストが大きくなるということに関してもう1点述べたいと思います。(2、3秒沈黙)以上で終わります。 |
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質疑応答 | ||
否定側質疑:稲田→藤本 否定側:では、始めたいんですけどいいですか。まず、プランについて確認させてください。 肯定側:はい。 否定側:プランによって西暦2010年までに全廃するということでよろしいですか。 肯定側:はい、そうです。段階的に廃止していき、最終的には2010年に廃止を行います。 否定側:2番目、代替エネルギーについて述べられたと思いますが、これは波力だけですか。 肯定側:現状で使われているエネルギーはそのまま使い、代替として、原子力発電でまかなっていた部分、まあ、まかなっていた部分といっても現状では足りているわけですから、その予備にですね、予備発電の分として波力を使っていきたいと。 否定側:ということは波力は予備発電の位置付けでしかない。 肯定側:確かにその能力としては3分の1をまかなっておりますので、原子力と同等の力を持っていると。 否定側:すみません、その3分の1というのはどういう数字ですか。 肯定側:日本の総発電量の3分の1ということです。 否定側:波力発電がそれほどのエネルギーを創出しているんですかね。 肯定側:いえ、現状では使われておりませんので、現状では3分の1は発生しておりません。 否定側:では、その3分の1というのはどこからきている数字なのですか。 肯定側:はい、これに関しては、日本にきている波のエネルギーですから、日本の沿岸部にその波力発電の装置を設置した場合、になります。 否定側:あ、それは日本の海岸線全てにその装置を付ければという前提ですね。 肯定側:測定の位置に関して直線的に測定していますので、全く全てということにはなりませんが、まあ、ほとんど全ての地域ということがいえると思います。 否定側:ほとんどの地域ですね、はい、ありがとうございます。、それでは、メリットのほうについて質問なんですが、いろいろ理由は挙げられてましたけども、重大性というのはどこに置かれているんですか。 肯定側:まず1点目としては、人命が失われるということです。先ほど、[不明]さんからも言われたように、[不明]、それから400万人以上の要観察の人間が生まれます。それから二点目として、風評被害ですね。その原発の置かれている地元の産業に与える深刻な被害。これに関しては、我々がみてる最悪の状態、つまり、メルトダウンですとかそういった最悪の状態にいかなかったとしても、仮にわずかな放射能漏れだったとしても、またそれがなかったとしても、起こると。そういうことに関して、2点、のことがいえます。 否定側:わかりました。それでは、メリットの1番目の2点目。事故のおこる原因なんでしょうけども、津波について触れられてますけども、これと波力発電の関連性というのを聞きたいんですけども。 肯定側:はい。 否定側:波力発電において、海岸線に施設を設置したときに津波がきた場合っていうのはどうなりますか。 肯定側:どうなるかというのは。 否定側:ようはそれによって、波力発電設備っていうのは壊れるとか、そういう可能性っていうのはありますか。 肯定側:津波によって波力発電所が壊れるかということですよね。 否定側:はい。 肯定側:津波に対する脅威に関してはわかりません。 否定側:はい、ありがとうございます。 |
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否定側第二立論 | ||
否定側第2立論:桜井功男 即席とんこつ それではまず、原発の安全性についてお話しいたします。その後、3番目のデメリットであります地球環境への影響をお話しいたします。 原発、安全であります。安全危険を論ずる上でですね、一番重要なことは確率的なことだと思います。統計的な裏づけがあるかないか、ここをまず検証したいと思います。『私はなぜ原子力を選択するか』、バーナード、コーエン、94年。引用します。「以下に挙げる原因による平均寿命の短縮日数を示してみよう。ここでは、米国全人口による平均余命の損失日数を表す。自動車事故:180日、中型車でなく小型車に乗ること:60日、原子力発電所の付近に居住すること:0.4日」引用終了します。 このようにですね、日常我々が普段危険にされされている、といえばさらされてますし、安全だといえば安全です。自動車も乗りますし電車も乗ります。電車も事故ありましたね、日比谷線。そのようにですね、色々なものを統計的に処理した場合ですね、原子力の、原発の事故による平均的な寿命短縮っていうのはたった0.4日間です。それに引き換えですね、自動車事故、道を歩いていても自動車に引かれる可能性もありますね。そんなものは180日間の寿命を縮めることになるんですね。皆さんもいいですか、寿命を長くしたかったら、180日間長くしたかったら、自動車に一切乗らないことです。いいですか、原発によって0.4日ほど、8時間ほど長く生きたかったら原発を廃止するということかもしれませんけども、このようにですね、原発のリスクというのは、安全性というのは、社会的に受容されているものなんですね。あまりにもそれのもたらすメリットが大きいということがいえるかと思います。 続きまして、そうとはいえ、更なるですね、安全策というのは、これはそれほど労多くしないで達成することが出来ます。まず、原発事故リスクについて反証したいと思います。 a) 人的要素。 a)-1 規制強化。 経済効率優先で安全管理がおろそかになる点については規制罰則を強化することで防ぐことが出来ます。操業停止処分などで安全義務違反は経済的にも見合わないと思わせればすむことです。 a)-2 周辺作業の機械化 燃料精製などの過程で、人的エラーを最小隈に留めるためには、手作業を機械化すればよいのです。臨界などをも前提にしたフェールセーフ設計を取り入れれば済むことです。 b) システム的要素 原発自体は多重防認瞳の考えが徹底しており心配には及びません。 エネルギー98通産省編 「設計面の安全確保策としては、多重防護の設計思想に基づき次のような対策が採られている。第一は、設計、建設、運転を通じて異常や故障の発生を未然に防止する対策である。(中略)機器の一部に故障があった場合にも、安全が確保されるフェールセーフシステムや誤操作によるトラブルを防止するインターロックシステムが採用されている。第二は、異常や故障が発生した場合でも事故への拡大を防止する対策である。(中略)第三は、万が一事故へ発展したとしても、放射性物質が外部へ放出されないような防止対策である。」 c) 自然災害 原発建設には、活断層を避けるなど安全が優先されています。また耐震・免震設計もされています。万が一、異常があっても、フェールセーフシステムによりトラブル回避が十分可能です。 鳥井弘之99年原子力の未来p126 「異常事態が起こり緊急に冷却する必要があれば緊急冷却装置(ECCS)が働くようになっている。」以上のように、原発の安全性はシステム的には極めて高いのです。人的エラーを回避するためには、規則強化と周辺作業の機械化をさらに推進すれば、もっともっと安全性は増します。現在では非常に安全なものではありますけれど、さらに安心をということであれば、それは現状の改正に関わらず、安全性を増すことが出来ます。 続きましてですね、デメリットの3つ目なんですけども、地球環境の破壊についてお話しさせていただきます。波力エネルギーなるものが補助エネルギーということをおっしゃられていますので、やはり原発がもしなくした場合、現在原発で36%の電力を補っていますけれど、それをもしなくした場合ですね、やはり火力発電というのが頼らざるを得ないだろうと、これは当然考えるわけです。そうしますと化石燃料というのが必要になります。これによりデメリットの3つ目、地球環境の破壊というのがもたらされます。出典『IPCC(気候変動に関する政府パネル)第二次評価報告』95年12月。引用開始。「CO2の排出に伴う地球温暖化について、IPCC第二次レポートでは、21世紀末に全地球気温は約2℃、海面は約50cm上昇するとの分析がなされている。懸念されている悪影響としては次の通り…[時間切れ]」以上です。 |
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質疑応答 | ||
肯定側質疑:藤本→桜井 肯定側:はい、それでは質疑のほうを始めていきたいと思います。まず最初に1点、資料をあげての反駁がありました。この寿命の何日短くなるかというこの統計に関してなんですが、まずお聞きしたいのはこの統計で、統計ということですから結局今までに起こった事故、特にアメリカとされていたわけですから、アメリカで起こった事故を元にその被害率、被害率というか死亡率を割り出しているわけですよね。 否定側:そうですね。 肯定側:はい、なるほど。ということはあくまでもこれは今までに起こった経過の数字であって今後起こる事故、そういったものに対しては全く考慮がなされていないと。つまり、この0.4日というのも今までに起こったものからすると、こうであるということですか。 否定側:といいますか、全て未来を予測するときに過去のデータに基づいて予測するわけですから、それは当然だと思います。 肯定側:なるほど、わかりました。はい、では次に移りたいと思います。次にですね、aとbにそれぞれ分けて反駁がなされていましたが、まずaのほうからいきたいと思います。人的要素に関してですが、まず安全管理だとか手作業から機械化することによって大丈夫になるという話がありましたが、このaは我々の立論のどこに対する反駁ですか。 否定側:手作業、これはですね、起こりうるヒューマンエラーを排除するために人的介入を少しでも減らそうということでさらに安全性を高めようということで、 肯定側:否定側としては人的なまずミスは十分起こりうるということですよね。 否定側:これはですね、そちらがおっしゃられた地震のときに能力的に対応できないみたいなことを、がありましたので、能力的には… 肯定側:どこの部分ですか。 否定側:冒頭基調演説でありませんでしたか。 肯定側:それに対して対応ができないというのをどこで我々言いましたか。 否定側:といいますか、ヒューマンエラーを排除することによりフェールセーフといいますか、そのようなことを強化しようということでございます。地震があった場合人は慌てます、ところが機械は慌てません。ですからその場でオペレーションをストップして何かあった場合の放射能をブロックする、そういうシステムを機械化して勧めていくということ。 肯定側:直接、直接我々の一点目、二点目、三点目、四点目にかかるものではありませんよね。 否定側:直接的というか、包含的ですね。 肯定側:はい。それからbの多重防護の件に関してなんですが、 否定側:はい。 肯定側:幾つかの多重防護の策が採られていると。その中でこれに対する、地震ですね、地震に対するものというのはどれが当たるわけですか。先ほど活断層に関しては、フェールセーフの…[時間切れ] |
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否定側第一反駁 | ||
否定側第1反駁:稲田誠 即席とんこつ それでは今[不明]にあがりましたように、デメリットのサポートに回りたいと思います。 まずデメリットの1番目、失業者問題に関してですが、彼らは2つ議論を出してきております。1つ目は、現状はもうすでに失業は起こっているという議論でありますが、これに関してはその重大性を増すという意味で原発廃止によるインパクトはさらに大きくなると。我々の最後のエビデンスは相関関係があるといってます。失業者が増えれば増えるほど自殺者が増えると。ということで、現状の失業者というのは問題になりません。原発の廃止によるユニークな失業者がそのまま相関関係によって自殺に追い込まれるというのが問題なわけであります。 2番目に、プランで新エネルギーを導入するからそれにシフトが起こるといっておりますが、これに関しては肯定側はぜんぜん証明しておりません。このシフトによる適応可能性というのは肯定側の議論ですから肯定側の立証責任があります。ただ、[不明]に関してはぜんぜん立証されてません。ということで、今いる5万人か6万人の従事者というのは肯定側のプランによって職を失う。それによって自殺に追い込まれるということは、今否定側の議論になっております。 次、デメリットの2番目に関してですが、まず彼らは電力が十分であるということで証拠資料を持ってきましたが、我々のデメリット2番目の私の読んだ第一立論の証拠資料を思い出してください。これはこれから電力需要は伸びていく。伸びていくことによって、さらにその伸びていった部分をカバーしきれないほど原発への依存度が上がると。それによって電力需要がカバーしきれないということを言っています。ということで将来のことについて全然触れておりません。現状のことだけです。ということで我々のデメリットの最初の所は我々のものです。肯定側の議論を採らないでください。 その次に、もし原発の大事故が起こればチェルノブイリの例で50兆円というようなことを言っておりましたが、まずそのようなクラスの原発事故は日本では起こりませんし、これまでにも起こっておりません。これから起こらないというのは私のパートナーが第二立論で証明しました通りです。規制強化によってフェールセーフシステム、その他安全機能が働くので絶対に起こりえない。まあ、ほぼ確実に起こりえないということで証明されております。 あと、肯定側の議論として波力発電のことについて触れられておりましたが、これは原発廃止による不足分を補えるということは全然証明しておりません。ということで、これの有効性というのは立証されておりませんのでデメリット2の経済的な悪化というものはすべて我々のものになります。 さらに私はもう1つのサポートの資料があります。『原子力と環境の経済学』98年の書物ですが引用します。「スウェーデンエネルギー環境政策(SEEP)モデルは2010年の原子力フェイズアウトが予期され効率的に対応される条件のもとであっても大きな経済的な損失を招くと予測している。1994年から2010年までの経済的損失の合計は89億ドルに相当するであろう。」ここでさらにデメリットの2番目の第一立論の資料を思い出してください。これはプランを採ることによって原発による電力供給がなくなる、それによって経済的な損失が多大なものであり、GDPの1%もロスすることになるということを言っております。ここのところを伸ばしていただきたいと思います。それによって経済的に悪化して、また自殺者が増えるという構造がある。これはデメリットの1番目でも証明しているものであり、デメリットの1番目と2番目、我々のものであります。以上です。 |
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肯定側第一反駁 | ||
肯定側第1反駁:梅山英一 創価大学Debate Network
C はい、これから肯定側第一反駁を始めます。 まずそのメリットの部分を見て欲しいんですけども、メリットの、先ほど否定側が述べられたのですが、人的要素。人的要素から機械に移動するとおっしゃられていました。それによってマニュアルにより被害がなくなるみたいな、そういうことをおっしゃられていましたが、我々が言っているのとは機械による、機械の誤作動ですね。質問でもありましたが、機械がその地震により、被害を被ってしまう。よって、このようなことをすると、余計私たちのメリットを強めておりますよね。よって、[不明]。 その多重防護についてですけれども。活断層に関して。活断層に関しておっしゃられていましたが、地震想定のレベルに関して、活断層とおっしゃられてましたが、この耐震設計というのは大変甘いんだ、ということを今から立証したいともいます。証拠資料を引用します。『棺の列島』広瀬隆著です。この中で述べられているんですけども、原子力安全局庁の答弁を丸写ししたものなんです。引用します。「300ガルか600ガルを想定して設計され、とりわけほとんどの原子力発電所は、これが300ガルか400ガルが中心となっている。日本では、東海大地震の危険性が高い浜岡原発3号と4号で最も大きな地震の想定がおこなわれている。それでも600ガルである。」引用終了。このことによって、神戸兵庫県南部地震というのはこれによると833ガルを記録している。よってこのように地震設計が甘いことによると被害がでてしまうということになるわけです。 その次にデメリットに対しての反駁をくわえます。先ほど、まず1の失業者の増加、自殺が増えるというその(リンク)ですけども、そこで相関関係で増えるとか何とかおっしゃられていましたが、まずはその省エネルギー(などに)より、それを[不明]にすると言っています。失業者が5万人6万人とおっしゃられていましたが、全体から比べると小さい。現状との差異はあまりない、ということであまりそのインパクトというのはありません。 次に関してですね、経済悪化のところを見て欲しいんですけど、電力によるコストが増加する、ということに関して先ほど反駁がありましたね。ありましたが、もう一回繰り返しますが私たちが言ったのは、原発によって、原発を維持しても、原発を維持することが逆にコストが増えると、言っているんです。先ほど私のパートナーが言ったことをもう一回繰り返しますと、事故が起こった際の50兆円、50兆円にいかないにしても[不明]の損害が生じるのでそのコストって言うのは多大なものであります。 次、代替エネルギーの電力不足に関してのことですけど、あの人たちは現状で欠けているとエビデンスを出していました。それに対して依存度は将来のことについて触れていないとそういう反駁がなされていました。しかし、依存率というのは、これが僕たちのエビデンス[不明]でいますので、もう一回繰り返しになってしますんですけど、その波力によってその3分の1を補うような感じというわけ。さらに電力は足りていると、言うことから見てもこのことは発生しません、現状でも足りているので。となりますと、その予備電力としてその波力を使います。 |
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否定側第二反駁 | ||
否定側第2反駁:桜井功男 即席とんこつ はい、それでは再び安全性についてお話させていただきます。その後ですね、肯定側・否定側のデメリット・メリットの比較をしたいと思います。 まず、第一に安全性ということでですね、ECCS、というのは、緊急停止装置ですね、このようなお話をさせていただいたかと思いますけれども、立論で最初の際にフェールセイフというお話をしております。これはですね、実際何かが起きた時に別のものでそれが補完される、例えばですね、制御棒が曲がったり、折れたりという心配を肯定側はされております。もしかしたら、それは起こるかもしれません。その場合に、別の方法で炉心を止めるということが、これがフェールセイフシステムです。インターロックシステム、これはですね、どうしてもそれが止まらなかった場合、それでも放射能を中に閉じ込めることによって、被害というのを全く外に、原子力発電所の外に出すことなく、防ぐことができるわけです。ということでですね、安全性ということに関して、全くご心配することはありません。 これに関しまして、さらに強化したいと思います。『スゥェ−デンのジレンマ98年』大事故は100万年に一回、引用します。 「現時点で、過去のデータと理論的リスクアセスメントを用いるならば、死亡者が1000人以上、或いは炉心溶融が起こるような過酷な事故のリスクは、100万炉年に一回から一億炉年に一回とするのが妥当な範囲であろう。興味深いことに、軽水炉の運転期間が長くなるにつれ、過去にあった事故の頻度は理論的に分析されたリスクの範疇に入るようになっている〔引用終了〕」。 尋問の最中にですね、私の統計というのは過去のものに基づいているのではないかなんていうようなご質問がありましたけれども、当たり前です。統計というのは全て過去のもので、それをデータとして未来を見ていくわけですけれども、そのデータが長ければ長いほど、多ければ多いほど、正確性が増すんです。ここで、私の証拠書類で言っていますことは、原子力の経験が長くなればなるほど、なるにしたがって、実際の確率というのがより証明されてきたということです。安全が、証明されてきたということです。それがいい証拠にですね、肯定側は心配だ心配だといろいろなケースを言っていますけれども、実害を伴った、地震での災害ですね、原発そのものがやられるような災害というものは、日本をはじめ、世界のどこでも起こっていないじゃないですか。それは、全くもって心配に値しません。これは、立論で返した通りです。 つぎにですね、さらにチェルノブイリ級のものということですけれども、これについて再発がないということを証明したいと思います。『私はなぜ原子力を選択するのか94年』引用します。 「旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で起きた事故は、古くからあった恐怖感を書き立て、このような事故が米国でも起こりえるのかという懸念を当然引き起こした。しかし、チェルノブイリの原子炉は、原子爆弾用のプルトニウムを生産できるように設計されており、米国で使用されているものとはまったく異なるタイプのものである。そこでは安全性に関してある程度の妥協がおこなわれていたが、こうした妥協は西側では到底受け入れられないものであった〔引用終了〕。」 つまりですね、ソ連の方では、機種そのものがタイプも違いますし、軍事兼用ということでですね、安全管理を怠ったおかげで、そのようなことが起こったということですね。さらに、彼らの、肯定側の言ってます、波動を含めた代替エネルギーというのは、全くもって立証されておりません。これは、私のパートナーが証明したとおりでございます。 |
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肯定側第二反駁 | ||
肯定側第2反駁:藤本洋介 創価大学Debate Network C それでは最後に肯定側の第二反駁を行っていきたいと思います。 さきほど、安全、先ほどから議論されている安全性の問題に関して、これに関してですが、先ほどから多重防護で大丈夫であるということを述べていました。しかし、これに関しては我々の立論ですでに全て多重防護がうまくいかないということが述べられています。先ほど多重防護で一体どうなるかというと、例えば我々が制御棒が折れるということに対して、制御棒が折れても原子炉は止まるんだといったことが述べられていましたが、しかし我々は緊急停止したとしてもその崩壊熱によってだめなんだということを述べています。 さらに、止まった場合でも放射能が外部に漏れなければ大丈夫であるということをのべられていましたが、それに関しても地震によって外部の、外部内部ともに被害があるということを1点目において述べているわけですから、放射能漏れということも十分に在り得るわけです。 つまりこの地震ということの恐ろしさは立論でも述べましたが、一度に同時に幾つもの複数のポイントに混乱が起こると、トラブルが起こる、これが深刻なわけです。それは立論から繰り返し我々が述べています。 先ほどから人為的ミスに関しては我々は述べていませんが、人為的ミスというのは一箇所に起こるものです。しかし先ほどから述べているように、地震というものは原子力発電所の幾つもの場所に、そして幾つもの原子力発電所に同時に起こるものなのです。つまりそれによって、この多重防護であったとしても、それが一度に破壊されてしまうと、そういったことも充分ありうるわけです。 さらに先ほどからずっと統計について述べられていますが、これは先ほど我々が述べているように過去のものです。過去のものだからといってこれを信用するしかないんだということをおっしゃっていました。しかし、考えてみてください。原子力発電所の歴史はまだまだ浅いものです。まだ原子力発電が始まってから何十年しか経っていません。しかし地震の周期というものは地球の動きですから、つまり百年二百年といった大きな周期の中で動いているわけです。それに対してわずか原発を何年かやっただけでその統計が絶対であると、そういった信頼をするのは非常に、その統計に対する過信であって、また全く意味のない統計であるということがいえます。つまり必要なのは、もっと大きな視点に立った、地震という地球の大きなサイクルにたった数であるので、我々の述べていることが正しいといえます。 また、この統計に関しては質疑でも確認しました通り、アメリカのものであるわけですから我々が立論で述べているように、地震が日本に固有のものであると、日本は特に地震が多いんだということを立論から述べていますのでこのことに関しても、世界中で地震の被害が起こってなかったとしても日本においていかに地震が多いか、日本はいかに地震列島であるかということは立論において述べていますので、仮に世界で起こっていなかったとしても日本では充分起こりうる可能性がある、またその可能性が高いということがいえるわけです。 それでは、デメリットとメリットを比較していきたいと思います。デメリットとメリット、共通している部分はインパクトにおいて死者が出てしまうということです。では死者が出るということに関してどちらがより深刻であるかということを考えなければなりません。我々が述べている原発による死者、そして否定側が述べている自殺者による死者、これはこの自殺による死者というのは、否定側も述べています通り、その失業することによって生活が苦しくなって自殺してしまう。そういったことでありました。しかしこれというのは社会のシステムであったり、またその人のその場の対応、自ら命を絶つわけですからその社会においてどうにでもなると言ってしまえば過言になるかもしれませんが、ある程度対策が可能であるわけです。それに対して、原子力発電所の被害というのはどういうものか。原子力発電所の周りに住んでいるだけで、また周りに住んでいなかったにしても、要観察400万人なわけですからその広い周辺部に対する普通に暮らしている我々、何も犯していない人々、そういった人たちに大きな被害が与えられてしまう。そういったことを述べているわけです。それに対して、我々が一体どういった防護策を対応できるのか。まして、まさか自分の家にシェルターを造るわけにはいきませんから、我々はそれに対して対応することが出来ません。そんなか弱い人たちを痛めつけるプランは無駄です。以上です。 |
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