10JDA春期ディベート大会決勝戦

 

論題:日本・中国・韓国および全ASEAN加盟国は、自国通貨を廃止し、共通通貨を採用すべきである。

 

死せるディベーター達の会 vs. ak2brains

 

編集:安藤温敏

 


2004313日、東京農業大学(東京都世田谷区)にて、第10JDA春期ディベート大会決勝戦が行われた。本トランスクリプトは、この決勝戦の模様を記録したものである。本大会の論題は「日本・中国・韓国および全ASEAN加盟国は、自国通貨を廃止し、共通通貨を採用すべきである。」であった。

4試合の予選および準決勝を勝ち抜き、死せるディベーター達の会(無所属、瀬能和彦・青沼智)とak2brains(東北大学ESS、加悦裕幸・赤津義信)の2チームが決勝戦に進出した。決勝戦の審査員は、常冨勇人氏(上智大学OB)、佐藤義典氏(ラップコリンズ)、瀧本哲史氏(全日本ディベート連盟代表理事)、小山雄輔氏(創価大学大学院)の4名であった。このうち、常冨氏、佐藤氏、小山氏および、会場の多数決によるオーディエンスボート1票を加え、4票を獲得した、死せるディベーター達の会が優勝した。また、本大会の最優秀ディベーターとして、ak2brainsの赤津義信氏が選出された。

本トランスクリプトは、ディベーターの協力の下、当日録画されたビデオテープを基に作成された。明らかな言い間違い、不適切な表現を除き、極力ディベーターが喋った内容をそのまま記録している。このディベートにおいて使用された証拠資料は、あくまでディベーターの引用どおりに掲載してあり、著者の実際の意図と異なる引用であったり、出典等が誤っている可能性がある。本トランスクリプト中で引用された資料を他で再度引用する場合は、原典を調査・確認した上で使用していただきたい。



肯定側第一立論

定側第一立論:瀬能和彦 死せるディベーター達の会

 

じゃあ、ちょっと最初に謝辞を…。

決勝戦に進めて、非常に、私もパートナーも、嬉しく思っております。

本当は、私のチームはですね、「死せるディベーター達の会」ということで、三人で──私と、青沼君と、あとは早稲田理工の筧君、という三名でですね、飲み屋で、「じゃ、出よう」ということで、決まったんですけれども、筧君がですね、先週からちょっと体調が思わしくなくてですね、結局、先週と今週、青沼君と二人で試合を行うことになりました。で、元々ですね、出よう、と決めたのがですね、筧君が詩が好きだ、ということで、じゃ、是非試合で詩を読んでクリティークしよう、と(笑)…ま、分かる人だけ分かればいいですけれども…そういうところから始まったので、非常に楽しみだったんですけれども、ちょっと体調が悪い、ということでですね、ま、悲しい思いをしております。で、本当に、筧君にですね、チームを作ろう、というきっかけになったので、ありがたく思っております。

パートナーの青沼君はですね、今年の夏からですね、アメリカの方にまた戻って、研究をするということで、恐らく日本でですね、日本語ディベートを行うのは最後になるんじゃないかということですね。で、最後に思い出になればですね、ま、いいんじゃないかなという風にですね…ま、あんまり[不明]だと思ってないですけど(笑)、ま[不明]でいいんじゃないかと、思っております。

あと、運営の皆さん、ありがとうございます。なんか、付け足しみたいですけど、非常に感謝しておりますので…安藤君なんかも、自分が出たいはずなのに、大会を開いてくれる、というですね…本当にありがとうございます。私も赤津君も、毎回毎回そう思っておりますので…。

それでは、立論の方を始めさせていただきたいと思います。行きます。

混沌としたグローバル・エコノミー。その中で私たちは今岐路に立っています。そしてアジア経済圏がこれから進むべき道として、多くの有識者が、アジア経済圏は「最適通貨圏」の条件を満たしており、通貨同盟を形成すべきだ、と提唱しております。

最適通貨圏とは、様々な経済分析の下で、「いくつかの国々の間で、単一の共通通貨に通貨統合することが適している地域範囲」とされています。この考え方は、ヨーロッパの通貨統合の理論的骨組みになりました。そしてご存知のように、提唱者の一人であるコロンビア大のマンデル氏はその功績により、ノーベル経済学賞を授与されています。

北東アジアそしてASEAN諸国、つまりASEANプラス3は「最適通貨圏」であるということ、これは国際経済・金融論におけるコンセンサスであります。ここで膨大な数の文献をすべて紹介することはできませんが、例えばアジア開発銀行のマドアー氏は2002年に次のように述べています。

「包括的に見ると、(東アジア/ASEANにおける)全体的な最適通貨圏の指標は、地域内貿易、賃金対価格の柔軟性、労働流動性、そして経済ショックのシンメトリーを考慮した場合、EUと酷似している。最適通貨圏の文献よりの様々な指標に基づき、アイケングリーンとベウミーは、純粋に経済的な見地からも、マストリヒト条約締結前のヨーロッパと同じくらい、東アジア/ASEANは最適通貨圏に適している、と結論付けている。」

このように書いています。

また、立命館アジア太平洋大学の近藤氏は、アジア各国間の貿易、「マクロ経済政策調整」の可能性、などといった5つの定性を分析し、2003年に次のように結論しています。

「最適通貨圏の理論に照らし、アジア太平洋地域が最適通貨圏でないという理由は見い出しがたい。」

このような有識者による現状分析を踏まえ、私たちは本日の論題、「日本・中国・韓国および全ASEAN加盟国は、自国通貨を廃止し、共通通貨を採用すべきである。」

を肯定します。

より具体的な肯定理由を以下2つに分けて説明します。

理由の1:新たなファイナンシャルアーキテクチャーの構築

A)          アジアの金融・通貨システムは非常に脆弱である。

まだ記憶に新しい、97年のアジア経済危機は、アジアの通貨システムの脆弱性を、見事に浮き彫りにしました。

ブルッキングス研究所の「アジア太平洋の安全保障概要1999」は、アジアの経済危機について、次のように書いています。

「(アジア経済危機は)外国為替市場に多くの影響があらわれているが、経済危機およびそれが当該国の実体経済へ与える影響の程度は、98年にますます深刻になった。これら各国の通貨を防衛するために行った金利の引き上げは、経済活動を弱体化させるというマイナスの効果をもたらした。加えて、多くの国で生じた輸入の激減は、貿易相手国の輸出にも影響を与え、失業率や不完全雇用率はともに上昇した。」

もちろん、グローバル・エコノミーの下、悪影響は全世界に波及します。

同資料は続けて、警告しています。

「今後経済危機が地域を越えて拡がるならば、グローバルな金融システムを弱体化し、IMFの残された資金では対処できなくなるおそれもある。このような理由のため、東アジアの経済安定や回復は依然弱く、まだその初期段階にあり、これからも注意深く見守らなければならない。」

経済危機が社会不安、政情不安を引き起こし、ひいては武力的な紛争、混乱、悲劇を引き起こすこと。これは私たちが歴史から学ぶべき教訓であり、残念ながらこれは現在も変わっておりません。

国政政治経済学の専門家、ウォルター・ラッセル・ミードは、世界恐慌のもたらす惨禍について、1998年に次のように述べています。

「…アメリカ、そして、世界の歴史への、恐慌の最も大きなインパクトは、金銭ではなかった。それは、血、正確には第二次世界大戦であったのだ。恐慌によって、ドイツではヒトラーが権力を握り、ロシアではスターリンに対抗する穏健派の力が失われ、たとえ米英と戦争を行うことになっても、アジア帝国を築く以外に選択肢はないと日本軍は確信するに至ったのであった。」

しかし、残念なことに、こういった通貨の不安定性に端を発する問題については、アジア域内での協力はまったくすすんでおりません。

前財務官で現一橋大学大学院経済研究科教授、黒田氏は、2003年に次のように述べています。

「アジアでは、域内分業ネットワークが急速に進展したことなどにより、経済の相互依存関係が非常に強くなっていることは事実である。[中略]しかしながら、為替相場の安定に関する通貨面での協力はまったく進んでいない。人民元の問題にしても、G7であれほど議論されているのに、ASEAN+3での議論はきわめて低調である。」

B)          共通通貨の導入により、アジア経済危機のリスクは大幅に減少する。

メカニズム1:中央銀行の統合により、域内通貨・金融システムが強化される。

アジア開発銀行のマドアー氏、2002

「…銀行および金融セクターが弱く、為替相場を外貨資本ペグに依存しているような国においては、銀行危機が為替相場危機になりかねない、[中略]通貨同盟は、地域内の金融サービスの統合をともなうことにより、強い銀行システムを持つ国が、地域レベルでの金融サービスを一手に引き受けることができる。これが各国間の銀行および金融セクターの実務の大きな協調につながり、また地域内の銀行および金融セクターの全体的な格上げになるのである。」

メカニズム2:ヘッジファンドなどによる通貨投機のリスクがなくなる。

近藤教授、2003年、

「アジアが通貨的に統合されれば、通貨圏が広がるだけ投機に対して対応力が大きくなる。[中略]投機する側からいうと、アジア各国の国内通貨に対するようには、アジア『単一通貨』に対しては気安く通貨投機を仕掛けることはできなくなる。何倍もの投機資金が必要になるだろうし、もし負ければ損害も回復できないくらい大きな額になる可能性があるからだ。したがって、『単一通貨』のほうが、通貨投機抑制力が大きくなる。」

理由の2:アジアにおける通貨安全保障の枠組み構築

A)          通貨同盟は、地域内外の安全保障に寄与します。

共通通貨導入は、個々の国々のシニョレッジ、貨幣鋳造・発行権放棄を意味します。それが戦争遂行能力を弱め、領土的野心の放棄に繋がるのです。

アイケングリーン、UCバークレー経済学部教授は97年に述べています。

「通貨同盟への参加は、各国政府が対外的な領土的野心の放棄を宣言する確かな方法でもある。通貨同盟に参加することでシニョレッジの国家管理を放棄するわけだから、その分、戦争を遂行する能力を弱める。」

また、通貨同盟は各国の平和的政治意識改革を促進します。「共倒れしたくない」という意識が働くからです。

近藤教授は2003年にこう述べています。

「論理的にはアジア共通通貨はアジア太平洋地域の安全保障に貢献する。[中略]長い時間かけてのアジアでの通貨統合へのプロセスが進行し始めれば、[中略]そのこと自体、地域が一体であることを示すなによりの証左であり、どの国もこれを壊したくないという気持ちにかられるだろう。これがアジア太平洋はひとつという政治意思を駆り立てていくだろう。そこでもしアジア太平洋地域が単一通貨になれば、独仏間でもう2度と戦争をしないという決意でユーロを作った欧州のように、アジア太平洋でも単一通貨ができれば戦争をなくすことに通じる。」

独立論点としてですね、最後にですね、論題ですね、論題は「すべきだ」と言っていますから、今と比べて何かいいことが起これば、「すべきだ」というのが肯定されて、他に何かいい手段があるとしても、今よりもいいプランが肯定されれば…提示されればですね、論題は[時間切れ]肯定されるんじゃないかと私たちは考えております。

 


質疑応答

否定側質疑:赤津→瀬能

 

赤津:えっと、よろしいでしょうか。

瀬能:どうぞ。

赤津:えっと、まず、メリットの2つ目の方なんですが、なんか、証拠資料が二つ読まれて、戦争が起きにくくなる、という話だと思うんですけれども、まず、戦争が起きるリスクがある、という証明はされてますか。

瀬能:基本的に戦争のリスクというのはいつも存在していて…

赤津:いえいえ、そんなことないですよね。大きいか小さいか、という話は全くなされていないですよね。第一立論で。

瀬能:大きいか小さいかですか。基本的には、戦争のリスクがゼロ、ということはどんなときにも…

赤津:いやいや、ゼロじゃなくて、大きいか小さいかの証明は…議論があるかないかという…

瀬能:それは、エビデンスは読んでません。

赤津:はい、ありがとうございます。で、プランの…政策の方をちょっと確認したいんですけれども…お聞きしたいんですが…政策の方で、いつ導入するとか、という話はありましたか。すぐですか?それとも…

瀬能:いやいや、私たちは論題を肯定しているわけですよ…

赤津:いやいや、明示していただかないと、対策ができないので…

瀬能:いやいや、今のままよりも、共通通貨を採用すべきである、というのが私たちの主張で、あの、プランが出なきゃいけない、というのは、なんか間違えた概念ですよね、日本のディベート界の。昔なんて出てなかったんですから。論題イコール…

赤津:ちょっといいですか。確認したいんですけど、メリットの議論の方に、銀行が統一されて一つになる、というお話がありました。中央銀行が統一されるって考えてよろしいんですか。

瀬能:あの…共通通貨制度になるとですね、そういう風になりますよね。

赤津:なくても大丈夫なんですね…プランに入っていなくても…。

瀬能:はい、そうです。それは私たちが想定したとおりです。

赤津:で、メリット1の方に、一応行きたいんですが、メリット1で、経済危機が起こるとおっしゃったんですけど、経済危機が起こるまでに、ヘッジファンドに対して強くなるという話があったので、ヘッジファンドが、投機を仕掛ける理由、というのは、ヘッジファンドが大量の資金を持っていて、それが、あまりお金を持っていない国に対して攻撃を仕掛ける、と考えてよろしいんですか。

瀬能:あの、あまり持っていない国に関してとか、色々な話があると思いますけど、ヘッジファンドが仕掛けると、そういうのが、私たちの議論です。

赤津:で、ヘッジファンドは、お金を大量に持っていて、それを…使える…ということ…とかじゃなくて、ですか。…とりあえず、ヘッジファンドは攻撃を仕掛ける、ということですよね。

瀬能:そうです。

赤津:で、中小企業が、それに対してあまり準備するお金がなくて、耐えられない…

瀬能:小国…

赤津:小国ですね。アジアの小国が、そういうのに耐えられるような準備が出来ていない…

瀬能:可能性がある。そうです。

赤津:…っていう、話でいいんですよね。では、資金の量が大事だ、ということですか。

瀬能:え〜と、ま、そういうシステムを構築することが大切で…資金量は分かりませんからね、何だか…

赤津:はい?

瀬能:資金量とか、例えばヘッジファンドの大きさとかにもよるでしょうし…

赤津:ああ、それは分かるんですが、資金量が、プランを取ることによって、資金量が…

瀬能:大きくなる。

赤津:…から、ま、脅威が無くなる…

瀬能:そうです。

赤津:はい、分かりました。あと、最初の方に読んだ証拠資料は、アイケングリーンさんの証拠資料を読んだんでしたっけ。

瀬能:いやいや、あの、最適通貨圏の話ですか。

赤津:はい。

瀬能:え〜と、マドアーです。[時間切れ]

赤津:あ、マドアー。

瀬能:アイケングリーンは、中で出てきたんで…。

赤津:はい。


否定側第一立論

否定側第一立論:加悦裕幸 ak2brains

 

デメリットより始めさせていただきます。

始めます。

デメリット:為替調整の喪失

a)           現在、東アジア諸国では為替レートの調整により国際競争力を保っています。

週間東洋経済、95年の記事より引用します。

「ただ、東アジアで対ドル自国通貨の切り上げが相次ぐ中、ASEANのフィリピン、インドネシアは、逆にドルに対する価値を切り下げている。これは両国が東アジアの中では経済水準が相対的に低く、インフレの危険を冒しても輸出に有利な状況を確保したいからだ。両国とも高債務国であり、輸出で外貨を稼ぐことの優先順位が高い。国際競争力向上のため自国通貨を切り下げている。」引用おわり。

b)           しかし、プラン後通貨が単一になるので、為替レートを調整できなくなります。特にインフレで苦しんでいるような国々は国際競争力を失い、経済に致命的なダメージを与えます。

ジャーナリスト、ミュラー氏の97年の著書より引用します。

「物価上昇率がバラバラの国々が参加すれば、EMUには致命的となる。ギリシャのように物価上昇率の高い国の経済は、あっというまに国外からの競争圧力にさらされ、つぶされてしまう。そういう国の製品は他の製品に比べて高くなり、売れなくなるからだ。今はまだ、為替相場が調整役を果たしている。ある国の物価が上昇すれば、その国の通貨は下落する。為替相場にはこのようにして物価上昇率の差を緩和し、経済競争力を維持する作用がある。しかし、為替相場は通貨統合で消滅する。例えば、96年の物価上昇率が8.4%だったギリシャが参加すれば、ギリシャ経済は深刻な打撃を受けるだろう。」引用おわり。

c)           重要性は肯定側と同じです。

 

続きまして、メリットの方に移ります。

まず、メリットの方につきまして、彼らは、このままではマクロ経済がだめになる…マクロ経済が…通貨危機を再発する可能性がある、と言っておりましたが、これについて、もう既に、そのような…ついては政策は取られている、ということを言いたいと思います。

まず、通貨スワップによって、通貨危機は防げる、ということがあります。

毎日新聞、2002年の記事より引用します。

「東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、韓国、中国が自国通貨が為替投機にさらされた時、介入用の外貨を融通しあう『通貨スワップ協定』の締結で合意した。1997年夏のタイ・バーツの売り投機に始まったアジア通貨・金融危機の二の舞を予防することが狙いだ。(省略)そのことを勘案すれば、アジア地域の通貨安定のために、各国が資金を出し合うAMFは有益であり、出来る限り早く設立されるべきである。スワップ協定合意は、AMF設立の推進力にもなるだろう。」引用おわり。

また、これに続きまして、さらに、最近ヘッジファンドという言葉を聞かないと思いますが、これについて、既に国際的な規制が入った、ということを述べたいと思います。

読売新聞の1999年の記事より引用します。

「一連の通貨・金融危機では、多額の資金を融資してバブルを引き起こした民間金融機関が、資金を一斉に引き揚げたことが要因の一つとされる。このため、短期資金の急激な流出入を規制するかどうかが焦点になっていたが、危機に陥った新興国が、国内に流入する資金に課税したり、国内の金融機関の海外からの借り入れを制限するほか、資金の海外への持ち出しを制限する流出規制についても、一時的な例外措置として認めることで一致した。」引用おわり。

また、さらに続きまして、通貨危機については、脆弱な構造状態が問題であるということを示したいと思います。

北東アジア研究2001年より引用しますと、

「経済・金融に関する多くの統計指標を検証、過剰融資や多額の不動産資産、膨大な不良債権、対外支払能力の低下などをもたらしたこうした構造的脆弱性が、通貨・金融危機発生の最大の原因であったと強調する。」

つまり、これにより、こういった存在があるかぎり、アジア通貨危機は再発するといえます。

また、さらに、ユーロを導入した際に、このような大きな通貨圏でさえ、通貨は下落した、ということを、Newsweek 2000年の記事より引用したいと思います。

19991月のデビュー以降、ユーロの対ドル・レートはじりじりと28%も下落し、楽観的な投資家を何度も落胆させてきた。だがユーロ危機が現実味を帯びてきたのは、つい最近のことだ。その契機となったのが、ガソリン価格の高騰だ。ドル建てで原油を買う産業界は悲鳴を上げ、一般消費者も弱い通貨を持つことの悲哀を初めて痛感させられた。」引用おわり。

また、続きまして、さらにこういった…域内の通貨統合や、貿易、分業が済んでいないことによって、為替取引きの手数料というのが、銀行から支払われます。これによって銀行がつぶれる、ということを、星野氏…教授の98年の記事より引用したいと思います。

BISの統計によれば、ユーロの誕生に伴って、外国為替取引高の少なくとも10%が消滅すると予想されている。また、ボストン・コンサルティング・グループも、グローバルなクロス・ボーダー決済収入の約半分を占めるEUでは、ユーロの導入によって2004年までに約50億ドルの収入の減少が見込まれ、グローバルなレベルで競争することが可能な数行を残して、既存の国際的なホールセールの振替決済機関は壊滅的な打撃をうけるだろうと予想している。」

また、さらにこれに続きまして、中国で特にこういった現状が危ない、ということを、中国情勢研究会の著書より…97年の著書より引用したいと思います。

「甘・副委員長の分析によれば、4大銀行と交通銀行および中信実業銀行の貸出残高に占める不良債権は約20%に達し、500億元(邦銀換算7兆円)以上に膨らんでいる。中国の年間国家財政は7000億元(同98000億円)であるからその規模の大きさがわかる。」引用おわり。

これによって、中国の銀行の方がつぶれると、大変危険だ、ということが言えます。

そして、さらに、つづきまして、彼らはさらに、これによって、域内分業ネットワークが進むということを言っておったんですが、これにつきましてさらに、企業にとっても、苦しいということがある、ということを、Newsweek98年の記事より引用したいと思います。

「とはいえ、短期的には、中小企業は新たな競争の波に苦しむことになる。その典型的な例が、設備過剰と過当競争にあえいでいる自動車産業だ。これまで保護的な国内市場に頼ってきた『ナショナルブランド』(イタリアのフィアットやフランスのルノー)は、生き残るために大幅なコスト削減と、外国の競合他社との連携に踏み切らざるを得なくなった。」引用おわり。

また、続きまして、彼らは、現状で戦争への意思…領土的野心が失われると言っておったんですが、現状で、どれほど各国が領土的野心を持っているのかが分かりません。これによって、どれほど…この政策によって、私たちは、メリットがこの点において得られるか、ということが分かりません。

そして、さらに、日本が加わることによって、アメリカの反発を招き、それによって、アメリカ…さらに、アジア間に緊張を及ぼす、ということを、近藤教授の2003年の著書より引用したいと思います。

「キッシンジャーは、『(もし通貨面で日本が米国でなく中国を選ぶのであれば)日米安保条約は徹底的に見直す。アメリカのアジアに対する安全保障政策も根本的に変えることになる』と言ったという。」引用おわり。

これによって、アジアでは逆に、対外的な緊張が走る、ということが言えると思います。

続きまして、一旦A)の方に戻りまして、現状で[時間切れ]言いたい…
質疑応答

肯定側質疑:瀬能→加悦

 

瀬能:じゃあ、いいですか。じゃ、はじめます。え~とですね…まずですね、最後の、アメリカが反発するっていうやつですね、これって何…通貨統合すると…単一通貨を作ると…っていう話なんですか。

加悦:アジアで…アジアで…

瀬能:キッシンジャーがそう言ったんですよね、キッシンジャー。キッシンジャー…何年の話ですか、これ。キッシンジャーなんて、今政界にいませんよねもう、ね。…はい、いいです。

加悦:はい。

瀬能:キッシンジャーですよね。

加悦:キッシンジャーです。

瀬能:はい、では戻ります。メリットの一番目。否定側の最初の…え〜と、ごめんなさい。デメリット。最初に行ったデメリットなんですけれども、ごめんなさい…為替レートの調節なんかで、各国が、国内の…まあ、いろんな経済状態を調整して、うまくやっていけるんだ、という話、それがなくなるっていう話が、このデメリットの趣旨ですか。

加悦:はい、そうです。

瀬能:最初のカードは、週刊東洋経済95年でしたっけ。

加悦:はい、そうです。

瀬能:あの、通貨危機前ですよね。

加悦:前です。

瀬能:じゃ、この後通貨危機が起こってるんですよね。

加悦:はい。

瀬能:現状でいい、というのが…現状でシステムとして問題ない、というのが、否定側のポジションですか。

加悦:そうですね、現状では通貨危機から回復してきているとか、そういったことがあるので、やはり、こういった為替レートの調整というのが重要だと…

瀬能:これは、あの…はい、分かりました。で、え〜と、EUは、今でもユーロを導入してますよね。

加悦:はい。

瀬能:EUで、ユーロを、全体的にですよ、なくそう、という動きは聞いたことありますか。

加悦:なくそうというと、ユーロを一旦廃止しよう…

瀬能:なんかですね、普通に考えると、そんなに悪いんだったら、ユーロとか、もうやめてもいいんじゃないかと思うんですけど、そういう話はどうですか。

加悦:聞いてはないですが、ただ、資料で提示したように、ユーロ安が起こっているということは…

瀬能:はいはい、ユーロ安が起こっているから、全般的に悪い、とはいえませんよね。ユーロ安って、2001年の証拠資料でしたよね。

加悦:これは2001年です。

瀬能:はい、じゃ、否定側の分析としては、アメリカなんかに対抗しても、まだヨーロッパ圏は経済的に悪い、そういうことですか。

加悦:そうですね、アメリカにもまだ…

瀬能:現在です。…イタリアの証拠資料を読んでましたよね。中小企業が…って話ですね。これは、中小企業が、いろんな連合とか、そういう風にですね、統合したり、そういうような動きになってしまった、ということなんですよね。

加悦:はい。

瀬能:リストラクチャリングが進んでいる、ってことですかね。

加悦:そうですね。

瀬能:はい。え〜と、スワップのカードなんですけど、これ、2001年ですね。最初のカード。

加悦:はい。

瀬能:「設立すべきである」って書いてあったんですけれども、これ、したんですか。

加悦:これは、AMF、アジア版IMFを設立すべきである…

瀬能:「すべきである」って[時間切れ]書いてあったんですけど、設立されたんですか。



肯定側第二立論

肯定側第二立論:青沼智 死せるディベーター達の会

 

すぐ始めませんけども、一応、ノートを取っている方がいらっしゃるかと思いますので、スピーチの中の順番を最初に述べたいと思います。

最初にですね、レート調節どうのこうの、と言われるところの、デメリットという風に称されている議論についてやって行きまして、そのあと、私たちの議論を上から下までざーっとですね、時間があるかぎり、話をさせていただければ、と思います。

よろしいでしょうかね。

否定側の言うところの、デメリットと称されるもの、あるいは、全ての経済的側面に関して、おそらく悪くてもユーロ程度でございます。ですので、ユーロにおける政策決定においてですね、ユーロをやめるべきである、ということが言えないかぎりですね、いわゆるEmpirically…いわゆる実証されているもの、というのは、On balanceで考えると、共通通貨採択が最適であると、そういう風な立場に立ちたいと思います。

それでは、レート調節の議論に行きたいと思いますけれども、まず第一にですね、レートを調節することによって問題が解決した、という所まで言っていないです。実証されているのは、レートを調節されている、ということと、それから、偶然にも問題が起こっていない、ということだけです。レートを調節することによって、このような問題が解決したということを言っていないです。

で、二番目にですね、最適通貨圏の議論、私たちが一番最初に提示した議論ですけれども、そこではですね、様々な局面により、通貨のレート等を調節する以外にも、いろんなところで経済的な調整ができる、と言っております。例えば、労働力の流動性であるとか、賃金と価格の対称性であるとかですね、あるいは、その他の地方の流動性、と、その辺のことを踏まえて、通貨のレート以外で調整できるから、大丈夫であると言っているんです。これについて、理論的な、実証的な反論は、全くありません。

で、三番目にですね、レートを調節したとしても、例えば、その、何かしらの問題が解決できる、あるいは、その、レートが調整されたからと言ってですね、何かの問題が解決できたとかですね、そのようなものが無い限り、恐らく、もし何か起こったとしてもですね、問題はユーロの中で起こった程度でありまして、先ほど私が申し上げたように、色々、何がなんで問題が起こってですね、それによって、ユーロが転覆された、というようなことが言えない限りですね、これは、政策決定に何らインパクトを持ちません。

では、最適通貨圏の議論に行きたいと思いますけど、これについては、実証されています。専門化が、様々な資料に基づいてですね、このような結果を出しているんです。これに、ちゃんとした形で反論しない限り、恐らくこのディベートにおける議論は、我々の勝ちだ、という風に考えたいと思います。

では、まず最初にですね、理由1、通貨安定に関してですけれども、我々は、通貨危機が不安定によって起こる、と、それによって世界に波及する効果は、計り知れない、ということを申し上げました。彼らは、現状における、スワップとかですね、規制がOKであるとか、おっしゃっていましたけれども、よーく聞いていただいた方には分かったとは思うのですが、現状において枠組みがある、と言っているだけですね。それでどう効いたか、全く…ない、ということは言っておりません。例えば、二つ目の資料なんかではですね、規制が例外的に為されていた、ということであってですね、恐らく、今の通貨のシステムにおけるですね、脆弱性というのは残ります。例えば、朝日新聞の2004214日にはですね、現状の枠組みの中でも、

「とはいえ、国際市場を巡る投機資金の標的にいつならないとも限らない。アジア各国の通貨が不安定になれば、日本経済への影響も大きい。」という風になっています。

そして、二番目の議論としてですね、彼らは何か、その、構造的な部分が問題である、と。だからこそ、肯定側の、このような論題を導入すべきである、ということです。構造的な改革のために論題を導入する、というのが、我々の議論です。

そして、ユーロについてですね、何かその…ユーロにおいては…何かその…共通通貨をですね、導入したことによって、ユーロが下落した、これは、全くですね、我々の議論とは関係ないです。下落じゃなくて、我々は、いわゆる通貨のボラティリティですね…アップダウンする、ということ…それが不安定さ、これこそが通貨危機、これこそが経済危機を、いわゆるですね、大きな形で広げることになるんです。ですから、我々の議論とは全く関係ないところで議論されているんです。

では、手数料についてですね。まず、ユーロで、恐らく、起こった程度の手数料の下落は起こるかも知れないですけれども、それによって、何かしらの大きなインパクトがあるとは思えません。

で、二番目にですね、恐らく、通貨の、このですね、域内以外…例えばその、アジアの外との通貨の行き来はあります。ですので、その意味での手数料は、当然取られるわけで、その意味でですね、恐らく銀行は潤います。ですから、ここで重要なのは、肯定側の、域内での取引における通貨の手数料がなくなるのは…ここから出るユニークな…どれくらいの額、どれくらいの大きさの、銀行に対するインパクト、これについてのですね…否定側が言い出しっぺですから、否定側がまず立証せざるを得ません。よろしいでしょうか。

で、企業について、何かしらの議論がありましたけれども、恐らくこれについてもですね、このような位の問題が、何か…大きくなるとか、そういうことについて全く言っていませんので、もし、そういうことを言っていたら、私たちは後で反論したいと思います。

二番目に、安全保障、これ、結構重要だと思うんですね。まず一つ、現状におけるリスクですけれども、恐らく皆さんはですね、このような島の名前を聞いたことがあると思います。南沙諸島、スプラトリーアイランド、南シナ海です。ここにおけるですね、紛争というのは、大変大きいです。

ブルッキングス研究所のレポートによりますと、

「領土を巡る主張の対立、とりわけ海上でのそれは、アジア太平洋地域での国際関係の改善にとって脅威となりかねない時限爆弾のようなものである。フィリピンの西側に位置するスプラトリー群島のミスチーフ岩礁をのぞけば、98年を通じて領土問題はほとんど注目されることはなかった。」

ただし、このミスチーフ岩礁に関してはですね、中国、ブルネイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ここが紛争をしています。で、これはですね、アジアの時限爆弾、という風に、資料は言っています。で、これについて、このような安全保障上の問題を解決しない限り、アジアの発展はございません。同じ資料は続けますけれども、

「概して、領土問題の位置づけは、それ自体が対立の原因になるものというよりも、国家間関係全般を映し出すものと考えられている。しかし、中国は領土問題対立の多くに関わっているため、[中略]このような理由から、中国が東南アジアの4カ国と領有権を広く争っているスプラトリー群島[中略]が重要になっている。さらに、領土問題に別の問題が加わると、潜在的な領土紛争が突然エスカレートすることになるかもしれない。このような領土問題は、政府を混乱に陥れようと考えるナショナリストや反政府勢力にとって、絶えずその格好の標的となっている。したがって、各国政府が領土問題を解決できない限り、アジア太平洋の国際関係にとって、領土紛争は悩みの種であり続けることを意味する。」

よろしいでしょうか。これが、我々の言うところのシニョレッジの低下、それから、アジアの中で、一体感をもって通貨を統合することによるですね、そのようなきっかけが重要である、このような形をもって、我々は、アジアの、一つ目指すべき道、というのを提案したいと思います。我々は、現状よりも、少なくともいい、という証明がありますので、この時点で恐らく、共通通貨を導入すべきだ、と主張できると思います。ありがとうございました。


質疑応答

否定側質疑:加悦→青沼

 

加悦:すいません、質問させていただいてよろしいでしょうか。

青沼:はい。

加悦:まず、メリットの方なんですが、肯定側のプランで、構造的な改革が行われる、ということだったんですが、これは、どういう点においての、構造的な改革だったのでしょうか。

青沼:どういう点というのは…通貨に関する抜本的な構造改革、ということです。

加悦:抜本的な、というと、具体的には…

青沼:現在は、各国がですね、勝手にレートを調節したりとかですね、勝手にドルにペグしたりとかですね、そうやって好き勝手にやっている、ということです。

加悦:では、政策を一つに統合できる、ということで…

青沼:いや、それは恐らく一つのメカニズムであってですね、アジアの中でそういう風に、一つの枠組みで動いていない部分を、皆でやっていこう、ということで、それが構造的な改革です。

加悦:はい、わかりました。では、続きまして…ヘッジ規制等のところについて、朝日新聞の資料を提示されたと思うんですが、

青沼:すいません、何ですか。

加悦:ヘッジ規制やスワップ等について…

青沼:はい。

加悦:これについて、現状では、いつならないとも限らない、と言っておったんですが、これは、いつのことでしょうか。

青沼:恐らく私の出した資料はですね、朝日新聞2004年の214日です。

加悦:バレンタインの日…

青沼:そうですね、ちょうど一ヶ月前でしょうか。

加悦:はい。

青沼:現状の枠組みの中での、ヘッジファンド等におけるリスクをですね、そのことを書いております。

加悦:これ、ヘッジファンド等について、ということですか。

青沼:全てですね。あの、アジアの中での、いわゆるその、経済的な、あるいはその、通貨に関する協定というのが不十分である、というのがその要旨です。例えば、AMFなんていう…AMFなんて無いですよ。あの…

加悦:はい。

青沼:今の協定、あるいは、今の協調体制が脆弱である、ということを、申し上げたいと思います。

加悦:はい、分かりました。では、続きまして…戦争について、こちらについてなんですが、これは、南シナ海が危ない、時限爆弾だとおっしゃってたんですが、これはつまり、既に軍事拡張を行っている、ということでよろしかったんでしょうか。

青沼:あの…拡張自体は恐らく、あの…どこの国でも行っておりますよね、はい。ただ、その、火種だろう、ということです。領土に関する問題が今、というか、ずっと続いている、ということです。

加悦:では、あの、現状では軍拡を行っている、という理解で良かったんですね…

青沼:あの、軍拡かどうかは分からないですけれども、領土問題が存在する、と。

加悦:はい、わかりました。続きまして、デメリット、こちらの方についてなんですが、ユーロをやめるべきである、という議論がない限りは、On balanceで最適である、ということですね。

青沼:そうですね。それが私たちの個人的な見解じゃなくて、いわゆるその、共通通貨圏の理論に基づくですね、専門家の意見である、と…。

加悦:これ、On balanceって、これ、マクロ的に…つまり、いい、ということで、良かったんでしょうか。

青沼:あの、ま、マクロ、ミクロ踏まえてですね、恐らく私たちが提示したですね、いくつかの[不明]があったと思うんですけど、少なくともそれを見ていただければ、と…

加悦:分かりました。それとあと、[時間切れ]二つ…

青沼:ありがとうございました。

 


否定側第二立論

否定側第二立論:赤津義信 ak2brains

 

今から…はじめる前の用意だけ、お願いします。

まず、メリットの1、で、最初の方と…あと、デメリットをやります。

では、ストップして下さい。

では始めます。

まず最初の方の、アイケングリーンさんのデータの方から否定します。

まず、アイケングリーンさんのデータなんですが、ここに書いてあるのは、何もクリアなデータがありません。ですので、私は一点目として、まずこういう議論が、クリアなデータによって否定されている、ということを紹介します。井川教授は2003年にこう述べています。

「表1-4をみておこう。インフレ率に関して、1980年代と1990年代について、EUと東アジア諸国を比較する。1990年代におけるインフレ率のばらつきはEU諸国より東アジアで大きく、この点では為替レートを固定するための条件は東アジアで整っていない。」引用おわり。

よって、少なくともインフレ率に関しては、東アジアは整っていない、といえます。

次、二点目として、さらに、流動性、人々の流動性に関しても、アジアでは整っていません。

同じ証拠資料から引用します。

「表5-6をみておこう。貿易の域内相互依存は、EU諸国間が東アジア諸国間よりもおおきい。これは、EU諸国の地理的な集中と、個々の国の面積が小さいことによるもので、東アジア諸国は、地理的多様性と一国がかなり大きな面積を持つことから、国際金融的輸送コストが大きく、国際分業ネットを進化させるコストも大きいからであると考えられる。」

この証拠資料が言っているのは、アジアは広いので、人は移動できない、そういうことを言っています。よって、これらの…最適通貨圏の条件は満たしていません。そのことは、明らかにデータでも言われています。

小川教授は、2002年に、このように紹介します。

Ogawa and Kawasaki (2001)では、前述のVARモデルに基づく分析に対して、一般化購買力平価モデルを利用して、ASEANと韓国について、最適通貨圏の可能性を分析した[中略]一方、最適通貨圏の組合せとしては、ASEANと韓国を全て含むことは難しく、タイとフィリピンの組合せあるいはシンガポールとマレーシアの組合せの可能性が示された。現状では、東アジア諸国の全てにおいて通貨統合は難しい。」引用おわり。

よって、通貨統合は、データにおいても完全に不可能です。

で、次、彼らは…すいません、メリットの1の方に行きたいと思います。

メリットの1。彼らは、アジアで経済が悪くなると言っていますが、どのような国が悪くなるか、ということについて、全く述べられていません。で、一点目として、少なくとも日本に関しては、為替リスクはかなり低いことが分かっています。

五十嵐敬喜、UFJ総合研究所の調査部長が、このように言っています。

「しかし、実際の輸出企業の業績は、為替には必ずしも連動しない。右図に円安と円高の場合で、輸出企業の営業利益と出荷がどう変化するかを示したが、その関連性は薄い(中略)海外景気さえよければ多少の円高でも輸出は伸び、一方、輸入は円高でも輸出ほど伸びないため、外需への悪影響が出にくくなっている。」引用おわり。

つまり、日本のような大きな国に関しては、為替リスクはものすごく少ない、と言えます。ですので、彼らが考えているのは、小さい国であると考えられます。

次に、デメリットの方に行ってください。

まず、デメリット。彼らの反論は、総じて二つです。一つは、ユーロで悪いことが起こってないじゃないか、で、もう一つは、現在上手く行っている、という証明が無い、ということであります。

まず、一点目…二点目ですね。上手く行っているという証明がない、ということについて、反論します。実際に今は、為替の調整によって上手く…少なくとも経済…輸出に関しては、上手く行っています。

日本大学教授、角田収氏は、2002年にこう言っています。

「こうして問題を残しつつも98年で東アジア通貨・経済危機をもたらした要因は大体において整理され、99年にはいると一転して東アジア各国は高成長を実現するところとなった。高成長を主導したのは、輸出の急伸であった。とくに、アメリカで積極的に進められるIT関連の投資が活発な需要をもたらした。」引用おわり。

よって、実際に輸出が上手く行っています。で、その原因は、a)で述べられているように、自分の経済に合わせて為替レートを変えることができるからです。

で、二点目として、何でそれが上手く行かなくなるか、ということを説明しますと、インフレ率が、色々な国であります。ということは、物価が上昇していってしまうわけです。ですが、プランをとってしまいますと、単一通貨になってしまって、為替レートが自由に変えられなくなる。例えば、インフレがものすごい高い地域では、物価が上がるんですが、為替が下げられないため、輸出するものまで高くなってしまう。現状ですと、為替レートを切り下げることができますので、そうやって競争力を保つことができる。それができないために、競争力が落ちる、ということが、b)の証拠資料の方に書いてあります。

で、三点目。三点目、ここが重要なのですが、じゃあどうなるか、というと、競争力が落ちて、その…弱い国がダメージを受ける。今の経済が成長していることで、一番重要な輸出が落ちてしまう、ということになります。

で、四点目として、彼らはEUで悪いことが起こっていない、と言っていますが、EUで悪いことは起こっています。

まず一点目として、EUでも…読売新聞の証拠資料から引用します。2003年の証拠資料です。

「ドイツ経済の低迷が欧州経済の足を引っ張っているのは明白だ。昨年の経済成長率は0.2%と辛うじてプラス成長を確保したが、その後も好転の兆しが無い。二月の失業率は11.3%と戦後最悪に迫る勢いだ。」引用おわり。

つまり、彼らはEUで…ユーロで悪いことが起こっていない、と言っていますが、現状はかなり悪くなっています。

で、二点目として、アジアはもっと悪くなると言えます。私たちのb)の証拠資料が言っているのは、ギリシャはものすごくインフレ率が高い、だからEUから除外した、と言っています。分かりますか、EUはまだましなんです、インフレ率が高いところを除外したから。ですが、肯定側のプランは、インフレ率がものすごい高い国を、取り込もうとしています。で、例えば、ミャンマー…ラオスではインフレがひどい、ということが紹介されています。

読売新聞の1999年より引用します。

「ラオスの経済は今、どん底にある。九七年のタイ・バーツ暴落の余波が、タイと国境を接するこの小さな社会主義国家にも及んだためだ。(中略)九七年七月のタイ・バーツ危機前、一ドルあたり千キップだった現地通貨は現在一ドル約九千三百キップまでさがった。調味料、食品、化粧品といった日用品のほとんどを隣国タイからバーツ、ドルで輸入しているため、物価上昇率は九八年だけで約90%に達した。」と言っております。

よってこれは、あの…ラオスやカンボジアのような、弱い国々、インフレで苦しんでいる国々が、苦しむことになります。

最後に、彼らは、実際にユーロとかでは、脱退する国がいないじゃないか、と言っていますが、少なくともこれは、一度通貨を捨ててしまったから、新しく通貨を発行することはできないためであって、必ずしもメリットがでかいからだ、とは言えません。ですので、長期的にも私たちの[時間切れ]デメリットの方が大きいと思われます。

 



質疑応答

肯定側質疑:青沼→赤津

 

青沼:今から始めたいと思います。

赤津:はい。

青沼:まず第一にお聞きしたいのは、最適通貨圏の事に関する議論なんですけども、この分析をされた方はどなたですか。

赤津:え…と、井川教授…あの…、こっちのデータの方はインフレ率と輸送とデータと、三つあるんですが

青沼:あの…、最初の二つですね、同じ、井川教授…

赤津:井川教授ですね。井川教授、2003年の証拠資料になります。

青沼:どこの、どのような専門の方でしょうか。

赤津:井川はですね…、国際経済学だと思うんですが…。

青沼:どれくらい…その、例えばいわゆる業界というんでしょうか…学会で、権威がある方なんでしょうか。

赤津:たぶん、あの…国際経済という雑誌の中で発表されているので、だから…かなり権威がある方だと思います。

青沼:例えば、私たちが示した、最適通貨圏の…マドアーさんとかですね…あるいはその…マンデルさんとかですね、いわゆるその、国際経済経営論で、いろんな賞を取られている方の、実証分析と、多分相反すると思うんですけど…

赤津:マドアーさんではないですね。ベウミーさん…

青沼:ま、ベウミーとアイケングリーン…

赤津:アイケングリーンですね。データは。取った人の意見が…

青沼:そのような人たちの意見と、異なる意見である、ということですよね。そういうことですよね。

赤津:まあそうですね。かならずしも言えない、と。

青沼:まあ、あの…異なった意見である、ということなんですよね。

赤津:まあ、そうですよね。異なってますよね。普通に。

青沼:労働流動性と、インフレのばらつき、これにですね、少々難がある、ということですよね。

赤津:はい?

青沼:難がある、ということですよね。

赤津:はい。

青沼:少々難がある、と。

赤津:少々…大変…。

青沼:この二つをもって、全てのですね、共通通貨圏の理論が崩れ去る、ということを、この二つ…

赤津:さらにもう一枚証拠資料を読んでいると思うんですが、実際にこう…モデル計算などをした結果、全体で、その取り組むのが難しいということが…

青沼:はい。ちょっとこれ、見ていただきたいんですけれども、小川さんが、自分の研究を引用して、こういう風なことを言っているんですね。小川…

赤津:いや、普通に、研究者の人たちが、自分の研究を発表するのは普通だと思うんですけれども…。

青沼:自分…いや、違う違う、違うんです。

赤津:違うんですか。

青沼:小川さんというですね、方が、証拠資料の中で、Ogawa 2003、で…OgawaNakamoto[ママ]2003は…

赤津:あ、2002

青沼:…で、自分の研究の中で、自分の前の研究をですね、引用してですね、自分は正しい、と言っているんですよね。

赤津:小川とか…

青沼:そういうことというのは、かなりの、あの…

赤津:研究をリプライするというか、見るのは普通だと思うんですけれども…。

青沼:いや、自分の研究をもって…「私は正しい、なぜなら私の研究はそういっているから」ってこと…

赤津:いや、前の研究を引用して、さらに論理を発展していく、というのは、普通に、論文であると思うんですけれども。

青沼:小川さんは、小川さん以外のことを…

赤津:いや、小川さんは、一応Kawasakiさんも共同研究している…(笑)

青沼:自分の弟子さんか何かの研究を、一緒にやっている、ということですよね。

赤津:お弟子さんかどうか分からないですけど、ああ…はい。

青沼:なるほど。なかなか面白いですね。

赤津:研究はだんだん積み重なっていくんで…

青沼:多分、自分の研究の中で自分のを引用しても、普通は、認められないと思います…

赤津:いや、普通は…

青沼:少なくとも、私の業界では受け容れられない。

赤津:いや、でも、私のいる理学系の業界では、普通に、自分の研究を発展させてやるんで[時間切れ]…

青沼:あの…なかなか面白いですね。

 


否定側第一反駁

否定側第一反駁:加悦裕幸 ak2brains

 

では、始めてよろしいでしょうか。始めます。

じゃ、まず、メリットの方についてなんですが、まず…よろしいですか。

では、メリットの方の…戦争について、彼らはこれ、第二立論で述べ、南シナでの、時限爆弾だ、ということ…資料を提出されたんですが、これについての、まず、私の一つ目の議論として、第一立論の方で述べた、すでに現状での問題が述べられていない、という、このことについて、問題を述べられたと思うんですが、でも、私の方の二つ目の議論…二つ目の反論として、まずこれ、既に…現在、こういった緊張を高めている、つまりこれは、現在の予算の枠組みの中で、こういった軍事費をどんどん増やしていっている、つまり、これは私の…それはつまり、私の三つ目の議論としては、こういった予算に関する枠組みを規制しない限り、彼らはどんどん国債を発行したり、また、国内の経済をどんどん悪くしてでも、こういった予算を増やしたりする限りで、こういった、どんどんどんどん…例え単一通貨である程度…ある程度自国通貨を発行できないとか、そういうことになったとしても、予算をいじれる限り、こういったことは決して…決して単一通貨を取ったからといって、防げるものではない、ということが言えると思います。

そして私の…続きまして、メリットの通貨危機の方に関してなんですが、これにつきまして、まず、A)の方で彼らは、朝日新聞の資料を出されて、現状では、いつまた通貨危機が起こるとも限らない、と言われておったんですが、これは私の一つ目の反論として、まず、何で通貨危機が、現状で起こる可能性があるのか、ということを、この資料は述べておりません。よって私はこの二つ目の議論…二つ目の反論として、この、通貨危機が起こる理由、というのは、第一立論で否定したように、一つはスワップで…スワップ等で解決できるような、この…何か、少ない通貨の流通…流通量、そして、二つ目としては、この、不良債権…銀行の不良債権と、この二つがある、ということを、私は提示しました。そして、私の三つ目の反論として、まずこの、原因の一つ目、この、ヘッジファンドが、この、何か、通貨量が少ない所を狙って投機をする、これについては、スワップという制度がある限り、既に、そういったことを知っていれば、当然、ヘッジファンド等が狙い…狙う、ということは、まずあり得ない、ということが言えます。なぜなら、その…投機を仕掛けても、スワップがある限り、流通量が増えて、そういったことをしてもメリットがない、ということを、当然ヘッジファンドは利益を求めるよう、判断するからです。そして、私の次の反論としては、続いて、銀行の不良債権、これについて、この…彼らの提示した資料が言っている、ということは、より言えると思います。よって、この不良債権というのがある限り、こういった通貨危機は再発する、つまり、これをプランで解決できない限り、通貨危機に関して、メリットを私たちは全く得られない、ということが言えると思います。

よって、続きまして…その…続きまして、B)の方に移りまして、私が提示しました、この、銀行の方について述べていきたいと思いますが、まず、これについて、一つ目の反論をしたいのですが、彼らはまず、これは…この、通貨危機と全く関係ない、と言っておったんですが、でもこれ、あの…先ほどの第二立論の方がちょっとおっしゃられたように、この、域内の貿易がスムーズになる限り、つまり、同じ通貨で、こう…何か、通貨を交換して、円とドル、円と元を交換して、こう…何か…貿易をしなくてよくなった、つまり、この間の銀行のコストがなくなった、という点で、銀行のデメリットが起こる、ということを言いたいのですが、これにつきまして、まず、私の二つ目の反論として、これについて、どれほどの…どれほどの損失を起こしているか、ということを、私が証明していない、と言っておったんですが、この、一つ目の資料が言っておったように、が国為替取引高の10%がなくなる、これは…ユーロの場合、50億ドル…これは、十分大きいと言えることができると思います。なぜなら、50億ドルでは5兆円ですから。で、これについて、私の三つ目の反論としては、この…さらにこの、一枚目の資料が言っておったのは、グローバルなレベルで競争できる数行を残して、ユーロでも、生き残れない、と言っておるんです。この点において、すでにユーロ内でも、十分危険だった、ということが言えると思います。

そして、四つ目の反論として、私が提示した、この、中国の資料を見て欲しいんです。すでにこの、7兆…7兆円の不良債権を抱えておる、つまり、中国の経済規模が…中国の国家予算が10兆円弱にも関わらず、この、7兆円既に不良債権を抱えているような銀行が、50億ドル、つまり5兆円のような損失を出すとなれば、これは当然もう、潰れるとしか言いようがありません。

そしてさらに、私の次の反論としては、彼らが言っておったのは、構造的な改革、これはつまり、金融政策やそういったものを統一する、ということで、つまり、現状[時間切れ]中国でやっておった政策に関して…
肯定側第一反駁

肯定側第一反駁:瀬能和彦 死せるディベーター達の会

 

それでは始めたいと思います。

皆さん、いろいろあってですね、なかなか分からなくなった、というのもあると思いますが、ま、一番大切なのはですね、メリットの二番目ですね。メリット二番目の、領土紛争ですね。これは非常に大切で、これだけでも、私たちは肯定側が勝つ理由になると思います。

彼らはですね、まず、否定側第一反駁は、今、緊張が高いんだ、と言いましたよね。だからこそ、私たちはやるべきだと言っているわけですよ。で、緊張が高いからこそ、これがエスカレートして、大きな問題になって、軍事紛争になる、そういう前に何とか止めるべきだ。で、彼らはですね、予算を抑制しない限りだめだ、と言ってましたけれども、私たちはそもそも、最初のですね、メカニズムは、シニョレッジをなくすことによって、国がお金を使いづらくする、これが最初のメカニズムなんですよ。これでまずは、軍備拡張が起こりにくくする、というのが、まず一つ目ですよね。で、かつ、ま、実際戦争を起こしづらくなっていることになるわけですよ。で、二番目が落ちてますよね、完全にね。アジアが共通の通貨を採択すれば、共同歩調…共倒れになりたくないから、というので、そういう気持ちがどんどんどんどん起きてくる。これが全然落ちてますから、あと何を言おうとニューアーギュメントで、これだけでも私たちが勝つ理由になるので、あとがやりやすいな、ということになると思います。

さて、デメリットですね。デメリットなんですけれども…デメリットですけれども、基本的にですね、私たちの…私のパートナーの議論ですね、為替調整ですね、基本的に為替調整がうまくいっていて、ま、いいんだ、という話をしていますが、それによってですね、十分問題が解決されている、という風にはですね、言えていなくて、現状であるような問題は、肯定側のプランを取らずには解決できない。否定側は、確かに今の…今のシステムですね、何かうまくいくことはあるかもしれません。しかし、肯定側のような、投資に…投機によるですね、問題というのは、解決できない。だから、これはもしかしたらマイナスになるかもしれませんけれども、アドバンテージが上回る、ということで、私たちはいいんじゃないかと思います。

で、EUで悪い、という風に言っていましたが、私たちが何度も言っているようにですね、だからといって、EUで、こういうのをなくそう、という動きはありませんし、EUでも、あの…否定側のそれぞれの証拠資料は、リストラクチャリングが起こっている、と言っているだけですよね。小さいところは、そりゃ潰れているかもしれませんよ。大きなところしか生き残れないかも知れませんよ。それが私たちの言っていることでですね、分業体制じゃなくて、全体を見通して、いいシステムは何か、というのが、私たちの最初のオブザベ…あの…最適通貨圏の話でですね、これでいいんです。マイナスが少しあっても、全体で見ればいいんだ、というのが、肯定側の主張です。

メリットに戻ります。メリットのところですけれども、最適通貨圏の話で、インフレ率その他…三枚ほど証拠資料がありましたけれども、こういう問題があるから、なかなかうまくいかないんだ、と、肯定側のプランはうまくできないよ、と言ってましたけれども、ま、基本的にまずもって、最初フィアットがありますから、私たちは、やる、ということですよね。で、かつですね、否定側の証拠資料は、どれをとっても、一つ、いや、二つの指標をみてですね、ただ、できない、と言っている。しかしですね、私たちは、もともと最初の証拠資料で…二枚目ですか…の証拠資料は、全ての指標をですね…地域内貿易、賃金対価格の柔軟性…こういうの、全部書いてありますよ…労働流動性、そして経済[不明]のシンメトリーに考慮した場合、全体がEUに酷似している、と言っているわけですよ。だから、こちらの証拠資料の方が上回っている。彼らは、そのいくつかの指標を持ち出して、当てはまってない、と言っているだけですね。

かつですね、通貨統合を最優先すべきだと、私たちは主張します。

近藤、2003年、

「通貨の安定はアジア太平洋地域にとって最優先課題である。こうした現代世界経済の構造からみると、貿易統合が仕上がってから統一通貨というのでは遅い。[中略]場合によっては通貨統合が先行することも考えられよう。」

ということで、通貨統合によって…むしろEUとは違ってですね、こういうことをやっていきたい、というのが私たちの主張です。

で…、そもそもですね、スワップの話なんかもですね、今の枠組みで解決できる、というのはですね、否定側の資料では証明されていない。私たちは…パートナーの論点に、2004214日の資料でもですね、今でも投機の標的になる可能性がある、と言っているわけですね。そうすると、世界経済が破滅する、というのが、私たちの主張で、それに関してはですね、否定側は、いくつか悪いことはあるけれども、世界経済とまでは言っていませんよね。ですから、世界経済の破綻から、戦争、なんていうリンクは、肯定側だけのメリットであって、否定側のですね、デメリット…[時間切れ]ケースフリップ、デメリットには当てはまらない、ということですね。

まあ、メリットの二番目を考えてください。
否定側第二反駁

否定側第二反駁:赤津義信 ak2brains

 

では、始めさせていただきます。

まず、最初に私たちが言いたいのは、まず、世界経済が悪くなる、ということは、私たちも同じである、ということになると思います。ただ、メリットの1で言っているのは、小国、あるいはアジアの小国が潰れることによって、つまり経済が、世界的に影響して、アジア…不況になったり、恐慌がおこって、ヒトラーのようなのが現れるかもしれない、その、小国が…悪くなると起こる、と言っているのは、デメリットも同じですので、メリット1だけを取ろうとは思わないで下さい。

では、まず最初に、最初の方の証拠資料からいきます。最初の証拠資料で、彼らは、彼らのエビデンスだけが全体を考えている、と言っていますが、まず一点目として、全体を考えている、というのは、何を…本当にどのデータを、どんな風に考えているのか、というのが全く証明がありません。ですので、信じないで下さい。で、二点目として、私たちが、クリアなデータを二個も証明しています。ですから、私たちの方が優れていると思います。三点目として、彼らは、最低限が…最大言えたとしても、EUと同じだ、ということしか言えていません。で、四点目として、EUは失敗している、という証拠資料に関して、彼らは全く返していません。EUの一部ではなくて、全体で、失業率が上がっている、と言っているわけですから、EU全体で失敗しているわけです。それだからこそ、EUで失敗したケースを、またやるのは、愚策だと考えられます。

では、デメリットの方に行ってください。

デメリット。彼らは、一つ目として、通貨投機は全然解決していない、というのが一点目と、もう一つは、全体的で良ければいい、という話しかしていません。一点目に関しては、通貨投機に関しては、解決している、ということを、メリットの1の方で述べます。で、二つ目、全体としていいか悪いか、というお話なんですが、全体として悪い、という証拠資料を、私は第二立論で述べました。EU全体で、失業率が下が…上がっている、と、よって、EU全体では、悪いことが起こっています。その理由は、私がA)で証明したように、普通の中小国は、インフレが起こったときに、それに対処できるように、貨幣で調整できるんですが、それができなくなったため、輸出がうまく行かない、よって、小さい国の輸出がうまく行かないことで経済が破綻して、全体に影響する。メリット1で、最初の証拠資料で言っているのと同じですよね。よってそれが、地域内…いや、全体に波及して、悪いことが起こる、と言っています。で、さらにもう一点として、EUより悪いことが起こる、と、私たちは言えます。それは、EUの場合は、インフレの高いところを排除してるんですけど、今回私たちが言っている…彼らのプランというのは、インフレが高いところも導入している。ですから、絶対、世界恐慌のような危ないことが起こる確率が、私たちの方がはるかに高い、と思われます。

では、メリットの1の方に行ってください。メリット1。彼らは、現在十分じゃない、と言っていますが、十分じゃない証明が全くありません。一点目として、まず、ヘッジファンドはそもそも活動できない、そういうことを私たちは言っています。資金の制限は、もう設けています。二点目として、もしも多少攻撃を仕掛けられても、通貨スワップという…資金をやり取りすることによって、十分に資金を供給…いろんな国に供給できるので、対策はできています。で、三点目として、ここが重要なんですが、彼らは、将来のリスクが起こるなどと言ってくるかもしれませんが、少なくとも1999年以降、2004年…5年か6年かその活動は全く聞かれていません。ですので、私どもは、十分に機能すると考えられます。

で、最後にもう一つ、一番重要な点はエビは、確実に起こるとは言っていないです。インフレ率が現在あります。で、導入は無理やりやってしまいます。ということは、デメリットは確実に起こる。で、リスク…メリットの方は、少ない少ないリスクです。そう考えると、メリット1の…デメリットの方が、はるかに大きいと考えられます。

次に、デメリットの方に行ってください。…すいません、メリット2の方に行ってください。

で、メリット2の方は、彼らは、通貨統合することによって、戦争が起きない、と言っていますが、これ、逆ですよね。そういう…野心があるから、経済統合が難しい、という話は言ってますけど、経済が統合したからと言って、野心がなくなるって、おかしくないですか。二点目として、それを言っているのは第一反駁で、予算の、その…制限とかを加えない限り、軍事拡張はいくらでもできてしまうわけですよ。ですから、このようなリスクは全く…解決されるとは思いますせん。で、三点目として、本当にこの、戦争が起きるかどうか、というのは、これは極めて怪しいですが、EUよりもはるかに危険度の高い恐慌が、アファ…肯定側のプランによって、起こってしまう確率がかなり高い、といえます。それは、デメリットで証明した通りです。恐慌になって、ヒトラーが現れたりする…世界的なリスクも、増えるかもしれませんので、デメリットの方が高いと考えられます。[時間切れ]以上です。

 

肯定側第二反駁

肯定側第二反駁:青沼智 死せるディベーター達の会

 

否定側の言うところの、経済的損失、それは、悪くともユーロ程度である、ということ、そして、私が申し上げたように、ユーロで、このような経済的損失があるから、ユーロをやめるべきだ、というですね、そのような議論がない限り、恐らくデフォルトとして肯定側の勝ち、という形で解釈をしていただければ、という風に思います。

一つの大きな理由としてですね、我々は、安全保障をある程度現状よりも良くする、ということでございます。現在の、領土的野心というものが存在して、それがですね、いわゆるその、領土的野心を高めるために、あるいは、領土を攻めるために、お金を作って、武器を買って…そのようなことができなくなる。それがですね、我々のシステムなのでございます。ですので、スプラトリーに対する領土的野心がなくなります。

そして、二つ目に重要なのが、このような形で、一つのですね、通貨同盟を作る、ということが、何かを新しく作って行こう、と。アジアの中で平和的なですね、意識改革となる、それが、近藤さんの…私のパートナーが最後の…プレゼンテーションの一番最後にですね、立論の一番最後のところで読みました資料でございます。この二つ、そして現在のリスク、そして、現在よりも安全保障が高まる、という、これだけでも、恐らく肯定側に投票する理由になると思います。否定側は、これについて、全く何かしらの政策の提示もしておりません。ですので、この安全保障について、特に、私が読みました、安全保障、この、領土的野心をなくさない限りですね、アジアの安定は、恐らく、保たれないだろう、これについてですね、ご考慮いただければと思います。

では、デメリットと称せられる議論ですけれども、もう一度確認しますけれども、ユーロで起こっている、様々な悪いこと、あるいはその…あるいはですね、経済的な損失…その…インフレ調節ができるできない…例えば、これによるですね、失業とか、何とか、ということについてはですね、いわゆるこれはですね、リストラクチャーが進んでいて、一過性のものである、ということをですね、我々は、終始一貫してですね、議論しておりました。ですので、このようなことが起こったとしても、政策を変えるとか、廃止する、という理由は見当たらないと思うんですね。それは二つ目にですね、最適通貨圏の議論ですけれども、私のですね、パートナーも説明しましたり、私も、検討しましたけれども、私たちが最初のスピーチの一番最初で提示したもの、これはですね、全ての理論的側面をひっくるめて、ということです。労働とか、あるいはその、資本であるとかですね、あるいはその、経済ショックに対するですね、シンメトリーとかですね、全てをひっくるめて、経済学者の方々が、恐らくこのような形で共通通貨を導入するのがいいだろう、と言っているんです。ですので、例えば、このですね、資料の中における…例えば私が提示した資料の、権威、専門性、あるいはですね、それについてのですね、中身を見ていただければ、重箱の隅をつつくような、例えば、「この部分はちょっとダメ」「この部分、ちょっとダメ」だからといってですね、最適通貨圏じゃない、というですね、議論ではありませんので、それについて、デメリットが全て、恐らくこの枠組みで考えていただくと、これによって、政策を転覆させるとかですね、政策を取らない、ということにはならないと思いますね。

じゃ、理由1に戻っていただきたいんですけれども、重要なのは、通貨の安定、ということでございます。で、今は不安定でございます。いろんな形で変動しております。ですので、その部分が残ってですね、いくらスワップがあったとしても、問題は残る、ということなんですね。で、このような形で、通貨の不安定から来るところの、通貨危機、経済危機が悪いと言っているんです。それこそが、1929年、30年の大恐慌を、恐らくですね、引き起こした、ということでございまして、銀行の…ごめんなさい…金融における、そのような不安定さの部分こそが、世界恐慌を引き起こす条件です。ですので、この部分において、我々はですね、優れております。で、だからこそですね、今、この時点で、何をすべきか、というのは、通貨統合を最優先させる、ということです。ですので、私のパートナーが、最後にプレゼンテーションの中で述べました、通貨統合をまずやって、その後から細かいところをやって、貿易等も含めた上での経済的安定に行こう、というですね、これこそが、アジアの生きる道、これこそが、我々が、ここ、今、この時点で考えるべき選択であると[時間切れ]いうことでございます。どうもありがとうございます。[拍手]

 




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