15JDA春期ディベート大会決勝戦

論題:日本政府は原則全ての企業に対してワークシェアリング又は同一労働同一賃金の原則を推進すべきである。 

肯定側:孔明の罠(内藤隆行・玉置繁之)

否定側:創価大学Debate Network C(田中時光、鈴木恵利香)

編集:安藤温敏

200938


はじめに

200938日、国立オリンピック記念青少年総合センターにて、第15JDA春期ディベート大会が開催された。

三試合の予選を経て決勝に進出したのは、孔明の罠(内藤隆行・玉置繁之)と創価大学Debate Network C(田中時光・鈴木恵利香)の2チーム。この試合のジャッジは、園城浩行氏(カシオ計算機)、加藤貴之氏(清和大学)、酒井崇匡氏(博報堂・全日本ディベート連盟)、瀧本哲史氏(京都大学・全日本ディベート連盟)、廣江厚夫氏(ソニー)の5名。うち4名が肯定側に投票し、孔明の罠チームが優勝した。なお、本大会のベストディベーター賞は、孔明の罠チームの玉置繁之氏が獲得した。

本トランスクリプトは、その決勝戦の模様を収録したものである。

本トランスクリプトに掲載されている証拠資料の出典情報は不十分であり、原典の確認は行っていないので、使用を検討する際は、必ず原典に当たってから利用していただきたい。

 

肯定側第一立論

肯定側第一立論:内藤隆行 孔明の罠

 

スピーチを始める前に、サンクススピーチをやらせていただきたいと思います。学生時代最後、というか、多分選手として大会に出るのは最後かもしれないんですが、その最後の大会で、このような大舞台で、決勝に上がらさせていただいて、本当に、すごく光栄だと思います。とても緊張しています。そして、JDAという大きな大会を開いてくれたJDAの皆様と、審判の方々に感謝したいと思います。また、四年間僕のことを支えてくれた一緒にディベートをやった、WDDの川原さんと青木君、そして酒井さん、あと、パートナーの玉置にもいろいろ怒られながらですが、ここまでやってきた結果だと思うので、ありがとうございました。

 

始めます。

 

現在、日本では失業に苦しむ人がいる一方で、逆に働きすぎて過労死する人もいるように、労働の二極化が進んでいます。そこで我々は、原則全ての企業にワークシェアリングを推進して労働を再分配することで、全ての人が適度に働き、適度に余暇を持てる、そんなゆとりある社会を実現すべきと主張します。以下、具体的な政策です。

 

1)                   希望する全ての企業に対して、従業員の労働時間に上限を設定します。具体的な上限は、
a)
残業月45時間以内
b)
前年度の月平均労働時間の95%
のいずれか短い方とします。

2)それによって減った労働力の補填を、新規雇用とリストラ計画の撤回によって行うものとします。

3)                   以上の項目が遵守されているかを年二回、抜き打ちで調査等を行います。

4)                   調査の結果、一年間遵守している企業には、この政策によって生じたと証明された費用と報奨金を国庫から与えます。

5)                   その他必要な措置を執ります。

 

次に、日本政府がワークシェアリングを推進すれば、多くの企業でワークシェアリングが導入されます。

 

富士通総研経済研究所が2002年に行った、上場・店頭企業80社に実施したアンケートより引用します。

「企業の84%は「条件があえば、ワークシェアリングを実施したい」と答えている。[中略]調査では回答にバラツキがあったが、「自社のみの判断で、会社と労組が共同で行えるなら」「政府が財政支援をしてくれる用意があるなら」導入もありだと考えている企業が多かった。特に後者は、従業員が1000人以下の企業からの回答が多く、政策としてのワークシェアリングが求められていることが分かった。」引用終了。

 

このような、政府が主導することでワークシェアリングは進みます。以下、それを前提に2つメリットを提示します。

 

メリット1雇用の促進

 

A 現状分析

 

総務省統計局の資料によると、200812月の時点で、日本全体では完全失業者、つまり働きたくても働けない人が270万人いることが分かっています。

 

B 重要性

 

1 失業は本人にとって苦しいだけでなく、自殺や犯罪を招きます。

 

大阪大学社会経済研究所教授 大竹、2003年。

「失業者で就職の可能性が低い人にとっては、合法的な活動をしていても所得は高くならないかも知れない。そのような人々にとって就職の可能性がより低くなる不況期には犯罪の機会費用は低下する。[中略]失業の恐怖やリストラがメンタルヘルスを悪化させて、自殺を増加させる可能性もある。[中略]失業が恐怖になるのは、失業した場合の生活水準の低下に加えて、生き甲斐が無くなることも理由であろう。」引用終了。

 

実際に、統計的に見ても、失業と犯罪、自殺は密接な関係があります。

 

同資料[大竹、2003年]より。

「失業率の上昇に伴って発生する更なる「痛み」がある。犯罪発生率や自殺率の上昇である。図2には、日本の失業率と犯罪発生率、自殺率の推移を示した。3つの変数の間に密接な関係があることが理解できる。」引用終了。

 

2 さらに、雇用の悪化が消費の悪化を生み、消費の悪化が更なる雇用の悪化を生むという、悪循環も生じます。

 

ロイター通信、200922

「雇用不安が消費者マインドを萎縮させ、消費を下押しすることは、1997-98年の金融システム危機時にも見られた。[中略]雇用、消費がさらに悪化すれば、生産の下押し圧力がさらに強まるのは必至だ。そうなれば一段の雇用悪化・消費減退への負のスパイラルにつながる可能性もでてくる。」引用終了。

 

C 解決性

 

1 プランによって、労働時間が、残業45時間以内か、労働時間の95%の少ない方が上限となります。つまり、一人あたりの労働時間は必ず5%は削減され、その分新規雇用で補うことになります。そして効果は、日本全体で215万人に相当します。

 

財団法人社会経済生産性本部、2001

「推計では、一般雇用者の労働時間を、年間1,800時間をめざして5%短縮すると、時短分だけ給与を削減する場合、一般雇用者数が168万人増加し、同時にパート雇用者数も46万人増え、合計で215万人分の雇用機会が創出される。」引用終了。

 

2 さらに、失業者が雇用されることによって、消費が活発化し、B2で述べた悪循環からも脱出可能です。

 

社会経済生産性本部、ワークシェアリング研究会、2000

「むしろ、景気回復には、雇用不安を解消するとともに、物価のデフレ圧力をぬぐい去って貯蓄意欲を減退させ、人々の消費意欲を刺激することが重要である。不況下におけるワークシェアリングは、労働時間短縮による雇用の維持・確保によって、雇用不安を解消し、個人消費を回復することを通じて、国内産業の生産を促して、雇用を増加させようとする政策として意義をもつ。」引用終了。

 

3 特に、所得が低い人ほど収入増を消費にまわす傾向が強いので、そもそも所得のない失業者の所得を増やすワークシェアリングは非常に大きな効果を持ちます。

 

しんぶん赤旗、2007227

「生産は急降下は、高所得者より低所得者の賃金を引き上げた方が1.64倍の効果があります。収入増を消費に回す傾向が低所得者のほうが強いためです。」引用終了。

 

メリット2 過労の防止

 

A 現状分析。

 

現在、過労死ラインと呼ばれている、月80時間以上残業を行っている人が、3.8%います。

 

しんぶん赤旗、2007118

「過労死ライン(平均月80時間以上)を超える「80―100時間以上」が3.8%、男女別にみると男性は8.1%、女性も1.0%いました。」引用終了。

3.8%というと、日本の労働人口が約6500万人であることから、約250万人もの人が過労死ラインを超える労働をさせられていることが分かります。

 

B 重要性。

 

日本では、年間ほぼ1万人もの人が過労死していると推定されます。

 

一橋大学社会学部教員、加藤哲郎

「人口動態統計など医学的データをも用いて過労死弁護団が推計したところでは、年間ほぼ1万人、ちょうど交通事故による犠牲者数に匹敵する。」引用終了。

 

C 解決性。

 

プランによって、残業月45時間以内か労働時間の95%の少ない方が上限となるため、先ほどとは逆の理屈で、必ず残業は月45時間以内に抑制されます。そして、45時間までの残業であれば、過労死する危険はありません。これは理論的にも現実的にも証明されています。

 

東京大学名誉教授、和田、2004

「一般に、1日の睡眠時間が78時間が普通であろう。7時間から8時間の睡眠が最も健康的であるとされているわけです。それは1日の時間外労働は2時間ないしは2.5時間に相当します。それに20を掛けると大体45時間になり、人間としていちばん健康的な生活が営まれる。その時間においては、過労死は全く発生していなかったということです。」引用終了。

 


質疑応答

否定側質疑(鈴木内藤)

 

鈴木:では、お願いします。まずプランから見ていきましょう。いわば、働いている時間の上限を定める、ということなんですけれども、Aとしては、残業を45時間以内にする

内藤:はい。

鈴木:もしくは、労働時間の95%のいずれかにする、という話だったんですけれども、その、労働時間というのは、今働いている時間の95%にする、ということですか。それとも、法定で定められている

内藤:いや、今働いている時間の方です。

鈴木:なるほど。じゃあ、メリットの2点目の過労死の方から見ていきましょう。今現状で、80時間から100時間働いている人がいて、その人たちは過労死しているんですよね。

内藤:はい、その可能性が出てくると

鈴木:で、ということは、もしかしたら、このプランによって企業は95%しか削減しない、という選択肢を取り得ますよね。

内藤:いや、それは取り得ないんですよ。

鈴木:なんでですか。

内藤:なんでかというと、1番目この、45時間残業45時間か、95%の、労働時間の総合で見たときに、低い方短い方というのを採用しなきゃいけないんです。

鈴木:あ、短い方だから、45時間以内しか働かない、ということですね。じゃ、すいません、今、80時間〜100時間働いている人たちというのは、今、法律で定められていた労働時間の範囲内で働いているんですか、それとも、そのサービス残業いわゆるサービス残業というより

内藤:ここでは述べていません。

鈴木:あ、特には述べていないですね。わかりました、ありがとうございます。

内藤:はい、その違いについては

鈴木:すいません、じゃ、メリット1に移りましょう。メリット1のところでですね、失業の問題が解決されるんだ、という話がありました。失業というのは、自殺とか犯罪とかを増やしてしまうので、まず問題だ、という話と、あとは、経済が不安定になってしまう、という話があったと思います。で、これに関してなんですが、まず、失業者というのが、このプランによって、なんで就業できるんですか。

内藤:失業者が就業できる可能性、ですか。

鈴木:はい、このプランによって、どうして、その、失業者の人たちというのは、就労の機会を得ることができるんですか。

内藤:少なくとも、労働時間の95%になるわけですよね。その分5%は減るわけですよね。

鈴木:そうですね。

内藤:そうしたら、その部分を穴埋めしなきゃいけない、と

鈴木:あ、穴埋めしなきゃいけない

内藤:そこで、雇用が発生する、と

鈴木:すいません、なんで今って、失業って起こっているんですか。

内藤:まあ、あの不景気だからですかね。

鈴木:不景気で仕事が無いからですよね。どうして、じゃあ、プランによって労働時間を削減したら、人を雇用しなければいけないんですか、企業は。

内藤:いや、もしかしたら、雇用だけではなく、これからリストラするんだ、という人をリストラせずに済む、という可能性もあるんです。これは、プランの2点目で言っていることです。

鈴木:はい、わかりました。はい、でじゃ、あの失業している人たちっていうのは、今、じゃ、どうして就職することができないんですか。

内藤:まあ、それはいろんな理由があるんじゃないですか。

鈴木:いろんな理由があるじゃ、このプランによって、そのいろんな理由というのは全て解決できるんですか。

内藤:全てとは言ってませんが、解決される人も出てくるだろう、と

鈴木:解決する人も出てくるであろう、と。なるほど、わかりました。

内藤:全ては証明できないです。

鈴木:じゃあ、それでは、このプランによってどれくらい解決できるんですか。そしてそれは、論題を肯定しうる、というふうな証明は、どちらに

内藤:簡単な証明でしているのは、今5%減らすと、215万人の雇用機会が創出される

鈴木:雇用の機会が生まれるのは分かったんですけれども、215万人雇うとは言っていないですよね。

内藤:まあ、そうとは言っていませんが

鈴木:そうですよね。わかりました。ありがとうございます。

内藤:まあ、可能性としては出てくるんじゃ無いでしょうか。

鈴木:はい。で、あと、すいません、雇用の不安の問題というのが、解決されれば、経済が活発化されるのは分かったんですけれども、このプランを導入することによって、どうして雇用の不安という問題は払拭できるんですか[時間切れ]。


否定側第一立論

否定側第一立論:田中時光 創価大学Debate Network C

 

最初に、ちょっとよろしいですか。まずは、ここまで論題が発表されてから、この舞台に連れてきてくれた鈴木さんに、まず感謝したいなと思います。ほとんど今回プレパしてなくてですね、ずいぶん怒られながらここまで来たんですけど、本当に感謝したいと思います。で、二番目には、D-netのみんなに本当に感謝したいなと思います。いろんな証拠資料を、本当にみんなで集めて、議論を一つ一つ作ってきたので、そのひとつの結果として、いい議論ができればな、と思います。で、三番目に、本日この大会を開催してくださったJDAの皆さん、そして、審判してくださった皆さん、そして、対戦をしてくださった皆さん、本当にありがとうございました。一つ一つの試合が、本当に僕にとっていろいろな、新しい発見のある発見があって、本当にいつも大会に出るたびに出て良かったなあ、という風に思っていますので、また今後も機会があれば出て行きたいな、と思います。

 

では、始めていきたいと思います。

 

始めます。デメリット。

 

まず現状分析です。

 

現状で、企業には人件費を低く抑えようというモチベーションがあります。

 

門倉貴史、2006

「現在の日本企業はいずれも厳しい価格競争に直面しており、製品価格の下落が企業の売上高を圧迫している。各企業は収益を確保するため、費用の大半を占める総人件費を削減しなくてはならない。このような状況においては、「雇用の維持・創出を目的として労働時間の短縮を行う」と政府が定義するワークシェアリング本来の姿から離れて、残業減らしなど労働時間の抑制効果だけを狙った名ばかりのワークシェアリング導入の動きが出てくる可能性が高い。」おわり。

 

に、中小零細企業は、人件費を抑えなければ、会社がつぶれてしまう危険があります。

 

同じく、門倉。

「日本経済全体が回復するなかにあっても、大企業と中小零細企業のあいだには、その業績に大きな格差が生じており、業況の厳しい中小零細企業は、正社員であっても人件費を抑制しなければビジネスをやっていくことが難しくなっているのだ。」おわり。

 

、発生過程。ここでフローシートを変えてください。

 

ここでプランを導入すると、以下二つのシナリオでデメリットが発生します。

 

A給与を削減する企業。

 

プランによりワークシェアリングを導入すると、人件費を抑制するため、企業は、1人あたりの労働時間や、1時間あたりの給与削減を行うようになります。実際に、ワークシェアリングを導入したフランスでは、1人あたりの労働時間が削られ、低所得層が生活できないレベルになりました。

 

「ワークシェアリングの実像」竹信、ジャーナリスト、2002

「「この政策は、とりわけ大規模流通部門やレストラン部門にとって有利に作用した」と分析する。それまでフルタイム労働の収益が低いことに悩んでいたサービス産業は、この政策によって、必要なときだけ来て働いてくれる短時間労働者を調達できるようになり潤ったが、その結果、最低賃金ギリギリしか払われない低賃金雇用がさらに分割されることになり、そうした雇用についていた人々は生活できなくなってしまった、というのである。[中略]サービス産業化によって必要なときだけ働いてくれる細切れ労働の需要が加速し、「分け合い」だったはずのワークシェアリングを、この「細切れ化」に利用する動きが各地で起きていることをうかがわせる。」おわり。

 

B コスト増に耐えられず、つぶれていく企業

 

給与が減るのを嫌がる労働者に配慮する企業は、そのコスト増に耐えられず、潰れてしまいます。その結果、現状働いていた人の職まで奪うことになります。

 

同じく竹信、

「リピエッツはさらに、賃下げを伴わないでワークシェアリングを行ったとしても、そのコスト増に耐えられる企業に勤める中流正社員にはプラスだが、コスト負担に耐えられない零細企業は倒産し、こうした産業を主な職場とする低賃金女性労働者は職場を失うことになる、とも述べる。働き手に良かれと思って導入したワークシェアリングでさえ、目に見えにくい不安定雇用を視野に入れて設計しなければ、かえって新しい失業を生むことになることを、リピエッツの論考は示している。」おわり。

 

ここでフローを変えてください。深刻性。

 

1 ワークシェアリングを導入すると、政府からの援助がもらえない状態のなか低賃金で生活をしなければならなくなるため、深刻です。

 

日経BPネット、2009年。

「現状のままでのワークシェアリングは、万能の特効薬ではない。緊急退避として「雇用を確保するため、仕事を分け合う」という発想が、副作用のある劇薬の様なものなのだ。最悪の場合、生産部門の全員が大幅な「収入減」を強いられる危険性さえ孕んでいる。結果的に「解雇はされてないけど、毎日、アルバイト探し」とならない保証は、現状ではどこにもない。逆に「解雇されてないから、失業保険はもらえない」となり、困窮の極みになる可能性もないわけではない。現状での緊急退避型ワークシェアリングは、リストラと同じように働き手に犠牲の多くを強いる心配がある。」おわり。

 

2点目として、賃金の低下は消費を停滞させ、経済を悪化させる。これは肯定側の重要性を参照してください。

 

3点目。企業がつぶれると、新たな失業者を発生させるので深刻です。

 

では、メリットの話に移っていきたいと思います。フローシートを変えてください。

 

まず、彼らのプランの大前提というのは、希望する企業に、ワークシェアリングの法制化をする、という話なんですね。

 

1点目の反論として、彼らは、80社が、アンケートを――一枚目のエビデンスで――出していましたが、これが全体に適用できるという証明は、彼らがすべきです。果たして日本の企業の中で、希望する企業は果たしてどのくらいあるのか、というのは、彼らの論証責任ですから、ここが証明できないとそもそもメリットが小さくなっていると思います。

 

2点目として、仮にワークシェアリングで多くの企業というのは、ワークシェアリングを受け入れないと思います。なんでかというと、彼らの現状分析でも言ってますけど、今リストラしなければけないくらい、厳しい状況に追い込まれている。とするならば、なんでそんな厳しい企業がわざわざ人を雇うというのを飲むのか、というのはやはり彼らが証明する責任があると思いますので、この時点で数が減ると思います。

 

3点目、実際には、政府が推進したとしても、ワークシェアリングを、企業が実施しません。これは経験的に証明されています。

 

中野弁護士、2005年。

「社会経済生産性本部が「サービス残業をなくせば90万人、すべての残業をなくせば160万人」の雇用を創出できるという試算を発表したのは19995月のことだった。翌年春、この機関は明瞭にワークシェアの導入を提案する。[中略]けれども、2000年時点の連合はなお、目前に進行している直截な賃下げによる雇用の維持、サービス残業の横行、低賃金・不安定雇用の非正社員活用などを、ワークシェアが克服しうるかどうかに懐疑的であった。時短に伴う総収入の減少を承認する合意も労働界にはなかった。そして経営者側はといえば、「目前に進行」する事態をやむをえぬものとみなしていた。関心はひとえに個別企業の生産性と人件費コストであり、その点から経営者の選好は、どうしても能力主義的選別を規制することになる時短・ワークシェアよりは人減らしリストラに傾いていた。」おわり。

 

というわけで、実際にはほとんどの企業は希望しないだろう、というのが言えると思います。ま、やらない、という話ですね。

 

で、次、雇用が生まれる、というところなんですが、これも、ほとんどの企業がワークシェアしないので、雇用は生まれないと思います。

 

2点目として、彼らの解決性というのは、要は労働時間が減る、ま、残業が減れば、という話を一つしていたと思うのですが、1点目として、そもそも残業は本当に減少するのか、というのは、彼らに証明する責任があると思います。

 

2点目の反論として、実際には時間短縮に結びつきません。残業代を支払わない、サービス残業があるからです。

 

THE21PHP出版、20093月。

「またサービス残業が常態化しているなかでは、ワークシェアリングが導入されたからといって、「ほんとうに労働時間が減るのか」という問題もある。最悪の場合は、「サービス残業時間ばかりが増えて、給料は減る」といったことも想定される。」おわり。

 

というわけで、ただ働きさせる可能性だって十分にあるわけなんですね。これを本当に解決できるのか、残業を減らしたところで、サービス残業に移行してしまうけですから、結局新規の雇用には結びつかないので、このメリットは成立しないと思います。

 

で、メリット2に関しても、これは、「働かなければ」の話で、実際に労働者が働くかどうかについては、2NC以降で証明していきます。

 

 


質疑応答

肯定側質疑(内藤田中)

 

内藤:よろしくお願いします。まず、デメリットについて確認していきたいんですけど、このデメリットは、全体的にワークシェアリングがなされて、成立するデメリット

田中:ま、基本的にはそうですね。

内藤:基本的にはそうですよね。つまり、じゃあメリットが無ければデメリットも生じないよ、とまあその場合はオフセットになるかも知れないですけど

田中:まあ、そうですね。

内藤:そうですね。分かりました。じゃあ、上から順々に見ていきたいんですけど、まず、今現在不景気だ、という話ですよね。

田中:はい。

内藤:で、[雇用]創出よりも、リストラしていく、と

田中:人件費を抑えようとするはい。

内藤:で、その後、発生過程のところで、フランスではダメだった、とちなみに、このフランスの導入したワークシェアリングって、どういうワークシェアリングなんですか。

田中:えーと、どういうワークシェアリングこれは確か、労働時間を40時間から36時間に減少した、ってやつでしたね、確か。

内藤:労働時間を減少させた。

田中:そうですね。法律によってやった国が主導してやった、という点では同じだと思うんですよね。

内藤:で、その結果、だめだった、と。で、生活が

田中:細切れ化していった。生活できないような、ワークシェアリングが起こってしまった、ということですね。

内藤:ふ〜んで、どの程度の人が困った、とかいう、そういう具体的な数字っていうのは書いてないんですか。

田中:数字に関しては無いんですが、「細切れ化を利用する動きが各地で起きていることをうかがわせる」と言っているんで、ま、結構な数起こってたんじゃないかな、と思います。

内藤:細切れになった、ということは、でも、雇用はされている状態なんですよね。

田中:いや、だから、生活できないレベルの雇用になってしまった

内藤:生活できないレベルフランスは、ちなみにフランスで生活できないレベルって、どのくらいの給料なんですかね。

田中:あー、ちょっとここでは分からないですね。

内藤:じゃ、どの程度減ったのか、というのも、分からない、と。

田中:そうですね。数字に関しては、ちょっとここでは述べていないです。

内藤:わかりました。じゃ、その後、Bなんですけど、リピエッツさん、って、何人ですか。

田中:これはフランス人て

内藤:フランス人。で、これはフランスの内容を言っている、ということですか。

田中:フランスの内容を言っているま、フランスに限ら、こういうものが起こった

内藤:ちなみに、ワークシェアリングをやると

田中:人員削減を伴わないで、ワークシェアリングをやったら、ま、つぶれる企業もあるだろう、と零細企業はつぶれていくだろう、という話をしています。

内藤:では、そこのロジックなんですけど、なんでつぶれる、って書いてありますか、ここでは。

田中:「コスト負担に耐えられない」とあります。

内藤:「コスト負担」って、何のコスト負担ですか、じゃあ。

田中:えーと、要するに、新しく、あなた方の場合、もし人を雇い入れるのだとすれば、そこで、新たに保険費とか、いろんな人お金がかかるんですね。そのコストには耐えられないよ、という話をしているわけです、ここは。

内藤:じゃ、プランでもし、国が保証したら。

田中:国が保証したら、というのがどういう状態なのか、ちょっと分からないんですけれどもそれで果たして、ま、本当に耐えられる、というのは、やっぱりそこは肯定側の証明

内藤:ちなみに、フランスでは、そういうコスト負担っていうのがもっともっとどんどん増えていった、ということですか。

田中:コスト負担が増えていった

内藤:中小企業で負担が

田中:ああ、企業にとってはそうですね。耐えられないので増えたというのは、そういう風になるだろう、という話ですね、ここは。

内藤:これ、フランスって、そもそも義務化なんですか。それとも、何か、やりたい企業はやっていいよ、という

田中:えーと義務化だったと思うんですが、ただ、このエビデンスは別にフランスがどうのこうの、といってる話じゃないので、この少なくともBのエビデンスの話はですね

内藤:でも、フランスについて見て、それで、結局こういうことだったんだよ、という調査結果ですよね、リピエッツさん、フランス人

田中:いや、そういうことでは多分ないと分からないですが、ここでは。

内藤:そういうことではないんですか。その資料のリソースは

田中:リソースこれ、日本人が[時間切れ]

 


肯定側第二立論

肯定側第二立論:玉置繁之 孔明の罠

 

それでは僕もスピーチの前にちょっとサンクスワードを言いたいと思います。まずこの大会を開いてくださったJDAの皆様、そしてジャッジやスタッフとして、この大会を支えてくださった皆様に感謝をしたいと思います。この大会は、僕もまあ、学生最後の大会で、今実は四年生なんで、なので、最後の大会、非常に楽しく試合をすることができました。この決勝戦も楽しくなりそうなんで、ちょっとおもしろいですね。はい。まああくまでそれは僕としてであって、皆さんが楽しいかどうかはちょっと分からないんで困りますけど。まあそんな感じですね。続いてもう一つ、内藤君にも感謝したいと思います。今回、本当、僕、ほとんどプレパできなくって、彼もあんまやってなくって、すごい状況だったんですけど、それでも、昨日ブリーフアップしたりとか、そんな感じだったんですけど、それでも文句一つ言わずにここまでついてきてくれて、それで、あの、二年生の時からの付き合いなんですけど、そのときから結構長いこと一緒に試合に出てて、それでJDAで決勝に出たのは今回がこの二人で出たのは始めてなんで、今回ここまでついてきてくれた内藤君に感謝したいと思います。彼も言ったように、僕も結構怒ったりしたことあったんで、それにもめげないで、ちゃんと来てくれたことは、本当にうれしかったです。はい。では、スピーチ始めたいと思います。

 

よろしいでしょうか、始めます。

 

まずですね、ワークシェアが進むのか、という肯定側の議論をご覧ください。ここに関しまして、まず前提として確認したいのは、パートナーが質疑でも確認したように、ワークシェアが進まなければ、デメリットも出ない。それは、ワークシェアが進まなければ進まないほど、デメリットも小さくなる。だからですね、これ、確かにワークシェアをする企業がゼロだったら、プリザンプションでネガ、それでいいと思うんです。だけど、それがゼロで無い限りは、できる、という前提ですね、メリットとデメリット、これを比べていただきたいと思います。それで、彼らはゼロである、とまで証明しているのか、そこはできていないんですね。そこに対して、個別に反駁したいと思います。

 

まずですね、彼らワークシェアをやるのか、人件費コストがあるじゃないか、という話がありました。その通りです。だからこそ、私たちはプランの四点目で、そういったコストを負担しようと国庫から負担しようと、そうすることによって、企業がやってくれる。ここを明確に証明していますよね。つまり、彼らが言っているのは何かといったら、今だったらワークシェアはしない、だけど国庫が負担したらやる、こういう風にですね明確に、これでプラン前とプラン後の差が示されたと思っております。

 

次、ほとんど残業がほとんどの企業がワークシェアをしない、とおっしゃってました。しかし、それは先ほどもいいましたように、その分だけデメリットも小さくなるので、関係ありません。

 

続いて、残業が減るのか、サービス残業になるだけじゃないのか、という話がありました。まず1点目として、そもそもですね、私たちは一枚目の資料のところできちんと「ワークシェアを進める企業があるんだ」ということを言ってますよね。そういう風にですね、財政支援さえしてくれるのであれば、ワークシェアをする企業はある、そしてそれは企業側にもメリットになるのだ、ということを、もうちょっと後で説明したいと思います。

 

その次、さらに2点目として、この資料、「THE21」とか言ってるんですけど、これって一体何なんですか。誰が言ったんですか。その、誰とも分からないような人がですね「それって本当に減るの、ただ単にサービス残業が増えるだけじゃないの」って、全然オーソリティ無いと思うんですよ。ここに関して、ちゃんと彼らがですねここはまあ、しかも根拠もないわけですからね。サービス残業が増える、という根拠も全く言っていない。そのことから考えて、このエビデンスは取ることができないと思います。

3点目としてですね、私たちのプランで、だからこそ、そうやって、年二回抜き打ちでチェックする。抜き打ちですからね。抜き打ちでチェックをする、こういうシステムを作っているわけです。ですから、この反論は当たっていません。

 

デメリット。

 

まず、現状分析の一枚目の資料のところで、人件費削減が必要なんだ、という話がありました。

 

1点目として、まずそれは認めます。だからこそ、こうやって現在リストラが進んでいるのであって、それが問題である。だからこそ、ワークシェアをすることによって、リストラを回避しよう。これはたちのプランでも言っていましたね。こうやって、ワークシェアによって、リストラをするという形ではなく、仕事を分け与える形、これによって雇用を維持しようというのが私たちの政策なんです。

 

で、2点目としてですね、彼は総人件費がさも上がるかのように言っているんですけど、それは変わらないです。そうやって減らした分だけ、そうやってリストラで、人を切るのをやめる、あるいは新規雇用をすると言っているわけですから、総人件費は、全くプラン前後で変わりません。

 

3点目、さらにターンです。むしろですね、そういう風に従業員を守ったことの方が、かえって企業にとってもメリットになります。それは教育投資の回収ということですね。

 

富士通総研経済研究所研究員、相澤、2002年。

「企業がリストラにより従業員を解雇すると、今まで従業員に投資してきた教育訓練費や、従業員が体得した熟練技術も同時に失うことになる。景気が回復して再び人員を増やそうとしたとき、同じような技術を持たせるまでに、一から投資し直して長い時間をかけなければならない場合がある。こうした技術の廃棄や教育投資の重複を避けるために、労働時間を削減して雇用を維持するワークシェアリングは有効である。」引用終了。

 

そして彼らの言っているような中小企業、こういったところにとって、人的資源というのは命であり、それをリストラするというのは致命傷になり得ます。

 

みずほ総合研究所チーフエコノミスト、杉浦、2009年。

「日本企業特に中小企業にとっては、従業員が最大の経営資源です。ものづくりサービスも、熟練の技術やノウハウなどが連綿と受け継がれて蓄積されてきたから競争力が保たれているという実態があると思います。そういう人的資源をカットしないと会社として依存できないという現実がある一方で、そういう人たちが失われると長期的な企業の成長基盤が失われるという、今ぎりぎりのところにいるような気がします。」引用終了。

 

このように、非常にぎりぎりであって、こうやってリストラとかしてしまえば、長期的にだめになってしまう、だからリストラではなく、ワークシェアをしようじゃないか、それが私たちのスタンスです。これは企業側にとってもメリットですし、まあ、誰にとってもメリットである、と、そういうことを言いたいと思います。

 

続いて、発生過程の二枚目のフローに移ってください。まず、ここのAのところで、フランスの話が挙がっていました。

 

まず1点目として、このエビデンス、僕も知っているんですけど、これって何かといったら、パート雇用を促進するような法律を作ったとき、って話なんですよ。これは、あの今ちょっと持ってるか分からないんですけど、これ、原典を当たっていただければ分かると思います。そういう話なんです。全然今回のケースには当たっていません。

 

2点目としてですね、さらにこれって、フランスの話なんですね。確かにフランスだったら生活が破壊されちゃった人もいるかも知れないです。でも、彼らが証明しなければいけないのは何か、「日本の労働者というのが、ぎりぎりで生活していて、それでちょっとでも下がったら破綻する」日本の労働者がどうなのか、そこだけなんですね。フランスとか、別にどうでもいいんです。日本でどうなのか、そこまで証明できなければこのデメリットというのは全く成立していません。

 

次、Bに移ってください。Bのところなんですが、まあ、これ、コスト負担給料を下げなければ、っていう話がありました。

 

まず1点目として、そういった、私たちのプランでも、給料を下げることは想定しています。ですから、私たちのプランには当てはまりません。

 

2点目。さらに、これによってですね、どれだけの企業が倒産するのか、そこの証明がありません。

 

3点目として、ターンアラウンドとしてですね、むしろそういった中小企業にとっては、そういう風に人を切るのではなくて、そうやってワークシェアをすることによって、教育投資を守る、人々を守っていく、これこそが大事だというのは、先ほどのターンでも述べた通りです。そこを考えていただきたいと思います。

 

次、三枚目のフロー、Cのところに移ってください。で、ここで、雇用を分け合うのは劇薬だ、とか、収入減だ、とかありました。しかしながら1点目としてですね、これ「失業より辛い」とか言っていたんですけど、根拠がないです。例えば失業給付というのは、期限付きですし、いくらもらえるかも分からない。それぐらい非常に不安定なものなんですね。それに対して雇用されていれば、少ないかも知れないけど、でもこれからもずっと働き続けることができる、そういうことなんですね。ですから、私たちが言ってるように、雇用する方が賃金低下より失業の方が、はるかに恐ろしいものであると思います。

 

2点目として、さらにですね、私たちのメリット1B1点目の資料をもう一回見てください。つまり、ここで言っているようにですね、失業っていう問題の怖さっていうのは、働くことができなくなって、生き甲斐を感じられなくなる、自分が必要とされていない、となってしまう。こういったロジックもあるわけなんです。ここに関しては、収入が下がったとしてもですね、働き続けることができるわけですから、その分はキャプチャーできます。

 

3点目として、こうやってですね、生活が破綻した結果、自殺とか、犯罪とかまで至るのか、私たちは、失業に関しては、自殺や犯罪にも至るような、非常に深刻な問題であると証明しました。彼らは収入減が問題だ、と言うのであれば、それぐらいまで深刻な問題である、そこまで証明できなければ、このデメリットで私たちのメリットは上回れないと思います。

 

それでですね、メリットをちょっと、もう一回要するに、私たちのスタンスを言いますと、要するに、人々の雇用を分け合うことによって、みんなを守る、それによってそれこそが、中小企業の発展にもつながりますし、消費の拡大によって、企業の日本経済の成長にもつながる[時間切れ]そして過労の防止にもなる、それが私たちのスタンスです。

 


質疑応答

否定側質疑(田中玉置)

 

田中:では始めます。

玉置:はい、よろしくお願いします。

田中:まずは、プランのところに対してプランじゃないメリットのところに対してした話としては、プラン4で「負担をする」んだ、と

玉置:負担は国家がします。

田中:国家がするただ、これ、負担をする前提は、チェックして、この何ですかちゃんと守れてたら、という前提ですよね。

玉置:だからこそ、ちゃんと守るんだと思います。

田中:で、そこが問題なんですけど、ちゃんと守るんですか、それって。

玉置:守ると考えています。なぜかというと

田中:あるいは、守れる、という証明はどこでしましたか。

玉置:どうして守れないんでしょうか。

田中:いや、そこを聞きたいんですよ。守れる

玉置:いや、逆に、なぜ守れないんですか。

田中:いや、あの、私が質問してるんで

玉置:いや、それは僕が聞きたいくらいで

田中:あの、守れる理由をちょっと聞きたいんですよ。なんで、守れるんですかね。

玉置:いや、逆に、守れない理由が分からないので何とも言えないって感じですね、それは。

田中:まあいいです。

玉置:いや、だってそれっていいですか。

田中:デメリットのところに対してした反論としては、まず現状分析のところに対してした反論が、総人件費は増えない、ということ

玉置:増えない。

田中:これはなんででしたっけ。

玉置:総人件費が増えないだから、今、減らすじゃないですか、人々の給料を。あなたたちのように。その分を使ってリストラを回避するだけなわけですから

田中:その分を使ってリストラを回避する、というのは、プランなんでしたっけ。

玉置:プランの言ってまして、これはプランの2点目です。

田中:その費用を使って、て言ってましたっけ。リストラを回避して、っていうのは言ってたような気はするんですけど。

玉置:リストラを回避する、はい。雇用だから、リストラを回避するし、それで余った分を新規雇用に回す、と。

田中:ああ、なるほど。雇用に回す誰が回すんですか。

玉置:企業が。ちょっと簡単に説明しますと

田中:はい、いいです。

玉置:はい。

田中:次、教育関連費が回収できる、という話があって、ま、中小企業としてはそれが大事人材が大事だ、というのは分かったんですが、教育関連費の話を良く聞いてると、何か、すぐにはどうやら回収できないんですよね。あの、良く聞いてると、長期的にどうのこうのっていうエビデンスですよね。

玉置:だから、言いたいのは、長期的にそういった投

田中:じゃ、問題は、長期的にもちろん企業が耐えられればそれでいいんですけど、長期的に耐えられるんですか。

玉置:いや、だから長期的とかいう問題じゃなくて、今まで長期的に投資してきた人的資源、いるじゃないですか。何か、すばらしい労働者とか。そういった人たちという能力自体が大事なんだ、というのが、この資料で言っています。だから、そういった人たちを切ってしまえば、能力のある人がいなくなるわけですから、当然企業としては大変な事になっちゃうんじゃないですか。

田中:んー、それってすぐに発生するんですかね。

玉置:だからそれで、今あなたたちも言っているように、リストラせざるを得ない状況になっているからこそ、そういう風なのは、リストラを回避することによって、すぐ発生してると思います。

田中:う〜ん、なるほど。で、次。発生過程のところに関しては、えーとじゃ、インパクトのところが、ま、雇用は賃金低下よりも雇用確保だ、っていう話でしたよね。

玉置:はい。え、賃金低下の方が、失業よりはましだ

田中:いやいや、失業の方がましだいや、失業

玉置:違う、賃金低下の方がまし。

田中:失業よりはましだ、と。

玉置:はい、そういうことです。

田中:わかりました。以上で終わります。



否定側第二立論

否定側第二立論:鈴木恵利香 創価大学Debate Network C

 

スピーチを始める前に、サンクスワードを述べさせていただきたいと思います。まずはこの大会を開催していただきました、実行委員長の安藤さんを始め、スタッフの方、ジャッジの方、選手の皆さん、本当にありがとうございます。[孔明の罠チームの]二人とは、年齢的にも同期なんですけれども、私も最後の大会で、このような場所に立てることができて、非常にうれしく思っております。また、大学四年間でいろんな団体にお世話になったおかげで、この決勝戦の場に立てることができたんじゃないかなという風に思っております。もちろん、立教大学CanDですとか、WDDですとか、中央大学ディベートサークルの方ですとかJBDFの方、また、ディベートラボの方、また、ジャッジとして、いつもつたないジャッジなんですけれどもいつも使っていただいております、NADEの皆様にも、本当に皆様のおかげで、本当に、ここまで来れたんじゃないかな、という風に思っております。本当に感謝しております。で、最後の大会おそらく私の人生最後の大会になる可能性が非常に高いですので、なるべくいい後悔のないようにスピーチができたらいいな、という風に思います。よろしくお願いします。

 

ではまず、デメリットを読んでから、メリットに対して反駁します。

 

デメリットに補強します。

 

実はですね、日本でワークシェアリングを導入すると、低賃金者という状況が深刻になります。

 

「ワークシェアリングの実像」竹信さん、2002年。

「「賃下げを伴う雇用維持」を提案していたのは、大手銀行の子会社で支店の社員食堂を運営する「東興フードサービス」という会社である。[中略]労働時間を減らし、これに合わせて賃金も減らすという変更だった。経営が悪化して赤字がかさみ、人件費がもたなくなったが、賃金を下げれば全員の雇用を確保できるというのである。[中略]受け取った紙には、「時給は最低830円、勤続給として2年ずつにつき10円ずつ上がり、最高で時給890円まで上がる」とあった。吉岡さんらの同僚で58歳になる小山のぶ子さん(仮名)にとって、この減収は痛かった。新方式での小山さんの時給は840円とされていたが、これだと月に10800円にしかならない。働きながら直時を取って仕事の密度を上げれば拘束時間も減るかもしれないが、15200円の減収になってしまう。1万円の減収は、高賃金の働き手にとってはさしたることではないかもしれない。しかし、もともとが低水準の賃金で1万円強の賃下げとなる影響は大きい。」おわり。

 

ということで、こういう風にですね、低賃金にあえいでしまう人たちというのが、実際に日本でも起こってしまう、ということです。

 

次、メリットに対して反駁をしていきたいと思います。フローシートを変えてください。

 

まずですね、雇用不安による景気の悪化の話、これに関して、よく見て欲しいんですけれども、これっていうのは、雇用不安というのが、完全に払拭されなければ、要は、景気っていうのは回復していかないわけですよね。で、少なくともということは、このプランによって、全ての失業者の問題というのが解決されない限り、雇用不安というのは、プラン後にも残るわけですね。そうすると、結局人々というのは消費をしてくれないわけですから、景気が良くなっていくというメリットはありません。よって、このプランもしこのワークシェアリングの制度を導入したところで、企業がもし導入してくれないところが多いのだとすれば、この景気の問題というのは、少なくとも解決されません。

 

で、2点目として、これ、消費をしてくれないのが問題なんだ、という話なんですけれども、じゃ、これ、果たして雇用不安を解決することによって、果たして消費が生まれるのかどうか、この部分の分析が足りないわけですね。今というのは、日本で考えてもらえれば分かると思うんですけど、年金の問題とかですね、非正規社員、正社員の格差の問題とかですね、いろいろな問題があるわけですよ。こういう問題がある中で、なんで雇用不安だけを払拭すれば、消費を促してくれるのか、この証明をきちんとしない限り、この雇用不安という問題というのは、解決できない可能性が高いと思います。

 

次、サービス残業のところに関して、サービス残業のところなんですけれども、実は今っていうのは、その企業っていうのはなるべく賃金を下げようというモチベーションがあるというのは、デメリットの固有性で[証明]しました。で、そういうところで、制度が導入されてしまうと、労働者が、リストラか、ワークシェアリングか、という、究極の選択を迫られることになり、雇用不安が増大します。

 

THE212009年より。

「しかし、だからといって正社員がワークシェアリングを拒否するのも、リスクがともなう。「これだけの人数の正社員を雇うだけの余裕がない」という理由のもとに、雇用の維持が約束されなくなり、リストラの対象となることもあり得るからだ。そして、何かと人件費がかさむ正社員に代わって雇用されるのは、コストが安く雇用調整もやりやすい非正規雇用者というわけだ。こうして正社員は、「リストラの対象となるか、ワークシェアリングか」という究極の選択をせまられることになる。」おわり。

 

ということで、で、2点目として、じゃあ実際はどうなるか、というとですね、結局失業と一緒に行われてしまう、という可能性が非常に高いです。

 

200931日、読売新聞より。

「欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)のウィンターコルン社長は、2009年中に契約社員の全員にあたる約16500人と再契約せず、削減する方針を明らかにした。独誌シュピーゲル(電子版)が28日、インタビュー記事として伝えた。世界同時不況で、各地の新車販売台数が激減していることを受けた措置だ。」おわり。

 

ということで、実はですね、ワークシェアリングというのは、フォルクスワーゲンというのは、やっているんですけれども、でも、それでもリストラっていうのは、結局起こってしまう、と。で、ということはですね、5%減らせば255万人の雇用が生まれるなんて話なんですけれども、結局そこの裏でリストラをされてしまったら、結局失業者というのは、どんどん増加してしまうわけですから、この雇用不安という問題が本当に解決されるかどうか、というのは分かりません。

 

で、次、3点目として、サービス残業の話に関して、あったと思うんですけども、実際にワークシェアリングを導入しているオランダでは、サービス残業というのは減っていません。なのに、そのため、この問題というのは解決することができません。

 

日本貿易振興会、長坂、2000年。

「パートタイム労働の実態についての批判もある。パートタイマーになっても、実際の労働時間はフルタイムの時と少しも変わっておらず、仕事量は1日休日が増えても減っていないと、わたしがインタビューしたオランダのパートタイマーも述べていた。これらの人々は高学歴の知的労働者で、残業代をもらわずに家で仕事をさせられるサービス残業をしているのが実態だというのである。週休3日という自由は特だが、1日分の給与が減り、仕事量は昔と変わらず同じ高学歴者や管理職のパートタイマーにはこういう不満が強い。」おわり。

 

ということで、結局ですね、サービス残業という仕事量というのは、一人あたり、変わらないので、家で結局仕事をせざるを得ない、と。で、そうすると、企業からすれば、コストを押さえることができる上に、家で仕事をしてくれる人たちがいる、ということは、別に新しい人を雇う必要ないじゃないですか。そうすることで、結局その、失業の問題というのがあったとしても、結局このプランによって解決されるということはありません。

 

で、えっと過労の問題にかんしてなんですけど、過労の問題に関しても、このサービス残業の話っていうのを、そのまま適用してください。で、結局のところですね、この問題というのは、プランを導入することによって、実際の労働時間が減らなければ解決されない問題なんですね。で、実際はどうなのかというとですね、家でとか、あるいは会社であったりとか、そういうところでサービス残業しなければいけない状況に置かれてしまう、と、結局。そう考えると、結局ですね、彼らの、この問題というのは解決できませんから、プランを導入する必要というのは無いと思います。

 

で、そこに対して、多分2ACで言ってきた、抜き打ちをやるからいいんじゃないか、という風に、逃げてくるかも知れないんですけど、今もサービス残業って違法ですよね。でも、違法なのに取り締まれてない、ということは結局じゃあ、それで、抜き打ちをすることによって、この、サービス残業という問題を解決できるということ、そこまで、彼らが強い証明をしない限り、結局このサービス残業という問題も減りませんし、結局そのじゃあ、その企業が、その政府のやっている指示通りにしたがってくれるか、という証明も、そもそも無いわけですね。この部分を、きちんと次の1ARで証明しない限りまあ、そもそも立論の中で証明してないので、この時点で切ってもいいと思うんですけれども…1ARで証明しない限り、やっぱりこのプランというのは、導入するべきではない、という風に、判断できると思います。

 

じゃ、あと、そうですねえーとあと、解決性のところなんですけれども、その…215万人の雇用の時間が生まれる、というところで逃げてくるかもしれないんですけれど、失業者が本当にそのあのうまく[時間切れ]雇用されるかどうか証明が無いので、これも問題を解決するとは言えない。

 

以上です。

 



質疑応答

肯定側質疑(玉置鈴木)

 

鈴木:お願いします。

玉置:よろしくお願いします。じゃあ、まず、サービス残業が減っていない、オランダの例なんですけど、ここって、オランダの何て会社ですか。

鈴木:はい?

玉置:いや、あの、これって、オランダのどっかの会社ではなんとかさん、という人は、サービス残業をしてる、っていう資料だと思ったんですけど

鈴木:特に会社名は資料中では述べていないんですけど

玉置:わからないですよね。つまり、単純に

鈴木:ここの資料で述べているのは

玉置:いいでしょうか

鈴木:はい。

玉置:いいでしょうか。ここで言っているのは、ある企業においては、サービス残業ができていると言っているだけで、全ての企業でサービス残業してるとは言ってませんよね。

鈴木:いえいえ、ちゃんと資料を読んで欲しいんですけど、まあ、全てとは言っていないんですけれども、結局、仕事量が変わらないから、家でサービス残業をさせられている人たちが多い

玉置:仕事が変わらないから。

鈴木:そうです。

玉置:なるほど。仕事量が変わらないから。OKです。

鈴木:はい。

玉置:じゃ、次行きましょう。次のところなんですけどじゃあ、デメリットに追加された資料について見てみましょう。

鈴木:はい。

玉置:ちょっと、一万二千五百円っていうのは、すごくもともと低所得者の人にとっては痛いんだ、と。

鈴木:はい、そうです。

玉置:で、この人っていうのは、一万二千五百円減って、どうなったんですか。

鈴木:どうなった

玉置:例えば、もう生活ができないから自殺しちゃったとか、そんなことって無いですよね。

鈴木:あの

玉置:普通に生きてますよね。生きてインタビューに答えてますよね、ここで。

鈴木:ま、死んではいないと思いますね。それは

玉置:死んでもいないですよね。

鈴木:ただ、この結果がどうなったか、っていうのは、ま、資料で言っていないんですけど

玉置:いや、まあ痛いっていうのは分かったんですけど、でもちょっと考えていただきたいのは、例えばあなた、給料下げられたら、給料下げられるなんて嫌だ、って言いますよね。もちろん。

鈴木:そうですね。

玉置:痛かった、って言いますよね、下げられて。生活は。

鈴木:はい。

玉置:いいますよね。

鈴木:はい。

玉置:それが本当に痛かったかどうかに関わらず、給料が下がれば、普通の人は給料下がったのが嫌だから、ああ、給料下がって生活が苦しくなったって、言いますよね。

鈴木:でも、考えて欲しいんですけど、私、多分この四月から入社するので、多分月収20万だと思うんですけれども、そこから、例えば15万で、一人暮らしで、なるべく生活一人でがんばりなさいとか言われたら、多分私、生きていくことできないと思うんですよ。何でかっていうと

玉置:でも、十万800円で生きてますよね。この人。

鈴木:まあ、この人は多分、副業とかでがんばってたんだと思うんですけれども

玉置:なるほど。

鈴木:はい、で、あの、少なくとも、この人が生きてるからといって、全ての人が、この十万円で生きてけるかどうか、っていうのは別問題ですよね。

玉置:まあ、もちろんそうですけど

鈴木:そうですよね。

玉置:まあいいですけどじゃあちょっと戻って戻ってっていうか、あとにあるんですけど、リストラかワークシェア、究極の選択だ、とおっしゃってましたよね。

鈴木:はい。

玉置:今だったらリストラ一択しかないですよね。

鈴木:リストラ一択しかないまあ

玉置:リストラ一択のところが、リストラかワークシェアの究極の選択になる、と。

鈴木:はい。

玉置:なるほど。じゃ、いいです。

鈴木:はい。

玉置:それでちょっとメリットに戻っていただきたいんですけど、雇用不安が解消しない限り消費増えないじゃないか、と。で、ちょっとここで確認したいのは、例えばこの、一万二千五百円減らされた方って、多分一万二千五百円またもとに戻ったら、それ使いますよね。一万二千五百円。

鈴木:一万二千五百円もとに戻ったら

玉置:生活苦しかったのが、一万二千五百円上がったから、それは使いますよね。

鈴木:使うかどうかは別問題ですよね。で、あの多分そのなんて言うんだろう

玉置:ちょっと待ってください。使わなくても生きていける、ということは、別に生活苦しくないですよね。どっちなんですか。

鈴木:あ、そういう生活のところでは、多分使うことっていうのはあると思います。

玉置:ありますよね。

鈴木:はい。

玉置:ということは、その分消費増えてますよね、この人の分。

鈴木:いや、え?どういうことですか。

玉置:だから、失業している人がいて、その人にちょっとお金が入ったら[時間切れ]その分は使いますよね



否定側第一反駁

否定側第一反駁:田中時光 創価大学Debate Network C

 

では、始めます。

 

まず最初に、デメリットの方から見てください。まず、彼らの反論としてあったのは、何か、総人件費は下げないんだ、という上がらない、という話をしていたんですけれども、これはなんで総人件費が上がらないのか、という、そのちょっと根拠がよく分からないんですけれども、で、それと同時に、彼らは、何か、教育関連費が回収できるそういう、長い間投資してきたものが失われるのがまずい、って言っていたんですが、確かにそれ、まずいのはまずいんですけど、これ、よく聞いていると、景気が良くなったときに、景気が悪いときにクビ切って戻って来れないからまずいって言ってるんですが、じゃ、今の日本の状態ってどうなのかっていったら、デメリットの二枚目のカードを見て欲しいんですよ。中小企業というのは、正社員であっても人件費を抑制しなければ、ビジネスそのものがやっていけない、っていうふうに言ってるわけですね。ですから確かに人件費が人を育てるって大事なんですけど、今の日本の企業で、っていうふうに特化して考えると、もうこれはクビを切らざるを得ない状態なんだ、ということで、彼らの反論は当たっていないと思います。

 

で、次、発生過程のAのところで、何かこれは、パートを促進した話で、日本には当てはまるか分からない、と言っていたんですが、そもそもこのエビデンスでちゃんと言っているんですよ。分けられたその、ワークシェアリングを細切れ化に利用する、というふうに言っているんで、別にパートとかの問題ではなくて、ワークシェアリングっていうものをやったときには、こうなったんだ、っていう話ですから、この反論は当たっていないと思います。

 

で、次、インパクトのところへ行ってください。彼らは何か失業のところが一番まずいっていうふうに言っていたんですけど、これ、ちょっと彼らの議論が行き過ぎだと思うんです。私たちのインパクトの証拠資料を見て欲しいですけれども、現状のワークシェアリングというのは、リストラと同じように、働き手に犠牲の多くを強いるっていう風に言っているわけなんですよ。ですから、確かに死にはしないかも知れません。でも、死なないからいいか、っていったら、これは別の問題ですよね。で、ずっと生きていて、本当に最低賃金人間人間として認められる最低程度の生活が本当にできるのかどうか、やっぱり確かに失業も問題だとは思うんですけど、それ以上に、その陰で賃金が下がってしまって、本当に生活できない人が出てくる、これはまずいと思いますね。

 

で、次、メリットの方に行きたいと思うんですけれども、結局、彼らのメリットというのはこれはデメリットも確かにそうなんですが、基本的には、希望する企業がやる、という話なので、全ての企業が導入する、という風にはやはり言えないと思うんですね。で、今の企業のモチベーションというのはどうなのか、って言ったら、人件費削減の方向に向かっている。だから、多くはやらないんだ、っていう1NCのカードを引っ張ってください。ここで、何かプラン後で負担するからいいんだ、って言っていたんですけども、これは、要するに、新規雇用とか実は、ちゃんと時間を削減できているか、チェックして、それを達成した企業の話なんですね。その企業が、どのくらい数が出てくるのかというのは、やっぱりメリット12の解決性の話につながってくると思います。

 

で、次、実際解決性のところはどうなのか、といったら、サービス残業の話が出てました。で、彼らは、何か、こう、サービス残業ワークシェアリングをするワークシェアリングをする企業は、サービス残業をしないって言っていたんですが、これ、ちょっと何て言うんですかね飛躍した話で、確かにワークシェアリングをやるって言った後で、その裏で、サービス残業をやる可能性そのものは否定していませんから、この時点で解決性が小さくなっていると思います。

 

で、2点目の反論として、プラン3で、何かチェックする、というふうに言っていたんですけれどもこれが本当に機能するのかも分からない。そして、デメリットの最初のカードを見て欲しいんですけれども、人件費抑制だと、本来の政府が定義する雇用の維持創出を目的としたワークシェアリングから、かけ離れていく、って言ってるんです。今のモチベーションだと、実は雇用にはつながらないんだ、と。残業減らし結局えーと、そのなんて言うんですか逃げ実際の雇用に結びつかないような形での時短が進んでしまうので、結局雇用効果は生まれないんじゃないか。今の日本の分析として、私たちの方に優位性があると思います。

 

で、次、メリットの2に関しても、結局、オランダで、実際には、残業残業が減らなかった、って話をしているので、仮に、このメリット2が成立したとしても、じゃ、どのくらいの人が、本当に助かるのかとか、そういう証明は、無い、と。で、これらを比べて見ていった時に、メリットの話っていうのはメリットもデメリットも結局、そもそもワークシェアリングをやらない企業がいれば、両方とも小さくなっていく、という話で、ま、この後の比較は、ちょっと2NRに任せようかと思っています。

すいません、以上です。

 


肯定側第一反駁

肯定側第一反駁:内藤隆行 孔明の罠

 

はい、始めます。

 

それでは、肯定側のフローをご覧ください。まず、我々のスタンスをもう一度確認したいと思うんですが、今現在は不況でリストラせざるを得ない、そういう状態にあると思うんです。それを、そういうリストラを、少しでも減らそう、と。それで、それは、結局のところ、雇用の促進に回るんだ、そういうような、スタンス、ということを確認してください。それにのっとって、あと、反論していきたいと思います。

 

まず、サービス残業の話について。ここで、何か、サービス残業を結局やるから意味がない、っていう話がありました。まず1点目、全てサービス残業そもそもサービス残業の話を出したのは否定側なので、じゃ、どのくらいの人がいるのか、実証立証責任というのは、否定側にあります。

 

で、2点目。じゃ、全ての企業でそういうことになっているのか、サービス残業を、全ての企業がやるのか、というところについても、否定側の立証責任です。

 

で、3点目。じゃあ、逆に考えれば、ちゃんと、そのなんだろうちゃんと、サービス残業をやらせないで、このようなプランを守って、ちゃんとやるような企業も出てくるのであろう、というふうに、私は思います。で、逆になんでそれをやらないのか、というとやるのかというと、逆に、じゃあ、もし、これ、守んなかったら、保証金も、今までかかった費用も何ももらえなくなっちゃうんですよ、国から。であるならば、だったら、何か、ワークシェアリングをやった、それだけの無駄足になってしまう。企業が、そんな無駄足なことをやるわけが無いんですね。だとしたら、ある程度の企業は少しはワークシェアリングということを導入して、ある程度の雇用には回るであろう、で、サービス残業もやらせない、というところにつながってくると思います。

 

で、そのあとまた、オランダの例も出てきましたが、結局その、オランダだけであってですね、他の国はどうなったのか、じゃ、日本で今後どうなるのか、全く、そこについては述べられていなかったので、確認してください。

 

で、その後、また余裕は、リストラ対象になるかワークシェアリングか、二つの二択だ、みたいな話がありましたが、今だけだったらリストラだけなんですね。それを、ワークシェアリング、というふうな、選択肢を与える、で、じゃ、どっちがいいのか、というような、選択肢を増やすということはとても重要だと思います。

 

では、次にデメリットの方を見てください。

 

で、ここでまず、低賃金労働者の話。まず、彼らは、何か例を出しました。840円で一万五千円減っちゃって、何か厳しいんだよ、みたいな話がありました。まず、これについて、1点目として、ま、これ、一企業の話であって、他の企業でどうなのか、っていうのはわかりませんよね。

 

で、2点目として、じゃ、減ってどうなったのかもう生きていけない、死んじゃったのかいや、そんなことはない。生きてちゃんと答えている。そこの[不明]を確認してください。

 

で、3点目。じゃあ、下げられた人で、そもそも、下げられた人ってどうなのかというと、やはり、自分が下げられたから、苦しい苦しいって言うのは当たり前であって、このようなインタビュー結果が出る、というのは、当たり前です。

 

で、4点目。じゃあ、逆に、リストラされるのと、もうリストラされるのとその、賃金をカットされるのと、じゃあ、どっちがましなのか。やはりリストラてしまって、それで、まあ何も生活できないよ。もう、何も買えない、食うこともできない、そのような状態になるよりは、いくぶん給料を少しでも生活がある程度厳しくなっても、ま、生活できる範囲で、給料がカットされるのならば、それは全然OKなんでまあ、その方がましである、というふうに思います。

 

で、その後ですね彼らは立論で、フランスの例を挙げて、給料削減で、結局はパートの割分け合いになってしまった、みたいな話がされていたんですが、まあ、でも、どっちにしろ、これ、結局、そのパートなんですね。パートがパート、アルバイトが、もっと時間減ったりとか、そういう話なんですよ。だとしたら、現在している、正社員とか、フルタイム労働者については全く関係が無いので、そこについては確認してください。

 

そこで、私のパートナーのターンアラウンドを伸ばして欲しいんですが人的資源の話、ですね。今の中小企業というのは、まあ、かつかつ状態なんですよ。その、かつかつ状態の中小企業は、今は、リストラしか方法がない、と。で、リストラしてしまうと、今まで投資した人的資源が無駄になってしまう、そういう状態が、今現在あるんですね。それをもしワークシェアリング、っていう方法を導入すれば、リストラかワークシェアリング、二つの選択肢になるわけです。で、それについては、まあ、企業が選べばいいんですが、でも人的資源を無駄にしない、そのようなワークシェアリングには効用があるんだ、と、そこについては、否定側の議論よりは、優位性があると思います。

 

以上で終わります。

 


否定側第二反駁

否定側第二反駁:鈴木恵利香 創価大学Debate Network C

 

では、始めます。

 

否定側が今回投票否定側に投票できる理由というのは、大きく分けて二つあります。一つとしては、企業が、そもそも、ほとんど導入しないから、今回の論題を肯定すべき理由を、肯定側が満たしていない、と。その時点でほとんどの企業が導入できないのであれば、今回はその価値っていうのがないので、否定側に投票するべきだ、っていうのが一つです。もう一つは何かというと、じゃあかりに、じゃあ導入してくれる企業があったとして、彼らのメリットというのが、問題を解決できるのか、といわれたら、全く解決することができないんだ、というのが、大きく分けて、二つの話です。

 

メリットに行きたいと思います。で、じゃあまず、そもそも、このプランによって、企業が、導入をするというアクションを取ってくれるのかどうか、これが第一の問題なんですけど、これ、1NCで読んだですね実際99年に政府が導入を提案したときにも、企業というのはやらなかった、というカードを引っ張ってください。で、結局のところですよ、政府が、強いアクションを取ってですね、導入したらどうですか、って企業に聞いたところで、導入してくれる企業はいなかった、と。何でかっていうと、今っていうのは人件費が削減しなければならないから、それどころじゃないんだよ、と。だから、そんなことをしてる暇はないんだ、ということで、導入してくれる企業はなかった、と。じゃあ、なんでこのプランによって、政府は援助することによって、新たにそのあのモチベーションが上がってやってくれる企業があるのか、っていわれたら、ほとんどないわけです。で、せいぜいあって、80社の84%のうちの、1000人以内以下の、小さい企業のうちのどこかしか無いんですよ。なんで、それをわざわざ政府がやらなきゃいけないんですか。その部分っていうのを、肯定側は積極的に証明してないですよね。そう考えると、やっぱりじゃあ、その部分の証拠メリットというのはだいぶ小さいというふうに考えられますから、やっぱりこれだけでも論題を肯定すべき理由を満たしていないという風に考えられると思います。

 

じゃあ、次。じゃあ、果たしてこの問題が、プランを導入することによって、解決することができるのか、が、次の問題になると思います。で、サービス残業のところに行きましょう。

 

で、ここに関してなんですけれども、実際に、じゃ、オランダで、その、ワークシェアリングを導入した結果がどうだったのかというとですね、サービス残業が横行してしまって、結局あの結局サービス残業っていう問題が解決できなかったって、この実際の部分を引っ張ってください。で、抜き打ちがどうので逃げてくるかもしれないんですけど、これは2NCでも言いましたね。ここに対して有効な反駁は無かったと思うんですけど、今でも違法なんですよ、サービス残業って。六ヶ月以下の懲役だったりとか、30万円以下の罰金があるんですよ。そういう強いアクションがあるのに、結局企業というのはやってるわけじゃないですか。

 

じゃ、なんでこれがそのお金を払わないってだけで、サービス残業をやめるのか、この部分での証明をきちんと肯定側がしてないと、結局のところ、この問題サービス残業の問題というのは、強く残ってしまいます。

 

で、実際にオランダでも、サービス残業が横行したという実例の部分で、私たちが残されていると思いますから、サービス残業が減らない分だけ、やっぱり雇用というのは増えません。

 

で、さらに言うとですね、雇用とそのワークシェアリングと失業というのは、実は同時並行で進んでしまうというですね、フォルクスワーゲンの話も引っ張って欲しいんですけれども、結局のところですね、その別に失業だって一緒にやることができるんですよ、このプランによって。で。そうすると結局どうなるかというと、ワークシェアリングをやったやっていても、別に失業という問題が出てきてしまうわけですから、仮に5%短縮して、、215万人の雇用が生まれたとしても、その裏で結局失業その会社が生きていけなくなってしまうわけですから、そういうところでリストラというのが横行してしまって、結局リストラの失業の問題というのも全然解決されない、と。で、そう考えると、やっぱりその結局その境遇で雇用が生まれるという可能性というのは非常に小さいんじゃないかな、というふうに思います。

 

で、景気、の話に関しても、雇用の不安というのが、全て問題が解決されない限り、景気っていうのは良くならないので、この部分っていうのは、論題を肯定しているという風にはならないと思います。

 

デメリットに移ります。

 

デメリットなんですけれども、この部分で残っている部分は何かっていうとですね、低賃金で、あえぐ人が増えてしまう、っていうところ、この部分は残っているので、引っ張ってください。じゃ、そういう人たちがどういう行動を取るのか、というとですね、低賃金で生きていけなくなるから、結局副業として、アルバイトを職探しをしようとするんですよ。で、結局職探しをしようとするとどうなるかというとですね、彼らはですね、今の現状の失業者の問題を解決しようとしているかもしれないんですけど、結局、正社員も、今の失業者も、少ないパイの中で、結局、その、自分たちが新たな雇用を求めようとして、結局、その過剰な闘争に働いてしまう、と。結局、その仕事がないからって、どんどんどんどん職を探すために、どんどんどんどん競争していってしまう、と。で、そうするとどうなるかっていうとですね、今の失業の問題を解決するだけでも問題なのに、さらに正社員まで、新たな、その、失業その失業っていうかその新たな新規雇用に向けて、努力させなければいけなくなってしまう。しかも、低賃金のままで。で、こういう状況が生まれてしまう以上、やっぱりその新たに問題になってしまうというのは、すごい深刻だと思います。

で、以上のようにですね、このプランを導入したところで、ほとんど、その問題というのは解決されませんし、仮に解決されたとしても、あの、結局、その、失業と同じように、[時間切れ]低賃金に苦しんでしまう人がいるので、より問題です。

 

以上で終わります。


肯定側第二反駁

肯定側第二反駁:玉置繁之 孔明の罠

 

始めます。まず否定側第二反駁であったのは、ほとんどメリットがないから、論題を肯定しない、ということでした。しかし、それはですね、メリットがいくら小さくても、それがデメリットより大きければ、当然肯定側にボートしていただきたいと思います。

 

それで、その上で、じゃあちょっと議論に移りたいと思うんですけど、まずですね、ちょっとマクロに見ますと、ほとんどの企業は導入しないって話がありました。しかしまず1点目として、2ACで言ったように、ゼロであれば確かにリザンプションでNEGでいいんです。だけど、ゼロで無いんであれば、それはメリットもデメリットも出ますから、そこを比較すべきです。そこなんですね。まあ、これ、反駁も無かった、と。

 

で、その上で、ちょっとストーリーを話したいと思うんですけど、まず私が2ACで読んだように、今、企業っていうのはすごくギリギリである。だから、人的資源っていうのをできればカットはしたくない、と。だけど、2点目として、どうなのか。否定側第一立論で証明してくださったように、まあ、コストが固定費とかのコストがかかるから、ワークシェアとかはできない、だから、リストラせざるを得ない。それがプラン後どうなるのか。そういったコストを国が持つことによって、企業はそうしたワークシェアを推進したいというインセンティブを持っている。だから、ワークシェアが推進される。ここはそういう話なんですね。だから、ワークシェアリングを導入する企業というのは確実に存在します。

 

その次、もう一つ重要な論点となっているのは、サービス残業の話がありました。まず、ここに関して、1点目として、そもそもですね、彼らが頼ってる資料というのが、オランダの一例に過ぎないんですね。オランダ全体じゃないです。オランダの、あくまで一例です。一例のところで、サービス残業があった、って言っているだけなんですね。全然オランダ全体を言えてない。

 

で、2点目として、私のパートナーが言ってくれたように、サービス残業というのが、出したのは否定側なんですから、サービス残業っていうのが、そもそも今どれくらい日本であるのか、それの論証責任は否定側にあるわけなんです。もちろん日本の企業の中にも、サービス残業していないような企業だってありますし、そういった企業であれば、こういった規制はちゃんと守ると思います。

 

さらに3点目として、私のパートナーがもう一つ言ったようにですね、そういった、報奨金とか、そういった、コストとか、そういったものをもらえなくなったら、企業だって何の意味もないわけなんですよ。そんなことを、果たしてやるのか、やらないだろう。ここに反駁がなかったので、サービス残業というのを、やるところも確かにゼロとは言えないかも知れません。しかし、逆にこうやってサービス残業をさせる企業ばかりではない、だからメリットも残っている、メリット2も残っている、そこを確認していただきたいと思います。

 

それでは、メリットとデメリットの比較基準なんですけど、まあ、結局ですね、デメリットというのが、賃金の低下ですから、大事なのは何かっていったら、失業するのがいいのか、賃金低下がいいのか、そこなんですね。で、失業というのは、まあ、生活水準、ゼロになってしまいますね、収入が。収入ゼロになってしまいますし、また、自分というのは、働くこともできない、必要とされていない人間なんだ、と、こういった気持ちにもなってしまう、非常に深刻なものです。それに対して、賃金低下というのは、確かに低下はして、苦しくはなるかもしれません。しかし、苦しくなった結果どうなのか、そこなんですよ。私たちは、失業だったら、自殺や犯罪、それぐらい深刻な問題である、そこまで証明しています。それに対して、賃金低下したら、苦しい、って、これは当たり前なんです。だけどそれが具体的にどの程度本当に生活に悪影響を与えたのか。そこが証明されていない以上、この失業というメリットがデメリットを上回るので、この時点で肯定側にボートできると思います。

 

さらに、2点目として、もう一つの判断基準もう一つ、肯定側の勝ち筋を説明したいと思うんですが、まあ、仮にですよ、仮に失業と賃金低下、というのがイコールだったとしましょう。イコールだったとしても、私たち勝っているんです。どこか、メリット2です。

 

メリット2で、先ほどもいいましたように、サービス残業する企業っていうのが、まあ、全部の企業がサービス残業させるわけではなければ、過労の問題は、解決する部分は、少しは必ずあります。そして、その部分に関してどうなのか。そういった人たちっていうのは、過労から救われる。ですから、仮にもう失業、と賃金低下というのがイコールだったとしても、メリット2が残っている以上ですね、ここで肯定側にボートできると思っております。

 

で、最後、もう一つ、あのちょっと二反で伸びていたのとして、ワーゲンの話フォルクスワーゲンの話もありました。しかし、ここに関しても、まあ、16000人雇用が削減されたって言っていたんですけど、じゃあこれ、ワークシェアをしなかったらですね、もっと削減されていたかも知れませんし、それ、ワークシェアによって救えなかった、ってこと、これは何の証明にもなっていないわけなんですよ。ですから、これだけでもって、まあ、雇用が改善しない、と、そういうことは全然取れないと思います。

 

そしてですねさらにもう一つ、私のターン…2ACで出した、ターンアラウンド、これも勝ち筋に残っている、この三つなんですね。このターンアラウンドとして、ま、こうやってワークシェアをすることによって、企業を守ることができる、中小企業は、今ギリギリである、だけど、そういった長期的な投資を無駄にしないため、ワークシェアを推進する、そして、そのために政府がお金を出してあげる、これによって、中小企業も守れる。この時点で、まあ、3つの勝ち筋全てが消えていない限りは、肯定側に投票していただきたいというふうに[時間切れ]考えております。

 

ありがとうございました。[拍手]

 




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