第13回JDA One-Day
ディべート・セミナー

結果報告

 



講義風景

練習試合準備風景



試合風景

 

去る2月4日(日)、代々木の国立オリンピック青少年記念センターで開催されました第13回JDA One-dayディベートセミナーの報告をさせていただきます。
 今回は35名の方が参加されました(うち会社員20名、学生6名、教員3名)。午前中はJDA理事の臼井直人さんによる講義、午後は「すべての鉄道会社は車内における携帯電話の使用を禁止すべきである」という論題で試合を行いました。ジャッジとして瀬能和彦さん、安藤温敏さん、小西卓三さんのご協力を頂きました。
 当日のようすについては以下の臼井さんの報告をご覧ください。講師報告のあとにはアンケート結果(セミナーを受講者の感想)を掲げました。講義や試合の進め方については好評をいただき、またディベートに対する認識を深めていただけたと思われる感想が多く見られました。
 次回は4月29日(日)に開催いたします。皆様の参加をお待ちしております。
 JDA理事(ディベートセミナー担当) 篠 智彰





講師報告
臼井直人(JDA理事、愛国学園大学講師)


  去る2月4日(日)、国立オリンピック青少年記念センターでJDA One-Day Debate Seminarを開催し、私は講師として参加いたしました。今回は学生から社会人まで35名の参加があり、大盛況の内に終了いたしました。

 当日は午前中に講議としてディベートとはなにか、活動の意義、ディベートの試合の流れなどの説明を行い、午後には「すべての鉄道会社は携帯電話の使用を全面的に禁止すべきである」という論題で1試合試合を行いました。試合は臼井に加え、瀬能和彦氏、安藤温敏氏、篠智彰氏、そして小西卓三氏に協力をいただき、5試合平行で行いました。今回は身近な携帯電話をトピックにあげたせいか、議論の内容も当日配られた資料に加えて自分の毎日の生活で電車を利用する時に感じた体験なども上手に織りまぜられ、積極的な議論が展開されました。参加者の中には「自分は何気なく電車の中で携帯電話を使っていたけれど、今回肯定側をやってみて、やはりマナーは大切だなと少し考えるようになった」という意見の方もありました。ディベートはこのように、普段気がつかないが実はもっとよく考えられるべき様々な問題や価値観について批判的に考え直すきっかけを与えてくれるものです。今後も本セミナーではそのような社会的テーマを取り上げていくことを期待したいと思います。

 参加者の多くは社会人として各方面でご活躍の方たちで、本セミナーの受講動機として「会議において効果的に議論をすすめたり、プレゼンテーションを行えるようになるため」という理由を挙げていらっしゃる方が多かったように思います。また逆に議論などが上手な方が、顧客に商売上の説得はでき成果をあげるものの、後の人間関係をこわしてしまうなどのケースがあるといったご意見もありました。近年、書店のビジネス書のコーナーをみると、「ビジネス交渉におけるディベート術」、「どんな状況でも負けない説得術」のようなうたい文句のディベート書もみられ、ディベートをビジネスの各方面に応用したいと考えている方が多いことがわかります。

 本セミナーにおいて私が講師として強調したことのひとつに、「ディベートはビジネス交渉とは基本的に性格を異にするものである」という点です。ビジネス交渉や会議が主に「異なる価値観を持った『相手』を説得する」ものである一方、ディベートとは「原則としてまったくその話し合いに個人的なかかわりを持たない『第3者』を説得する」コミュニケーションです。よってディベートでは相手を様々な手段を用いてねじ伏せるのが目的ではなく、あくまで相手の議論を自分の議論と比較して、その優位性を第3者に説明するのが目的なのです。よってディベートを行う際には、その利害のない第3者がどのような立場の人であるか、どのような価値観を持っている人なのかを理解し、その人にわかるように工夫をしながら議論していうことが要求されます。ディベートをトレーニングと見た場合、そこで身につく技術はまさに「相手の事を理解して、その人に理解されるように説明する技術」だと思います。ですから本当にディベートを理解している人は、いついかなる時いかなる相手にも「論理」をふりかざし、説得するという事はしないでしょう。むしろその目の前の人にわかるような理由付け、表現は何かを考え、自分は今発言すべきなのか否かを判断するように心掛けるはずです。そうすればモノは売れるけれど人間関係を壊す、持論は通したが上司からは冷たい目で見られたといった問題は未然に防げると思います。教育活動としてのディベートを実際のビジネス交渉と混同せず、むしろディベートを通じて培った様々な技術や考え方をビジネスに「応用」する、という気持ちが大切であると思います。

 今回は多数ご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
次回は是非JDA日本語ディベート大会でお会いしましょう。




アンケート結果(今回のセミナーを受講しての感想)



○ディベートを実際に体験できて大変参考になりました。また機会がありましたら参加させていただきます。(会社員)

○ディベートの本を読んでもよくわかりませんでしたが、実体験するとディベートとはどんなものか何となくわかりました。自分ではもっとうまく反駁できると思っていましたが結果はさんざんなものとなりました。反省・・・。(中小企業診断士)

○ディベートを実践できてよかった。一回やったくらいではだめで、もっとやる必要があると思った。(会社員)

○ディベートの全体像が把握できた。たいへん有意義だった。またディベートのフィードバックの詳しいものをもらえ、「着眼点」の確認ができ、考えるポイントが以前より明確になった。(会社員)

○非常に参考になった。出てよかったと思います。(会社員)

○楽しかったです。とても勉強になりました。基礎を再度しっかり勉強できたと思います。(会社員)

○非常におもしろかったです。めったにない機会でよい経験になりました。今日は四人で分担してやりましたが自分でもっと多くの部分をやりたかったです。(学生)

○つかれたー、けど、まったくの初心者の私にもわかりやすいセミナーだったかと思います。実際の試合をしてみて反省ばかり思い返しますが、とっても興味をもちました。ありがとうございました。(会社員)

○ディベートの奥深さがわかりました。とにかく難しかったです。(学生)

○おもしろかった。ディベート入門ということでは身に付いたのでは?ただし難しさと奥深さを感じました。(会社員)

○ディベートとは何たるか(本を読んだだけではわからない)とディベートの面白さを体験できた。ディベートは集中力が必要だと思った。スポーツのあとのような快感があった。(会社員)

○初めてのディベートに参加して、久しぶりに頭脳を働かせる(苦しめる)ことができました。今後もこのような機会があれば参加したい。(個人事務所経営)

○参加して初めてディベートの面白さが実感できた。やはり当事者になって資料集めしたり、読み込んで立論作りをすることでその問題(論題)に対しての理解、認識も深まると思った。(会社員)

○準備資料の大切さを認識した。集中して考えることにより新しい考えが出てくることを体験できた。(会社員)

○準備不足だった。論点の整理が難しかった。(学生)

○大変おもしろかったです。ふだん何となく感じている携帯の問題について、いろいろな立場や考え方、知らなかった事実をたくさん知り、考えることができました。(会社員)

○とても楽しくディベートを学ぶことができました。相手の立場に立った考えがもっと必要と感じ、今日から活かせるようにしたいと思います。(医師)

○今回はじめてディベートを体験しましたが、日頃何気なく考えていたことはとても表面的なことで、深く考えるということが全くなかったような気がします。これからの生活でも人の話をよく聞き、深く考え、適確に話を伝えるよう努力をしたいと思います。大変勉強になりました、ありがとうございました。(大学職員)

○大変勉強になりました。訓練する必要性を実感しました。準備はさておき、頭の回転の速さは幅広い視野を日頃からもつことが支えていくのだと思いました。

○ディベートは相手の話を正確に聞き理解することこそ一番大切であるとわかった。(会社員)

○議論を整理して聞くことの難しさ、又、相手の議論に的確に反論することの難しさを改めて感じました。ディベートに接するのは今日が初めてでしたが、今後もディベートをできる機会を持てればと思いました。(会社員)

○自分がディベートを行なって論理的に考えられず、上手にプレゼンテーションできないことがわかった。(学生)

○実際のディベートはほとんど話しをまとめることができずくやしい思いをしてしまった。(会社員)

○本を読んだりして受講したが、実際話すとしどろもどろでした。メモをうまくとれませんでした。(会社員)

○普段は意識しない「話すこと」にずいぶん気を使ってためになったと思います。(学生)

○ディベートのしくみをわかりやすく説明され理解することができました。特にディベートでは審判団(第三者)に納得させるような議論をしなければならないという点はディベートをする上で大切にしていこうと思いました。実際に試合については考えていたことがうまく言えず、かなりとまどいましたが、充実した時をすごすことができました。ありがとうございました。(会社員)

○ちょっとした比喩、実例をおりまぜたスピーチは、冗長なものであると思い、自粛を心がけておりますが、説得力を増す上で有効なこともあると感じました。またグループ間のコミュニケーションに応じて後から登壇する人のスピーチが予定外の方向に進むなど、論理性だけで進行できるものではない点は日常と共通だとあらためて思いました。(大学教員)

○実際にやってみると思っていたほどうまく話せないなあと思いました。特に全体の話の流れを念頭におきながら各論を展開するのが難しく感じました。(会社員)

○初めてまともにディベートを行なったが、論点を整理して考えて、論理を組み立てていくプロセスは大変おもしろかった。ただ自分としては途中で議論全体の組み立てより個別論(というか細かいこと)に固執してしまった気がする。今後ディベートの機会を作っていきたい。(会社員)

○講義が非常に分かりやすかったです。またスタッフの方が細部まで説明して下さり、疑問点も解決することができました。(学生)

○わかりやすい講義とディベートの実践で非常に楽しめました。(会社員)

○様々な気づきがあり大変参考になりました。眠くなりませんでした。(会社員)

以上

  


一つ前のページに戻る

jda@kt.rim.or.jp
最終更新
URL:http://www.kt.rim.or.jp/~jda