第4回一日日本語ディベートセミナーを終えて

 


[矢野 善郎]

 

 

第四回目のJDAディベート・セミナーが,去る3月21日に開催されました。会場となったのは,先端的な建築へとすっかり様変わりした,東京・代々木のオリンピック・センターでした。

当日は春分の日とはいえ,まだかなり寒くしかも雨でしたが,遠くは大阪・静岡からいらした方も含め,16人の方が参加者されました。(なお参加受付を担当した安井理事によると,定員が20人の部屋だったので,事前の参加申込者の幾人かは断らざるを得なかったそうです。今回も参加者のほとんどは,インターネットで見つけての参加者だったようです。)

セミナーは,前回までと同様,午前中が講義形式,午後は参加者によるディベート準備とディベート対戦という構成で行われました。

なお午前のレクチャーを担当したのは私,矢野だったのですが,今回は私なりの工夫として,一日のセミナーだからといって政策ディベートの基本セオリーなどといった形式や用語を頭ごなしに詰め込むのでなく,まずは,なぜディベートを学ばなくてはいけないのか,論証とはどうあるべきなのかなど,参加者のみなさんが今後の学習を進めていく上でより重要だと考えられることに重点をおいてレクチャーしてみました。

そして午後の試合準備についても,こちらから試合のヒントを出すのは極力やめて,参加者の自主性に任せることにしました。今回は,サマータイム制の導入の是非についてディベートを行ったのですが,基本的な資料を若干配布したのみで,試合の準備には,各チームが独立して行うという形にしました。

サマータイム制の仕組みに頭を悩ましている参加者の方もいらっしゃいましたが,準備のアシストにあたった矢野,安井,瀬能,安藤各理事の手をほとんど借りずとも,参加者のみなさんそれれ,即席のチームとはいえ,活発に,そして楽しそうに知恵をしぼり相談を重ねていらしたのが大変印象的でした。

今回の工夫の成果かどうかは分かりませんが,セミナーのクライマックスである対戦では,ディベートの試合経験が皆無の方ばかりなのにも関わらず,各チームごとに創造性が発揮された大変見応えのある対戦がくり広げられ,指導にあたった私たち四人の理事にとってはうれしい驚きになりました。

相変わらずJDAらしく「手作り風」のセミナーではありましたが,今回は大変雰囲気もよく,参加者の方にはきっと満足していただけたのではと思っています。

今後も色々試行錯誤しつつ,こうしたセミナーからディベートの輪を広げていきたいものです。

(やの よしろう 東京大学文学部社会学科助手 JDA理事)

 


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