去る10月24日(日曜日)に東京の代々木にある国立オリンピックセンターで、第6回JDAOneDayディベートセミナーが開催され、私は講師として安井省待郎理事と共に参加いたしました。今回約1年ぶりに講師をつとめましたが、今回は参加者も東京近郊のみでなく関西や九州からも参加者があり、また参加動機もディベートに対する個人的な興味だけでなく、勤め先にディベートを根付かせるため、高校でディベートサークルを立ち上げるため、また「社命」で参加したなど、大変明確な目的意識を持って参加いただいた方が多かったようです。このディベートセミナーが地理的年齢的に幅広く普及してきたことを改めて実感したとともに、講師としての大きな責任を感じながら緊張感を持って講議をさせていただきました。
当日は午前中にディベート活動に関する理解を深めるための講議、アカデミック・ディベートのやりかたの説明、議論の構成の仕方、反論の仕方などの実習を行いました。その際今回の参加者には社会人の方が数多く見られましたので、ディベート活動を通じて得られた技術や批判的な態度をどのように実社会に応用していくかという話も交え、参考にしていただくように心掛けました。講義の中では、実際、会社内などでは議論をする方がかえって波風が立ってしまい意志決定がしにくくなる場合があるが、このような環境の中でディベートをどのように根付かせていけばいいのか等、実社会の体験に根ざした質問なども数多く見られました。
午後はチームにわかれ準備した後、「日本はサマータイム制を導入すべきである」という論題で1試合行い、臼井、安井理事、に加え古宅文衛氏、筧和彦氏に依頼し、審査及び講評を行いました。初めてディベートを体験された方が多く、各グループの間に理解の差があったようですが、おおむね良いディベートが行われていたようです。特に私が審査した試合は、質疑の時間で思わずうなずいてしまうような質問に対ししっかり自分たちの立場を守って応答していたり、立論ー反駁と試合が進んでいくにつれて大学生のトーナメントディベートにも匹敵するような議論の攻防が見られたり、大変質の高いものでした。
以前セミナーをやった時にも、特に社会人の参加者のレベルの高い議論のやり取りを見て、「議論というのは全く特別なものではなく、我々の実生活でも十分行われているものである。ディベート活動はその実生活でつちかわれた議論の技術を意識してよりよく使うためのトレーニングなんだ」という感想を持ちましたが、それを改めて再認識できた気が致します。「私は今一つ議論下手で」とおっしゃる方でも、実際にやってみるととても上手にディベートをしていることが多いです。もしも同様にお感じでディベートに対して二の足をふんでいる方がいらっしゃいましたら、是非このOneDay Debate Seminarの門を叩いてみてほしいと思います。
今回の反省点としては、まずトピックの「サマータイム制」は、あまり一般の方々にはなじみのないトピックだったので、一日でディベートをやるトピックとしては難しいトピックとなってしまったかもしれません。参加者に社会人が多くなってきた事実を考えて、もう少しそれらの層の方々になじみのある(かつ学生にも扱いやすい)トピックの選択が必要となると思います。また一度OneDay DebateSeminarを受講したことがある方たちのための中級/上級セミナーなども開催するなどのアイデアも、これから検討されていっても面白いかと思います。これからもさらに多くの幅広い層の参加者が増えていくことを願っております。
(うすいなおと 愛国学園大学講師 JDA理事)
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