一般の人に対するディベートの紹介の仕方に関する議論


Date: Thu, 22 Aug 96 22:00:28 JST
Subject: [JDA :1521] question
 
FROM: Y.T
 
みなさん、はじめまして。Y.T 社会人2年生
と申すものです。
 
ひとつ、質問があります。
 
今日、会社の友人とこんな会話をしました。
 
友人:「おまえ、学生のとき、あのー何だか口げんかみたいなやつやってたんだろ」
私:しばし、絶句、、「口げんかじゃないよーーー」
友人:「じゃーいったい何なんだよ。」
私:「論理的で、知的なゲームなんだよ」
友人:「そうかあ?そうは思わないけどなあ、」
私:説得する気力も起きずに、会話が中断する。
 
みなさんだったら、こんな風に、ディベートに対して「くちげんか」と最初から決めつ
けて
かかっているような人に、どうやって、
「ディベートとは」を説明しますか。
 
私はあとで、この会話を思い出し、
「こんな人に説明するのも疲れるから、やめよー」
なんて思ったことは、人を説得することを学んできた(つもりの)ディベーターとして
、失格かなーなんて思ったりしました。
 
でも、「くちげんか」と決めつけられ、「おまえ、変な奴だな」
と暗に言われてるような気もするし、このまま、その友人がディベートを理解しないで
終わってしまうのも、淋しい気がするんですが、
 
いったい、ディベートをまったく知らない人に、数分で
「ディベートとは」を説明するのって、どうしたらいいんでしょうね。
(不可能なことなのかも知れないけど)
 
みなさんのご意見をお待ちしています。
 
Date: Thu, 22 Aug 96 22:44:01 JST
Subject: [JDA :1523] Re: question
 
I.Kです。
Y.Tさんおひさしぶりです。元気ですか?
(元気のないY.Tさんは想像つかないっすけど)
 
Y.Tさんの質問[JDA :1521]に関して。
 
>今日、会社の友人とこんな会話をしました。
>
>友人:「おまえ、学生のとき、あのー何だか口げんかみたいなやつやってたんだろ」
>私:しばし、絶句、、「口げんかじゃないよーーー」
>友人:「じゃーいったい何なんだよ。」
>私:「論理的で、知的なゲームなんだよ」
>友人:「そうかあ?そうは思わないけどなあ、」
>私:説得する気力も起きずに、会話が中断する。
>
>みなさんだったら、こんな風に、ディベートに対して「くちげんか」と最初から決めつ
>けて
>かかっているような人に、どうやって、
>「ディベートとは」を説明しますか。
 
難しい質問ですね。わたしもよくそんな質問をされますし、わたしもよく 説明をあ
きらめてしまいます。
debateに関して興味をもってくれる人 例えば就職の面接官?とかなら、時間をかけ
てしっかり説明す
ればいいんですが、そうでない人には 端的に、短い時間で説明しなければいけない
のが難しい所です
よね。
 
とりあえず 私がいつもいうのは、”第三者を説得するゲームですよ”という説明で
す。”くちげんか”というのは 2者の対立が強調されたイメージだと思います。とりあえず
 そのイメージを払拭するために第三者=judgeという存在をアピールします。もし
 この言葉で興味を示してくれるようなら、その後 
詳しく、論理的でspeech能力がつくとか、くちげんかとちがって相手の発言を理解し、ある程度認
めていくことが重要なんだ、とか客観的な決定能力がつくんだ とか 思い付くままいいます。
 
論理的とか知的という言葉を前面に出すと照れてしまうので、あんまり使わないようにしています。
 
最初っから あんまり聞くきのないような人には、”そーっすよ”と くちげんか をgrantしてしまう
こともあります。人を説得することを学んだのに、うまく説明できないのはしゃくですが、同時に "
何を話すべきか”"何が重要な話か”といった もっとマクロなコミニュケーションも学んでいると思
うので、話相手が数分以上 この話題を望んでいない場合は、適当に認めてしまって
 次の話にいくの
もいいんじゃないでしょうか。(これではY.Tさんは寝れませんか?)
 
 
他の皆さんは一言でどのように説明されているのでしょうか? 特に社会人のかたの
経験など知りたい
です。(来年の就職活動のためにも)
 
I.K
 
Date: Fri, 23 Aug 96 13:39:48 JST
Subject: [JDA :1528] Re: question 
 
M.S@もうちょっと昼休み,です
 
>> FROM: Y.T
>> 
>> みなさん、はじめまして。Y.T
>> と申すものです。
	<中略>
>> みなさんだったら、こんな風に、ディベートに対して「くちげんか」と最初から決めつ
>> けて
>> かかっているような人に、どうやって、
>> 「ディベートとは」を説明しますか。
 
僕なら目的の違いで説明します.
口げんかの目的:
単に相手を罵倒し,精神的にダメージを与え,相手を傷付けたり
自分の不満を払拭したりすること. 
ディベートの目的:
相手の意見, 現状などを踏まえた上で,現状をよりよいものに
変えるための方法を考え,相手との議論を通して,判断すること.
 
それから,「熱く, 口から泡を飛ばしながら喋っているから
といってけんかをしていると決めつけるのは短絡的だ」と, 
つけます.普通の生活をしている人はあつく議論を戦わせること
があまりないから, けんかに見えちゃうんでしょうね.
#熱く喋っていたのはお前だけだ, って突っ込みは却下 (^^;;
 
>> いったい、ディベートをまったく知らない人に、数分で
>> 「ディベートとは」を説明するのって、どうしたらいいんでしょうね。
>> (不可能なことなのかも知れないけど)
 
いつぞやのメールにも書きましたが,だれでも日常,ディベート的
思考を無意識のうちにしている,ということを, 相手の人が分かり
やすい例題を使いながら示すようにして説明しています.食べ歩きが
好きな人なら2つのラーメンやさんのどちらに入るかを決める
プロセス,ファッションに興味のある人には限られた予算で2つの
洋服のどちらを買うか迷っているときの判断プロセス, などを
例題にして説明してます.
 
「オウムのあれね」には, 断固として反論してます.
 
ではでは.
 
Date: Sat, 24 Aug 96 21:47:36 JST
Subject: [JDA :1532] Re: question
 
At 22:00 96/08/22 JST, you wrote:
> FROM: Y.T
> 
> 
> ひとつ、質問があります。
 
Y.Tさんお久しゅうございます。大阪外大のM.Sです。私も似たよう経験あります。 
> 
>
 みなさんだったら、こんな風に、ディベートに対して「くちげんか」と最初から決めつ
> けて
> かかっているような人に、どうやって、
> 「ディベートとは」を説明しますか。
 
 こういう場合、私は第三者を説得するものだと説明しています。また、就職活動時
には、「自分の言いたいことをいかに聞き手の頭の中にイメージとしてつたえること
によって理解してもらえるかを学びました。」といったりしました。これは、面接官
には受けがよかったんですが。
 
 私の場合、ディベートを会社の人間に説明するとき、昨年の後期のプロポでの北朝鮮
への経済援助のケースなどをつかって説明を試みたのですが、会社の人間には「共産主義
の概念など思想的な話しもするのか。」と聞かれ、そういうことはないと言うと「それは
おかしい。そういった思想的背景にまでつっこまないと議論がふかまらない。」
といわれました。私は自分の勉強不足のために答えに窮してしまいました。どうすりゃ
いいんでしょうかね。
 
 もう一つ、これは私からみなさんへの質問ですが、ディベートは「学問」の対象になる
のでしょうか。これも会社の人間にいわれたことなのですが。「例えば、野口悠紀雄も
言っているが、語学は学問ではない外国語を通してその国の文化
などを学ぶなど、真理を追求することが学問なんじゃないの。ディベートではただ論理的
コミュニケーションの技術は勉強できるかもしれないけど、それは道具にすぎないんじゃ
ないの。」と。そうではないと言いたかったのですが、うまく説明できませんでした。
みなさんの御教授をいただきたく思います。
 酔っぱらいのM.Sでした。
 
Date: Thu, 29 Aug 96 19:39:59 JST
Subject: [JDA :1562] Debate: what is it
 
Y.Tです。このところメールの数が多いですね。
 
Y.T
>いったい、ディベートをまったく知らない人に、数分で
>「ディベートとは」を説明するのって、どうしたらいいんでしょうね。
 
たとえば . . . 
 
上司「ディベートやってたんだって?」
Y.T「ええ、大学のときに」
上司「じゃあ、昔から議論好きだな」
Y.T「まあ、嫌いではないですが、議論のための議論はしませんね」
上司「でもディベートっていえば言い負かし合いだろ?」
Y.T「いや、それは違うんです。競技形式で試合をやるので、勝ち負けを争うのは確
   かですけど」
上司「だから口のうまい奴が勝つんだろう。ああ言えば上祐って . . . 」
Y.T「口のうまさも大事ですけど、もっと大事なのは調査と分析なんです」
上司「調査と分析?」
Y.T「ええ。政策についての是非を論じるので、何週間も何か月も調査と分析を繰り
   返すんです。情報戦ですね」
上司「そうなの? それは知らなかった」
Y.T「あらかじめ論題が決められていて、政府規制とか軍事政策とか税制とか、決ま
   ったテーマについて図書館で文献を漁って、専門文献の資料館や行政官庁に行
   ったり、電話したり、官僚や研究者や弁護士にインタビューしたり(注:1985
   年位まではインタビューの回答がエビデンスとして通用していた)。今はいい
   ですよね、インターネットやパソコン通信なんかがあって。当時は図書館の電
   子検索ひとつなかったですからねえ。新聞の切り抜きとか、原始的で地味な作
   業ばかりですよ」
上司「へえ。喋る練習するばかりかと思ったよ」
Y.T「喋る練習ももちろんしますけど、調べるのと考えるのが8割、いや9割かな。
   調べるのが第一段階で、次に調査結果をどう議論として組み立てるか、考える。
   アイデアを練る。自分の議論の反論を考える。さらにその反論を考える。で、
   また仮説を構築して調査・分析をする」
上司「永久に終わらないじゃないか」
Y.T「校内予選、全国大会などの日取りは決まってるから、いかに効率的に効果的に
   準備するかというのが勝負ですね。試合前に勝敗は8割がた決まってますよ。
   もっとも残りの2割が面白いんだけど」
上司「国家政策を議論するなら、政治哲学とか経済理論とか思想的なことも視野に入
   ってくるよね」
Y.T「もちろんですよ。思想的な論争で勝敗が決することもあります。ただ、試合は
   弁論の時間制限が厳密に守られてるから理論に深入りするひまはないですね。
   それに、ジャッジはいろんな人がいるので、あまり専門的な議論にはならない
   ことが多いですね」
上司「それじゃあ、あまり本質に迫れないんじゃないかな?」
Y.T「それは一概には言えないですよ。一般常識を前提にして議論を始めるので、専
   門家どうしが陥りがちな不毛な論争にならないという利点もありますしね」
上司「なるほど。ところで、君の歳だったら、上祐さんも知り合い?」
Y.T「ええ . . .  一風変わったユーモアのセンスの持ち主で」
上司「大学卒業後もつきあいはあったの?」
Y.T「いいえ、最後に話をしたのは昭和61年の12月でした。もう10年になりま
   すね。今頃どうしてるんだろう」
 
 
・・・数分では「合理的な意思決定に関する諸規範」の話までは無理かな。
 
>(不可能なことなのかも知れないけど)
 
相手にもよりますね。私の場合、聞く耳を持たない相手には話をしません。
それから、一般の人は抽象的な話についてこないから、上記のような具体的な話に
することが多いです。
 
Y.T
 
Date: Thu, 29 Aug 96 20:13:40 JST
Subject: [JDA :1564] RE: Debate: what is it
 
[JDA:1562]より、
 
>Y.T「あらかじめ論題が決められていて、政府規制とか軍事政策とか税制とか、決ま
>   ったテーマについて図書館で文献を漁って、専門文献の資料館や行政官庁に行
>   ったり、電話したり、官僚や研究者や弁護士にインタビューしたり(注:1985
>   年位まではインタビューの回答がエビデンスとして通用していた)。今はいい
>   ですよね、インターネットやパソコン通信なんかがあって。当時は図書館の電
>   子検索ひとつなかったですからねえ。新聞の切り抜きとか、原始的で地味な作
>   業ばかりですよ」
>上司「へえ。喋る練習するばかりかと思ったよ」
>Y.T「喋る練習ももちろんしますけど、調べるのと考えるのが8割、いや9割かな。
>   調べるのが第一段階で、次に調査結果をどう議論として組み立てるか、考える
>。
>   アイデアを練る。自分の議論の反論を考える。さらにその反論を考える。で、
   また仮説を構築して調査・分析をする」
 
 
ひとにディベートの話をしているとき、「シーズン中には毎週末に大会がある」とか、
「図書館にこもってテーマに関連する文献を調べるんだ」とか言うと必ず相手はびっくりしています。
どうやらESSの活動というのは、仲良しサークルが英語でぺちゃくちゃおしゃべりしているという認識
をされているようですね。
 
ディベートと言い争いの違いを説明するには、
「ディベートではちゃんとデータや文献を論拠として議論をするんだよ」
という点をアピールする必要があるのではないでしょうか。
 
そういえば一度、「ESSってEating and Sleeping Societyの略だろ」と
言われたこともあります。
 
Date: Thu, 29 Aug 96 20:28:05 JST
Subject: [JDA :1565] Re: RE: Debate: what is it
 
>ディベートと言い争いの違いを説明するには、
>「ディベートではちゃんとデータや文献を論拠として議論をするんだよ」
>という点をアピールする必要があるのではないでしょうか。
 
それが、私の会話例における重要なポイントです(おわかりいただけて幸いです)。
そこから先の、ディベートならではのお話(たとえば、公平で客観的な試合判定は
どうやって下すのか、など)に入るには、必要不可欠な通過ポイントです。
 
# やはり数分では難しい話は無理か。
# 知ってる人には難しくないのだが。
 
Y.T
 
Date: Fri, 30 Aug 96 17:50:42 JST
Subject: [JDA :1569] Re: RE: Debate: what is
S.Yです。
 
>
>H.Y wrote on Thu, 29 Aug 96 20:13:40 JST:
>>ディベートと言い争いの違いを説明するには、
>>「ディベートではちゃんとデータや文献を論拠として議論をするんだよ」
>>という点をアピールする必要があるのではないでしょうか。
>
>それが、私の会話例における重要なポイントです(おわかりいただけて幸いです)。
>そこから先の、ディベートならではのお話(たとえば、公平で客観的な試合判定は
>どうやって下すのか、など)に入るには、必要不可欠な通過ポイントです。
 
 
私も、これがディベートを通じて学んで欲しい第一の力点だと思います。
(これを学んで欲しいが故に、アカデミック・ディベートは証拠資料を使うのだと
思います。)
 
 
とりあえず、一般の人に理解してもらいたいところは、根拠がない、あるいは
希薄な部分をうまくごまかして、あるいはスプレッドして反論させないようにする
、感情的に相手を煽動する、見た目の印象で勝負する、など、の変な意味のコミュ
ニケーション能力(口のうまさ?)などはディベートでは重視されていないという
ところです。
 むしろ、そのような輩を根拠を持って論破する能力、あるいはそのような変な意味の
プレゼンテーションに左右されずに、十分に根拠を持った判断をできる能力を身に
つけることこそがディベートの目的である、ということでしょう。
 
(前の比喩はこういうことを言わんとしていた)
 
 
S.Y

 

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