第2回JDAOne Day Debate Seminar感想 臼井直人 

ここ数年来、私は日本ディベート協会の理事としてディベート大会や各種ディベートセミナーなどを通じて、ディベートに興味をもたれる多くの社会人の方達に接する機会がありますが、その時に必ず出る質問が「ディベートを勉強したいが、どこで勉強したらいいでしょうか」というものであります。学生時代ESSで英会話サークルでディベートをやっていた人でも、卒業してしまうとディベートをする機会はめっきりと減ってしまうようです。

最近では社会人のディベートサークルの日本社会人ディベート連盟(JBDF)、未来塾におけるディベート講座、また国際協力事業団(JICA)ディベートチームなど、社会人が参加できるディベートの機会も広がってきたものの、まだまだその数は少ないものです。

そういった中で今回日本ディベート協会でOne Day DebateSeminarが第2回目を迎えられたことは、大変重要なことであると思います。私は今回、同じく日本ディベート協会理事である瀬能和彦氏とともに講師として参加することができましたが、参加者の皆さんのディベートに対する大きな熱意に大変感動いたしました。

当日は朝早くから半蔵門のバベルビルに32名もの参加者が集まりました。午前中は「ディベートとはなにか」、「ディベートの試合の行い方」、また論題であった「日本は積極的安楽死を法的に認めるべきである」のトピックについてなどのレクチャーを行いました。午後は参加者に3人から4人のチームに分かれていただき、日本ディベート協会理事の安井省侍郎氏、東京大学大学院生の平田祥人氏、そしてウエインステ−ト大学大学院生の小西卓三氏に審査員としてご協力いただき、グループごとに試合の準備と肯定側か否定側の片方に立ち、1試合練習試合を行いました。

参加者の中にはそれまで全くディベートをしたことがない方も多数いらっしゃいましたが、とにかく皆さん飲み込みが非常に早く、ほんの1日レクチャーをしただけなのですが、それがディベートのパフォーマンスのなかにしっかりと反映され、また議論の進め方も経験者に劣らないくらいしっかりとしたものが見られました。またレクチャーの最中なども「ディベートとは何か」「ディベートにおけるコミュニケーション責任について」など、ディベートの根幹に関わるような質問も多数あり、おもわず予定の時間をオーバーしてしまうなどということもありました。

最後には「自分でディベートサークルを作りたいので、参加者を募集します」とおっしゃるような参加者の方もおられ、大変な熱気と共に一日を終えることができました。本当に参加者の皆様には感謝したく存じます。

ディベートにおいて必要な論理的思考や、テーマについて批判的に考えるということは決して特別なことではありません。ましてやよく世間で言われるように「日本人には難しい」ようなものでも決してありません。これらのことは日常生活の中で新聞を読んだり社会で生活しているうちに我々が自然に行っていることなのです。教育としてのディベート活動は、そのような思考力などを改めて訓練することによって、意識的に使うことができるようにすることがその目的のひとつです。そのことを考えれば、社会でご活躍されている今回の参加者のような方々が、すぐにディベートに慣れることができるということは、むしろ自然なことなのかもしれません。

日本ディベート協会ではすでに第3回のOne Day DebateSeminarの開催に向けて準備を進めています。まだ「興味はあるけれど、自分にはディベートは無理なんじゃないか」と躊躇なさっている方がいらっしゃいましたら、是非試しに一度受講されてみてはいかがでしょうか。きっとディベートの楽しさがおわかりいただけると思いますし、今まで自分の中に眠っていたディベートの隠された能力が頭角を現わしてくるかもしれません。最後になりましたが、今回のセミナーに関しまして株式会社バベル様には、多大なるご厚意とご協力をいただいました。この場を借りて、御礼申し上げます。

(うすい なおと, JDA理事, 愛国学園大学講師)

 

  

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