日本ディベート協会通信
Volume XV. Number 2. 2001

新年(世紀)への挨拶

先日「20世紀の私から,21世紀のあなたへ。」というポストカプセル郵便を受け取りました。当時,科学万博が開かれた筑波大学の修士課程に在籍していた私が,1985年4月30日に書いた文面の一部に,「今ESSのディベートはアメリカのNDTを真似てこの先どうなっていくのかと心配ですが,発展しているかすたれているか。日本語のディベートは定着しているや否や。」と,書いていました。さて,2001年2月5日に私は何と答えられるでしょうか。

 ESSのディベートについての今の時点での評価は難しいところです。すたれてはいない。多様化の道を歩んでいるというところでしょうか。「発展」とも言いがたいところですが,依然として日本におけるディベート普及の一翼を担っていることは間違いないでしょう。個人的にはディベートを初めて学んだ場であり今も英語教育の中でディベートを利用している者としては,もっと応援したいところです。

 日本語のディベートは発展・普及しました。「定着」したというのは,過去の盛衰を考えると早急な判断でしょう。ただ,定着にむけて着実に基礎ができています。J.D.A.の大会も回を重ね,年1回が2回となり,セミナーもまた盛況です。中学・高校を中心としては教室ディベートの組織化が進んでいるようです。企業研修への導入も盛んなようです。ぜひ定着してほしいものです。

 85年当時は,まだJ.D.A.は発足しておらず,もちろん20世紀の最後に私が「日本ディベート協会」なる団体の会長をしていようとは夢にも思っていませんでした。7年間会長をしてあまり率先して仕事をしたとは言えませんが,理事を始め会員の皆さん他関係者の尽力のおかげで,私の会長在任中にもJ.D.A.の事業は発展しました。設立当初からの推薦命題選定・日米交歓ディベート・ニューズレターは継続でき,新たに,日本語ディベート大会・インターネットの利用(メーリングリスト・ホームページ開設)・セミナー開催などなど新規の事業が拡大しました。さらに,近々規約を全面改訂して実情に即した機動的なものとし,地方支部設立への規定なども盛り込むことによって,今後の発展に寄与できればと思います。

 21世紀を迎え,私は会長を辞し,新たな指導体制のもとJ.D.A.は発展すると確信しています。最後にもう一度,会長を支えていただいた皆様に感謝するとともに,引き続き新体制のJ.D.A.を支えてくださるようお願いします。

J.D.A.会長 井上 奈良彦

目次
編集後記

編集担当の都合によりニュースレター発行が大幅に滞り,誠に申し訳ございませんでした。新世紀におきましても日本ディベート協会への変わらぬ御支援をよろしくお願いします。[編集担当]

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