JDA推薦論題(日本語)一覧


JDAは、大学生のESSが行っている英語ディベート用の英語論題と共に、広く一般の日本語ディベートで使用できる日本語の推薦論題を年2回発表しています。

論題策定プロセスの詳細については、こちらをご覧下さい。

推薦論題策定のページ

 

以下は、JDAが発表してきた過去の論題(1994年以降)の一覧です。利用はフリーですのでAディベート大会等でご使用下さい。その際、メールでご一報下さい。

英語の推薦論題( proposition)は、1950年から作成されています。そちらの一覧はこちらをどうぞ。

英語論題の一覧のページ

2000年後期推薦論題

日本政府は,全ての遺伝子組換え食品の輸入・製造・販売を禁止すべきである。

  

[論題の背景 ]

目覚しい発展を遂げた遺伝子工学を、医療や工業の分野だけではなく農業や畜産業の分野にまで応用したものが遺伝子組替え食品です。例えば、害虫がより付かない毒素を出す遺伝子をどうもろこしに組み込むことによって、大量の農薬を使用すること無く害虫の被害を防ぐような作物を作ることができます。

この遺伝子組替え食品の是非を巡って、世界規模で論争が起きています。この命題案は、日本が取るべき対応を議論するものです。

肯定側は、将来起こりうる遺伝子組替え食品の被害を中心にして議論を組み立てることが可能となるでしょう。否定側は、遺伝子組替え食品を輸出している他国との関係悪化、食糧調達が困難になることの影響を中心にした議論を出すことになるでしょう。

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2000年前期推薦論題

日本政府は、エネルギー供給のための原子力施設をすべて廃止すべきである。

  

[論題の背景 ]

 

日本における原子力の「安全神話」は、昨年末の東海村における臨界事故で完全に過去のものとなった感があります。しかし資源小国である我が国においては、他のエネルギー源が現実的ではない以上、安定供給のために原子力開発を進めていくべきだという意見もあります。

 このプロポ案は,エネルギー供給のために原子力を用いることの是非を問うものです。予想される肯定側の論点は,事故の危険性の低減、核ジャックなどの危険性の排除でしょう。否定側の論点としては,原子力の代替策が不在であることを指摘して、安定したエネルギー供給が脅かされることを指摘できるでしょう。また代替エネルギーが持つ固有の問題を論じることも可能でしょう。

 
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1999年後期推薦論題

 

日本は,首相公選制度又は国民投票制度の導入により,国民の国政への直接的な参加を可能にすべきである。

 

[論題の背景 ]

 

現代の日本政府は,代議制に基づく間接的民主主義によって運営されています。しかし原発の是非,沖縄の基地問題など,国民的な関心の集中する事例では,間接的な参加方法だけではなく,国民の意見を政策に直接反映させる制度を導入したほうがよい,という議論がでてきました。

このプロポ案は,重要な議題に関して国民投票を行う制度の導入(レファレンダム制)と,日本の首相を国民の投票によって選ぶ首相公選制の二つを具体的な政策オプションとして用意し,直接民主制度と間接民主制度のどちらが望ましいかという,政治思想史でも重要な問題を取り上げます。

予想される肯定側の論点は,より良い政策決定,国民の政治意識の向上などが柱となるでしょう。首相公選制に関しては,政治的リーダーシップの発揮,任期を区切ることによる政権の安定化なども主張できるでしょう。否定側の論点としては,一貫性のない意思決定,代議制の崩壊などがあげられます。首相公選制は単なる人気投票に終わる,という議論も可能でしょう。 また,直接投票による国民的熱狂は,ファシズムの契機となるなど負の側面を持つという議論もできるでしょう。

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1999年前期推薦論題

日本政府は、北朝鮮に対し、より友好的な外交政策をとるべきである。

 

[論題の背景 ]

亡命者の続出、食糧危機、内部の権力闘争、そして出口の見えない経済不振など、北朝鮮をめぐるニュースは暗いものばかりであり、崩壊の危機に面した北朝鮮が自暴自棄になって隣国を攻撃するかもしれない、という懸念は常に日本に付きまとっています。そんなおり、テポドンの威嚇発射は日本に衝撃を与えました。この事件を期に、TMDや偵察衛星を開発・装備して有事にそなえるべし、という論調も力を持ってきました。

 

しかし、やみくもに危機意識を煽り立てて対抗的な軍事力増大を行うことは、逆に相手への挑発となる危険もあります。また、東アジア情勢に不安定要因を持ち込むことにもなりかねません。

 

本命題は、このような状況において、北朝鮮に対して融和的な外交政策をとることの是非を問うものです。政策としては、援助や技術提携の申込、国交関係の樹立などがあげられるでしょう。想定される利益としては、北朝鮮との戦争のリスク低減、アジア地域の安定への貢献、また直接支援による北朝鮮の民衆の救済などが上げられるでしょう。想定される弊害としては、援助した物資が軍事増強に使われてしまうこと、またアメリカや韓国との関係悪化などがはいるでしょう。さらに、本当に北朝鮮側が友好的な外交に応じるのか、という解決性を論点として出すこともできるでしょう。


1998年後期推薦論題

日本政府は、個人に課される直接税の累進性を大幅に緩和すべきである。

 

[論題の背景 ]

日本に限らず、世界中ほとんどの国で、所得税、住民税、相続税などの個人所得に課 される直接税の税率には累進性があります。これは、税金を用い、所得の再分配を行 うことを目的とした制度であるといえます。

  しかしながら、この制度下では、所得が増えても手取りの所得がなかなか増えない、 高額所得者になると所得のほとんどを国庫に納めなければならない、などにより、勤労意欲を損なうことが指摘されています。

  このため、アメリカでは所得税の累進の段階を減らし、最高税率を引き下げる改正が 行われた結果、高い所得をめざした起業家が多数現れ、情報・通信分野を中心とした今日のアメリカの好景気を支えているともいわれています。

  さらに、低額所得者であっても、高額所得者であっても、受ける公共サービスに差はないため、低額所得者が優遇されているという議論があり、税制面の不備が指摘されているところです。

  この論題は、このような問題をはらむ個人に課される直接税の累進性のありかたを 議論することを目的としています。

  肯定側としては、累進性の緩和により、勤労意欲の増大、起業家の増加、 他の先進諸国への人材の流出が止まることなどにより、新産業の送出、雇用・消費の 増大をもたらし、日本の景気を大きく刺激する、といった景気への刺激がメリッ トとしてあげられるでしょう。さらに、同じ公共サービスを受けているにも関わらず、 収入が異なるというだけで国庫に納める税額が大きく異なるという公平性の問題も議 論できるでしょう。

  否定側としては、累進性を弱めることは、高額所得者を優遇し、低額所得者の負担を増額することになるため、弱者保護という政府の基本的立場から認められない、といった政府の ありかたにかかわる議論や、税収の減少による財政の悪化による経済的影響、将来世 代への借金の付け回しの非合理性等が議論できるでしょう。

 


1998年前期推薦論題

 

日本政府は、刑事裁判において証拠として認められる範囲を拡大すべきである

 

[論題の背景 ]

  オウム教団や神戸小学生殺人事件の例を挙げるまでもなく,広域化・凶悪化した 犯罪がマスコミをにぎわせることがこの数年の間多くありました。また,青少年 への浸透が問題になっている麻薬・覚醒剤の使用,暴力団などの組織犯罪,銃犯 罪の増加などが,人々の治安を脅かすものとして深刻に受け止められています。

  この命題は,昨今の犯罪状況に対して警察・公安の捜査手段を拡充することの是 非を議論することを目的とするものです。

  典型的な肯定側のプランとしては,おとり捜査や盗聴など,日本の現行の刑事訴 訟の手続きでは違法と見なされる可能性のある捜査手段により警察が収集した証 拠を,新たに法廷で採用できるようにするものがあげられるでしょう。

  肯定側は,こうしたプランによる犯罪の摘発・防止を利点として論じることにな るでしょう。各種の犯罪に対してどのような捜査が有効であるか,外国の事例な どを参照して調べていけば,より優れた議論になると思われます。逆に否定側と しては,人権(プライバシー等)の侵害,行き過ぎた捜査による冤罪の危険性など を論じることになるでしょう。  

 

[ディベート速記録]

この論題を使用して行われた、JDA日本語ディベート大会の決勝戦の速記録を御覧になりたい方はこちらにどうぞ。

  

[モデルディベート] 

この論題についてのモデルディベートが各種団体より発表されています。モデルディベートを御覧になりたい方はこちらにどうぞ。

 


1997年度後期推薦論題

 

日本政府は、製造業一般におけるリサイクルされた資材の使用を増加させる政策を行うべきである

 

[論題の背景]

 リサイクルの促進により,資源の保護を図ることが重要である,ということは世 界 的にほぼ共通認識になっているにも関わらず,ドイツなどいくつか注目に値する 国は あるにしても,徹底したリサイクルを実現するために強力な政策を推進すること は世 界的趨勢にはなっていません。

  日本国内においても,自治体や企業による取り組みは見られるものの,国の政策 と してはカンやビンの再利用に関する促進政策が見られる以外には,見るべきもの はあ りません。この命題は,このような状況下,製造業の資材調達において,リサイ クル された資材の使用量の増加を目的とした,包括的な政策を国が遂行することの是 非を 問うものです。

  肯定側としては,第一に,資材リサイクルによる資源保護・資源枯渇の防止,地 球環境の保護などを議論することになります。より具体的に,個々の産業廃棄物 から発生する公害,廃棄物処理場による環境汚染を防ぐことなどを論じることも できるでしょう。

  否定側としては,製造原価の上昇から来る日本企業の国際競争力の低下,製品価 格の上昇からくる日本経済への悪影響,省資源化による原材料の輸出国が受ける 経済的なダメージ,あるいは,製造業の海外流出にともなう公害輸出や産業の空 洞化,または政策の不備により,かえって国内の不法投棄などが増加する可能性 などを議論することができるでしょう。

[モデルディベート] 

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1997年度前期推薦論題

 

日本国は死刑を廃止すべきである

 

[論題の背景]

  ご存じの様に,日本の刑事制度では,最高刑として死刑が規定されています。し かし,世界の流れとしては,死刑は廃止される方向にあります。日本でも死刑廃 止を訴える論調がある反面,死刑の有効性を主張する考えもあります。そこで, 日本での死刑廃止の是非を問うのがこの命題です。

  肯定側は,冤罪のおそれ(発覚しても,既に取り返しがつかないことが死刑につ いて特に言える),死刑の残虐性(犯罪者にも人権は保障されるべきであるとい う主張とからめて),社会復帰して罪の償いをすべき,などと主張できるでしょ う。その前提として,死刑に特に強い犯罪抑止力はない(逆に凶悪犯はどうせ死 刑だと思って犯罪を重ねる可能性もある)という主張があるでしょう。

  否定側からは,犯罪の増加(死刑に強い犯罪抑止力があるという前提で), 被害者の遺族の感情,そこからくる個人的な復讐などが議論されるでしょう。

 

[ディベート速記録]

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[モデルディベート] 

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1996年度後期推薦論題

 

日本国・アメリカ合衆国は日米安全保障条約を終了させるべきである

 

[論題の背景]

 昨年沖縄で起きた米兵による暴行事件と,今年の日米首脳会談での取り決め以来, 日本における米軍基地・地位協定の問題,そしてその根本にある日米安全保障条約(正 式名,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)の今日的意味に ついて,日米双方で活発な議論が行われるようになりました。

  この論題は,こうした議論を背景に,冷戦終了後の世界における日米安保の存在の是 非を真正面に捉えてディベートを行おうとするものです。   日本国内の基地周辺問題(騒音・刑事事件),米国の政治状況,日本の防衛のあり方・ 再軍備の可能性,アジア地域における紛争状況など,様々な影響関係が肯定・否定側 により議論されることになるでしょう。  

 

[モデルディベート] 

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1996年度前期推薦論題

 

日本政府は、医療行為としての安楽死、あるいは脳死した提供者からの臓器移植を合法化すべきである

 

[ディベート速記録]

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1995年度後期推薦論題

 

日本はミャンマー・北朝鮮・台湾の一つ以上との外交関係をより緊密にすべきである

 

[論題の背景]

 この案では,今後きわめて重要になって来る日本とアジア諸国との外交関係を 取り上げ,その中でも,日本国がミャンマー(ビルマ),北朝鮮(朝鮮民主主義 人民共和国),台湾(中華民国)との外交関係をより密にするべきかどうかを問 うもので,1995年前期の推薦プロポジションでもあります。

 現在日本は,北朝鮮と台湾とは正式な国交が無く,ミャンマーとも,正常な外 交関係が回復したとは言えません。肯定側としては,外交関係の樹立・正常化な どを提起し,その利点(国際社会における孤立化の防止,経済・食料援助の促進 など)を論じることになります。否定側は,こうした外交政策転換が,二国およ び周辺国に与える悪影響(独裁政権の延命など)を論じることになるでしょう。

 


1995年度前期推薦論題

 

日本国は、司法制度に陪審制を導入すべきである (一部変更)

 

[論題の背景]

 自由民権運動の高まる中成立した「陪審法」により,我が国において陪審裁判 は1923年より約20年間行なわれていましたが、43年の「陪審法ノ停止ニ関スル法 律」により現在までそのの施行が停止されたままになっています。しかし80年代 後半になり政府が陪審裁判制度に関する調査をスタートさせ、その再導入の是非 についての議論が活発化しつつあります。

 このプロポジションをディベートするにあたって、肯定側は陪審制度導入によ る国民の司法参加機会の増大,またそれによる民主主義の基盤強化などを中心に 議論を展開できるでしょう.司法判断に市民の常識を反映させることで政治権力 などに関して司法の中立性を保ち,また陪審員の義務を国民に課すことがもたら す公民教育効果など議論することが可能です。

  否定側は「素人」の基準を司法判 断に持ち込むことがもたらすきまぎまな弊害を挙げ,陪蕃制度が民主主義の持つ 衆愚制を肥大化する危険を議論することになるでしょう。陪審員選出の公正性の 問題,また「議論ができない」と言われている日本人の国民性などについて幅広 く議論することが可能です。

 

[ディベート速記録]

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1994年度後期推薦論題

 

日本政府は,国内のすべて又はほとんどのダム建設をやめるべきである(仮訳)

 

[論題の背景]

 現在日本政府は,水資源開発促進法などに基づき,ダム建設を進めており,日 本各地でダム建設の計画があります。しかし,この整備計画には賛否両論があ ります。このプロポジション案では,こうした実際の議論を背景に,日本の治水 計画に関して.それを見直すべきかどうかを議論します。

 肯定側の立場としては,建設反対の立場を取り,これ以上のダム建設の板拠を 否定するとともに,ダム建設の弊害,例えば (1)プランクトン発生等の水質汚濁, 建設に伴う (2)環境破風 (3)地滑り. (4)森林伐採.等を主張する事が考えられ ます。  一方否定側は,ダム建設の根拠, (1)水需要の増大への備え, (2)大雨などの 水害の予防,等の,開発側の論理を展開することが考えられます。ダム建設には, 建設業界等の利害関係も大きく,政治面・経済面への影響も議論に入って来るこ とでしょう。

 


1994年度前期推薦論題

 

日本政府は、国連平和維持軍に部隊を派遣すべきである(仮訳)

 

[論題の背景]

 冷戦終結乱世界各地で地域紛争が多発する中,国連の平和維持・創出活動に期 待が高まり,国連の平和維持活動PKOがクローズアップされることになりました。 そうした情勢に対応し日本でも,1992年夏にPKO法が成立し,まずカンボディア PKOに自衝隊が派遣され,1993年にはモザンビークへも派遭されました.今後も 日本に対する参加要請が増える事が予想されています.

 このプロポジション案ではこうした国際情勢を背景にし,数あるPKO活動の中 でも一歩踏み込んだ形の,Peace Keeping Force(PKF:国連平和維持軍)に日本 が参加すべきかを議論します.このPKFは,より危険を伴った任務を行い,携帯 する武器もより重装備である事が要求される等の関係上 日本の現行のPK0法で は参加しない事になっております。

 肯定側としては,現行の法律を改正し日本はPEFに参加すべきだという立場を 取り・pEF活動に参加する事の意義.例えば (1)PKF活動がもたらす成果. (2)大 国としての兼任・ (3)孤立主義の回避, (4)憲法上の要請, 等を主張する事が 考えられます.  否定側は,一方,PKF参加の問題 (1)近隣諸国の不安, (2)日本の軍国主義化, (3)憲法違反, (4) 隊員の生命・安全,等を中心に急論をすることになると思 われます.

 このプロポジション秦の周辺には,国連安全保障政策への貫献という,より大 きな枠組みが考えられ,秋期に拡張する際には,軍縮会議のホステイング,武器 輪出国への経済制乱核査察,国連軍等に日本がどのように取り組むべきかを義論 する形のプロポジションが考えられます。


jda@kt.rim.or.jp
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