3.1 教育ディベートってどんなもの?

 

先生は、太郎君と次郎君のクラスで、「今日は、ディベートの練習のために、「日本政府は、サマータイム制度を導入すべきである」という論題を使って、ディベートの練習試合をする。全員が、肯定側と否定側で1度ずつディベートをしてもらう。ジャッジは、空いている生徒全員でやること。試合の順序は、こうやる…」とディベート練習試合の説明を始めました…



これまで述べたディベートは、審理の探求や、現実の意志決定を適切に行うために実社会で行われるものです。これに対し、ディベート能力を獲得するための訓練を目的として行われる「試合」形式のディベートがあります。これを「教育ディベートacademic debate)」といいます。教育ディベートは、教育効果を高めるために特別に設定された論題を使用し、特別に設定された試合形式を用いて行われます。

(1) 教育ディベートの特徴

 教育ディベートは、@あらかじめ設定された論題(proposition)を用い、A肯定側(affirmative side)、否定側(negative side)の両者の立場に分かれ、B一定のスピーチ時間、順番等の進め方の試合形式(format)に従ってディベートを行うものです。

 このような教育ディベートは、アメリカ、イギリス等で様々な形態で行われており、日本では、主に、大学のESS等で、英語により、アメリカのディベートの形態を取り入れて行われてきましたが、近年では中学校、高校教育にも取り入れられつつあります。大学の授業や課外活動でも、教育ディベートを取り入れられています。

(2) 教育ディベートの種類

ア 論証重視型ディベート(ポリシーディベート)

 ディベートの試合の前に十分な時間的余裕(数週間〜数ヶ月)をもって論題を発表しておき、その論題に対する十分なリサーチとともに、証拠資料(evidence)を明示的に用いた論証に重きをおくディベートです。米国の大学ディベートで多く行われ、日本の大学の英語ディベート、日本語ディベート、中学、高校生のディベート大会で多く行われているディベートです。フォーマットにはいくつかの種類があります。

イ 即興性重視型ディベート(パーラメンタリー・ディベート)

 ディベートの試合直前の数十分間前に論題を示し、即興的に行うディベートです。イギリスや、英連邦諸国で多く行われているディベートで、近年、日本でも大学生の英語ディベートで行われています。フォーマットは、複数あります。


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