9.1 論題充当性(topicality) って何?

 

太郎君と次郎君が「修学旅行で大阪に行くべきである」という論題でディベートしています。太郎君は、肯定側として、「甲子園球場に行こう。阪神ファンの熱狂が見られるよ」と提案しました。否定側の次郎君は「論題の『大阪』、というのは大阪府のことだよね。甲子園に行くのは賛成だけど、甲子園って兵庫県にあるから、甲子園に行くことは『大阪に行くべき』という論題と直接関係がない。だから、太郎君の提案が採択されるべきものであっても、論題を肯定することはできないね」といいました… 

 

 このように論題について、肯定側がプランを提出するときは、そのプランは当然論題に規定される範囲内でなければなりません。そうでなければいくら肯定側のプランが採択されたとしても、それは論題を肯定することができないからです。

そこで、肯定側が出しているプランが論題に規定される範囲内にあるのかを調べるための論証が必要になります。これを論題充当性(topicality) の論証といいます。

 具体的には、論題充当性の論証は次のように提示されます。

(1) 論題の解釈(interpretation)

否定側は、必要に応じ、定義を示しつつ、論題の解釈を行います。

(2) 論題からの逸脱(violation)

否定側は、肯定側の提示した施策が論題の規定している範囲から逸脱していることを論証しなければなりません。ここでは、「甲子園が大阪府にない」事実によってこれを論証しています。

(3) 解釈の基準(standard)

 解釈が妥当性を持つかどうかを判断するために、妥当性の基準を論証します。これは、肯定側が自分の都合のいい解釈を出してきた際にその解釈に妥当性がないことを論証するときに使うもので、「基準」(standard)と呼ばれます。

(4) 論題充当性を欠く場合の肯定側の扱い(impact)

肯定側のプランが論題の規定する範囲外にあることが論証された場合どうするかを論証します。一般には、具体例で示したように、論題外のプランは論題を肯定できない、という理由で、肯定側の負けとなります。




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